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もふもふとむくむくと異世界漂流生活  作者: しまねこ


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冒険者ギルドにて

「はあ、それじゃあそろそろ出掛けるとしようか」

 残ったコーヒーを飲み干した俺の言葉に、笑ったハスフェル達も笑顔で頷き立ち上がった。

 のんびりとコーヒーを飲みながら話をしていたので、もう朝一番って時間じゃあなくなっているよ。

 今日は、昨日のメンバーにプラスして、冒険者ギルドのギルドマスターであるヴォイスさんと冒険者であるザックさんも一緒に行って、改めてテイマー講習会をする。

 でもって、昼食は具材持ち込みOKな海鮮バーベキュー。そして午後からは、皆の様子を見ながら追加の従魔をテイムするのを助ける予定だ。

 でもシャムエル様によると、アレクさんとヴォイスさん、それからザックさん以外は、今のところ魔獣使いになれるかどうかは微妙らしい。

 一応一晩寝ているのでテイムの数はリセットされているから、最低でも一匹はテイム出来ると思うんだけど、どうなんだろう?

 今までは才能豊かな人にばかり教えていたので、全員が魔獣使いになれていたからそれが当たり前だと思っていたけれど、どうやらテイマーになれた全員が魔獣使いになれるってわけではないらしい。

 その辺りの設定がどうなっているのか、ちょっと気になるところではある。

 なので、ダイさん達に追加の従魔をどこまでテイムさせるかは、彼らの体調を含めて様子を見ながらするつもりだ。冗談抜きで命に関わるので無理は絶対に駄目だからね。



 今日は、非戦闘員の従魔達も含めて全員揃って出かけるよ。

 って事で全員の従魔達を引き連れて、冒険者ギルドの建物に向かう。

「ああ、ケンさん。待っていたぞ! 今日はよろしくお願いします!」

 冒険者ギルドの建物に入ったところで、満面の笑みのヴォイスさんにそう言われて思わず吹き出す。

 何しろやる気満々なヴォイスさんだけでなく、どこの街の冒険者ギルドにもあるいわゆるクエストボードの横、待ち合わせや打ち合わせなんかに使える椅子やテーブルが並んだ一角には、アレクさんを始めとする昨日の面子に加えザックさんまでが、準備万端の装備で、こちらもやる気満々で勢揃いしていたんだからさ。

「あはは、お待たせしちゃったみたいですね。じゃあもう準備万端みたいなのでこのまま行きましょうか」

 テーブルに置かれているカップは空っぽだ。まあ、今から出かけるんだからさすがに朝から酒を飲んでいたわけでは……ないよな? そう思ってさりげなく近寄ると、空っぽのカップからコーヒーの良い香りがしてちょっと安心した俺だったよ。



「じゃあ、改めてよろしくお願いします」

 外に出たところで、馬を引いてきた満面の笑みのヴォイスさんの言葉に俺も笑顔で頷く。

 ザックさんやアレクさん達も全員が昨日と同じように馬を引いてくるのを見て、せっかくだから従魔達に乗せてあげるって言っておけばよかったなと、不意に思った。

「だけどまあ、せっかくだから最初に従魔の背に乗るのなら、やっぱり自分の従魔が良いよな」

 小さく笑ってそう呟いた俺は、マックスの背に軽々と飛び乗った。

「おお、そのハウンドが早駆け祭りで乗っていたマックスですね。ううん、間近で見ると素晴らしさがよく分かるな。毛並みといい、体つきといい……」

 馬の手綱を引いたザックさんが、感心したようにそう言いながらゆっくりとマックスの側に近付いてくる。

「あの、ちょっとだけ触らせていただいても構わないでしょうか?」

 キラッキラに、子供みたいに目を輝かせたザックさんにそう言われて思わず吹き出す俺。

「もちろん構いませんよ。ああ、ちょっと待ってください」

 笑いながらそう言って、一旦マックスの背から飛び降りてマックスの首元を軽く叩いて首輪を掴む。

 もちろんその間のザックさんは何も言わずに、ぎゅっと乙女のように両手を胸元で握りしめたままじっとしている。でも、その視線はマックスに釘付けだ。

「いいですよ。目元や口元は嫌がるので触らないようにしてくださいね。毛を引っ張ったりするのも無しです」

「もちろん、そんな無礼な事はしません。お許しいただきありがとうございます。では、失礼します」

 俺に笑顔でお礼を言ったザックさんは、マックスにも改めてそう言ってからそっと首元に腕を伸ばした。

「おお、これは素晴らしい……みっちりとした毛は思ったよりも柔らかいんですね。ああ、これは素晴らしい……」

 ゆっくりと毛並みに沿ってマックスを何度も優しく撫でるザックさんは、もうこれ以上ないくらいに良い笑顔だ。

「あの、ケンさん! 俺も、俺も触らせてもらっていいだろうか! 出来ればこのリンクスをお願いしたい!」

 その時、こちらもキラッキラに目を輝かせたヴォイスさんが大声でそう言ってニニの横に駆け寄って直立する。

「いいですよ。注意は同じです。目元や口元は嫌がるので触らないでくださいね」

 右手を伸ばして、隣にいたニニの首輪もそっと掴む。あ、首輪に巻き付いていたセルパンが、ギルドマスターがいるのと反対側にさりげなく移動してずれてくれたぞ。

 確かに、あの様子だと絶対首輪に巻き付いているセルパンには気付いていないだろうから、撫でようとした近くに蛇がいたら、間違いなく驚くだろうからな。

 相変わらず、さりげない気遣いの出来る良い子なセルパンだよ。

「気遣いをありがとうな」

 ザックさんなら大丈夫と見てマックスの首輪をそっと離した俺は、嬉々としてニニを撫でながら笑み崩れるボイスさんを眺めつつ、空いた手を伸ばして反対側に回ってくれたセルパンをそっと撫でてやったのだった。



挿絵(By みてみん)

2026年3月12日、アース・スターコミックス様より発売となりました。

「もふもふとむくむくと異世界漂流生活〜おいしいごはん、かみさま、かぞく付き〜」第六巻です。

いよいよ、早駆け祭りが始まります!

そして、お祭りの後のあれやこれやからクーヘンのお店が開店まで。

怒涛の展開な第六巻を、どうぞよろしくお願いします!



挿絵(By みてみん)

2026年2月13日、アース・スターノベル様より発売となりました「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」十三巻の表紙です。


もちろん今回も、れんた様が最高に可愛いくて素敵な表紙と挿絵を描いてくださいました!

冬のバイゼンでの冬祭り、スライムトランポリンでまたしても大騒ぎです!

どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m

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― 新着の感想 ―
セルパンは、あの地下水脈落下した時もそうだけど、周りをよく見て気遣えるオカンやね。
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