おはようとマッサージの件
翌朝、いつもの従魔達総出のモーニングコールに叩き起こされた俺は、なんとか眠い目を擦りつつ起き上がった。
「ふああ〜〜〜まだ眠いよ」
大きな欠伸をしつつ、ベッドから降りて立ち上がり、大きな伸びをしてから洗面所へ行ってまずは冷たい水で顔を洗う。
「ご主人、綺麗にするね〜〜!」
いつものように張り切ったサクラが一瞬で包み込んでくれて、解放された時にはもう完璧にサラッサラになっている。
「いつもありがとうな。ほら、行っておいで!」
笑って捕まえたサクラをおにぎりにしてから、水の流れる水槽にフリースローで放り込んでやる。
次々に跳ね飛んでくるスライム達も、捕まえてはおにぎりにしてからフリースローで水槽に放り込んでやる。
若干狙いが外れても、自動で修正されるのでプロ顔負けの的中率100%だよ。
その後に走ってきた水遊び大好きチームに場所を譲り、俺は一旦ベッドへ戻る。
「ううん、あのマッサージ、冗談抜きでめっちゃ良いぞ。体の疲れが全く残っていない。肩こりまで無くなってるし」
腕を回しながら、思わず感心したようにそう呟く。
「肩こりって、何?」
その時、枕の上に現れたシャムエル様に不思議そうにそう尋ねられて、防具を身に付けていた手が止まる。
「さすがにその姿だと肩こりは無いか」
リスもどきの小さな姿のシャムエル様を見て、思わず吹き出す。
「ええと、肩こりっていうのは……多分、人族だけの感覚だと思うぞ。肩の、この辺りがちょっと硬くなるっていうか、重く感じたり、動きが鈍くなったりする感じかな。原因は、この細い首で重い頭を支えているってのと、腕を動かす事による疲労的な感じ、かな?」
改めて肩こりとは何だって聞かれて、若干苦労しつつそう説明する。
「ふうん、その肩こりは私にはちょっと分からないけど、確かに昨日のケンは気持ち良さそうだったね」
目を細めて笑ったシャムエル様は、そう言ってせっせと尻尾のお手入れを始めた。
「スライム達に頼めば、その尻尾も綺麗にしてくれそうだけどな」
「これは、私の癒しの時間だから良いの! 自分でやります!」
何故かドヤ顔で断言されてしまい、吹き出した俺だったよ。
そっか、あの尻尾のお手入れタイムはシャムエル様の癒しの時間だったのか。
『おおい、もう起きてるか〜〜?』
その時、頭の中にトークルームが開いてハスフェルの声が聞こえた。
『おはよう。今準備中だよ。朝飯はどうする?』
『おはようさん。屋台でもいいが、ここの屋台は魚が主だからなあ』
『おはよう。俺達は出来れば肉が食べたいです!』
ハスフェルとギイの本音ダダ漏れな言葉に、俺とオンハルトの爺さんが同時に吹き出す。
まあ、確かに今日の昼も海鮮バーベキューの予定だから、肉大好きな彼らにしてみれば物足りないのかもしれない。
『あはは、じゃあ俺の部屋に集合だな。肉系の作り置きならまだまだあるから、好きなだけ食っていいぞ』
『『『よろしくお願いします!』』』
嬉々としたハスフェルとギイだけでなく、何故かオンハルトの爺さんの叫ぶ声まで重なり、俺はもう一回吹き出す羽目になったのだった。
その後、やってきた三人と一緒に俺の部屋でまずはいつもの作り置き若干肉多めメニューで朝食を食べた。
食後にあらためてコーヒーを飲んでいたところで、笑顔のハスフェルが口を開いた。
「なあ、昨日あのマッサージとやらをスライム達にやってもらったんだが、あれ、最高だな」
「確かに最高だった。俺は気がつけば寝落ちしていたぞ」
「俺もだ。確かにあれは良い。今度神界に戻った時に、あいつらが連れているスライム達にも教えておこう。絶対に喜ぶぞ」
満面の笑みなハスフェルとギイの言葉に続き、オンハルトの爺さんまでが嬉しそうにそう言って顔を見合わせた三人が揃ってもの凄い勢いで頷き合っている。
「あはは、皆もマッサージを気に入ってくれたみたいで良かったよ。あれ? だけど、向こうにいる時のシルヴァ達って実体は無いって言ってなかったけ?」
確かそんな話を聞いた覚えがあったのでそう聞いてみると、笑ったオンハルトの爺さんは、自分の腕をそっと叩いた。
「もちろん、神界にいる普段のあいつらには、我々のような実体を伴う体は無いよ。だが、こっちの世界に来る際に使っていたあの体は、今後また使う事があるだろうから、当然、向こうの世界でもしっかりと時間を止めた状態で保存されておる。スライム達が普段住んでいる物質結界と呼ばれる大きな部屋でな。なので、あいつらもそこへ行けばいつでもあの体になれるわけだよ。今でも頻繁にそこへ行ってスライム達と遊んでいるぞ」
「へえ、確かに連れて帰ったスライム達が普段住んでいる場所があるって聞いたけど、そんな感じなんだ」
神様の住んでいる世界なんて俺には想像もつかないけど、ちゃんと今でも皆がスライム達と触れ合える場所があるんだと聞いて、何だか安心した俺だったよ。
2026年3月12日、アース・スターコミックス様より発売となりました。
「もふもふとむくむくと異世界漂流生活〜おいしいごはん、かみさま、かぞく付き〜」第六巻です。
いよいよ、早駆け祭りが始まります!
そして、お祭りの後のあれやこれやからクーヘンのお店が開店まで。
怒涛の展開な第六巻を、どうぞよろしくお願いします!
2026年2月13日、アース・スターノベル様より発売となりました「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」十三巻の表紙です。
もちろん今回も、れんた様が最高に可愛いくて素敵な表紙と挿絵を描いてくださいました!
冬のバイゼンでの冬祭り、スライムトランポリンでまたしても大騒ぎです!
どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m




