夕食と寝る前の新習慣?
『おおい、そろそろ腹が減ったんだけどなあ』
おしくらまんじゅうの終わったスライム達を順番におにぎりにしたり揉んだりしつつ和んでいると、ハスフェルから念話が届いた。もちろんトークルーム全開状態だ。
『おう、いつでも来てくれていいぞ。どうする? 昼はガッツリ食べたし、作り置きでいいか? 何かリクエストがあれば作るけど』
『もちろん作り置きで構わないぞ。お前も疲れているだろうからな』
『了解、それじゃあ待ってるよ』
『おう、よろしく!』
最後は三人揃った嬉しそうな返事が返り、思わず笑ってしまった。
「あれだけ食べても、腹って減るんだよなあ」
苦笑いしつつ立ち上がって思いっきり伸びをする。
「それじゃあ、食べている間にあいつらのスライム達にもさっきのマッサージを教えておいてやってくれるか」
「はあい、ちゃんと教えるからね〜〜!」
「ご主人も、マッサージをご希望の時はいつでも言ってくださいね〜〜」
「一回砂時計一回分で、お引き受けしま〜す!」
「延長も受け付けま〜〜す!」
何やら張り切ったスライム達に、もう笑いが止まらない俺だったよ。
「あ、これってギルドマスターのヴォイスさんに教えておいてあげれば、もしかして今後出てくるであろう新人テイマーの良い仕事になりそうだな。固定店舗なんかはそれなりに元手になる資金が無いと出来ないだろうけど、屋台みたいな簡易店舗なら、テントと横になれる場所さえあれば出来ちゃうよな」
思わずそう呟き足元に転がるアクア達を見る。
「確かにそうだね。じゃあギルドマスターには頑張ってスライムをテイムしてもらわないとね!」
「テイムしてくれたら〜〜アクア達が〜〜ちゃんと全部教えてあげるからね〜〜」
ビヨンビヨンと伸び上がりながら、アクア達が楽しそうにそんな事を言っている。
俺には分かるぞ。あれはドヤ顔だ。
「あはは、じゃあ、その時はよろしくな。シャムエル様によると、ギルドマスターも頑張れば魔獣使いも夢じゃあないって言っていたからな」
笑ってもう一度アクア達をおにぎりにしてやったよ。
その後、ハスフェル達が来たところで適当に作り置きを出して夕食にした。
俺は、西京漬けの焼いたのとだし巻き卵と卯の花、わかめと豆腐のお味噌汁におにぎりという、完璧な和定食にした。
うん、やっぱり和食は美味しい。
半分に切り分けてあげただし巻き卵を爆食しているシャムエル様の尻尾をこっそりともふりつつ、俺も西京漬けを満喫したのだった。
食後は軽く飲んだだけで解散になった。
まあ、明日も出かけるから飲みすぎるといけないからな。
ちなみに、食事をしている間に俺のスライム達がハスフェル達が連れているスライム達にさっきのマッサージの仕方を一通り教えておいてくれたので、おそらく部屋に戻ったらそれぞれマッサージタイムになるだろう。
明日、彼らから感想を聞くのが楽しみだよ。
「よし、じゃあ片付いた事だしもう休むか。それなら、寝る前に砂時計一回分でマッサージを頼もうかなあ」
「はあい! おまかせくださ〜〜い」
張り切ったスライム達の返事の直後、一瞬で集まったスライム達に俺の全身が包み込まれる。
「じゃあ、始めま〜〜す!」
得意げなアクアの声の後、ゆっくりとマッサージが始まる。
しかも、前回と違って俺の頭も顔の部分以外が包み込まれていて、そこもマッサージが始まったんだよ。
こめかみの辺りから後頭部にかけて、ぎゅって感じに押し込まれるのがなんとも気持ちがいい。
「ああ、気持ちいいぞ〜〜お前らマジで最高だぞ〜〜」
思わず声が出たのは仕方がないよな。
「気に入ってもらえてよかったです〜! ご主人、じゃあこういうのはどうですか?」
笑ったアクアの声の後、何と揉みほぐす動きだけではなく、肩や腰の辺りはポンポンと強めに叩く動きや、ぐるぐると硬い塊みたいなのを回しながら押し付けるような動きまで始まったよ。
これ、マジで完璧に高級マッサージチェアー状態。
「ああ、もう最高! 延長をお願いします!」
あまりの気持ち良さに大感激した俺は、結局、延長をお願いして砂時計二回分を満喫したのだった。
うん、マジでこれ、毎日寝る前の新習慣にしよう。
特に出かけてガッツリ働いた後なんかは絶対効果抜群だと思うぞ。今だって、体がめっちゃ軽くなった気がする。
「マジでありがとうな。体が凄く楽になったよ」
バラけて足元に転がるスライム達にそう言って、もう一回順番におにぎりにしてあげた俺だったよ。




