ごちそうさまと後片付け
「いやあ、本当に美味しかったよ。よし、もうこれで焼き上がりだな」
「じゃあ、これはケンさんが収納しておいてくれよな」
笑ってそう言ってくれたパロットさんとアレクさんにお礼を言って、俺は焼き上がった巨大車海老のぶつ切りと、鎧海老の身の赤ワイン焼きと岩塩だけで焼いたやつをガッツリ収納させてもらった。
もちろん、収納したのは鞄に入っているサクラだけどね。
もう皆お腹が一杯になったらしく、火の消された鉄板の上にあるのは焼け焦げて干からびた野菜の端くれくらいだ。
一応、皆それぞれの手にまだグラスはあるが、のんびり休憩しながら飲んでいる感じだ。
そんな皆を見た俺も、残っていたビールをぐいっと一息に飲み干すとテーブルの上にグラスを置いた。
「さてと、皆満腹になったみたいだしそろそろ後片付けをしますか。それじゃあ、スライム達をこっちへ寄越してください」
笑った俺の言葉に、新人テイマーさん達がテイムしたスライム達が次々に跳ね飛んできて待ち構えていたアクア達とくっついていく。
「簡単な片付けの方法や、食べても良いものと駄目なものなんかを教えてやってくれよな」
笑ってアクアをそっと撫でてやる。
『もちろん時間経過や過度な洗浄は禁止だぞ』
一応念話でそう伝えておくと、ビヨンと伸びたアクアの触手が一瞬だけ俺の腕に絡んでからすぐに元に戻った。
「もちろん心得てま〜す!」
得意そうにそう言ったアクアは、テーブルに積み上がったお皿を次々に飲み込んでいった。
新人さん達のスライムと一緒なので、普段よりも作業の進み具合はかなりゆっくりだ。
「よろしくな。ゆっくりでいいぞ」
笑ってそう言った俺は、一つため息を吐いてから少し離れたところに寛いでいるもふ塊を見た。
にんまりと笑って駆け寄り、そのまま倒れ込む。
「ご主人捕まえた〜〜〜!」
嬉しそうなニニの声がして、そのまま全身がもふもふに包まれる。
「ああ、ニニの毛はやっぱり最高だな」
両手を広げてニニに抱きついた俺は、一つ深呼吸をしてから目を閉じる。
「マニもいるにゃ!」
俺の脇の下に鼻先を突っ込んだマニが、ぐいぐいと押し込んでくる。
「はいはい、ほらおいで」
笑って寝返りを打って横向きになったところで両手を広げてそう言ってやると、嬉々として胸元に飛び込んでくる。
「はあ、いつもながら良きもこもこだねえ」
マニの毛は、ニニと違ってそれほど長くはない。
カッツェと毛の長さ自体は同じくらいなんだけど、毛の量はカッツェよりも遥かに多い。撫でた感じも、体にピタッと沿うようにどちらかというとツルッとした手触りのカッツェと違い、マニの場合は何というか毛が密集していてもこもこって感じだ。まあ、抱き枕にするには良い感触なんだけどね。
「はあ、このままだと寝ちゃうよ。駄目だって……」
小さな欠伸を一つした俺は、抵抗も虚しく眠りの海へ落っこちていったのだった。ぼちゃん。
ぺしぺしぺし……。
ぺしぺしぺし……。
ふみふみふみ……。
ふみふみふみ……。
ふみふみふみ……。
ふみふみふみ……。
カリカリカリ……。
カリカリカリ……。
つんつんつん……。
チクチクチク……。
しょりしょりしょり……。
ふんふんふんふん!
ふんふんふんふん!
ふんふんふんふん!
ふんふんふんふん!
「うん、起きてるって……」
いつものモーニングコールに起こされた俺は、半ば無意識でいつもの返事をしつつ違和感を覚えてうっすらと目を開いた。
「あはは、あのまま寝ちゃったのか。ごめんよ」
目に飛び込んできたのは、綺麗に片付いた河原と、それぞれの騎獣や馬の手綱を引いて呆れたように笑いながらこっちを見ているハスフェル達やアレクさん達の姿だった。
「呼んでも全く無反応だから、冗談抜きで死んでるんじゃあないかと心配したぞ」
完全に笑っているハスフェルにそう言われて、誤魔化すように笑いながら何とか起き上がる。
「あはは、失礼しました。でも、このもふもふ達に埋もれて寝るなって方が無理な注文だよ」
いっそ開き直った俺の言葉に、その場は大爆笑になったのだった。
「さてと、お待たせしました! それじゃあ街へ戻りましょう。それで、ギルドマスターのヴォイスさんにも声をかけて、明日以降にもう一回テイムの講習会をすれば良いですね」
慌ててマックスに鞍と手綱を取り付けながら、誤魔化すようにそう言ってアレクさん達やパロットさん達を見る。
「そうですね。ぜひお願いします」
「何なら食材は俺達も持ち込みで提供しますので、是非ともまた郊外でバーベキューをお願いします!」
「もちろん、いくらでもやりますよ! 食材の持ち込みも大歓迎です! 仕込みは俺とスライム達がしますのでお任せください!」
目を輝かせたアレクさんの言葉に満面の笑みで俺がそう答えて、もう一回その場は拍手大喝采になったのだった。
皆、バーベキュー好きだねえ。もちろん、俺も大好きだよ!




