海鮮バーベキューの始まり!
「この辺りなら地面も平らだし、川が近いですから水も使えますので、バーベキューをするなら良い場所だと思いますよ。それにこの近辺にはジェムモンスターの出現場所がほぼ無いので、危険が全く無いとまでは言いませんが、郊外の割には安全度はかなり高いですよ。まあ、これだけの従魔がいればどこでも余裕でしょうけれどね」
最後は巨大化したセーブルとティグを見たアレクさんが、苦笑いしながらそう言って馬を止めた。
「ああ、確かに良さそうな場所だな。よし、じゃあ設営は任せろ。ケンは食材の準備を頼むよ」
やる気満々なハスフェルの言葉にギイも笑顔で頷いている。
オンハルトの爺さんなんて、籠手を外して腕まくりしているし、アレクさん達やパロットさん達も、お手伝いするつもり満々で同じく籠手を外して腕まくりしているよ。
そして新しくテイムされた、まだ紋章のないスライム達もやる気満々だ。
「じゃあ、食材準備は俺のスライム達がいれば大丈夫だから、ハスフェル達のスライム達には、新しく仲間になった新人スライム達の教育係を頼めばいいな」
「任せてね!」
「ちゃんと教えるよ〜〜!」
「まずはテントの設営からだね!」
「あはは、じゃあそっちは任せるからよろしくな」
張り切ったハスフェル達の連れているスライム達の声に笑った俺はそう言い、まずはテントの設営をしてもらう為に取り出した柱を適当な場所に立てたのだった。
テントが無事に設営されたところで垂れ幕は全部巻き上げておき、取り出したいつもの折りたたみ式のテーブルを並べる。
「一応、海鮮バーベキューとは言ったけど、やっぱりあいつらなら肉も欲しがるだろうから一通りの準備をしておくか。余ったらそのまま収納しておけばいいんだしな」
小さく笑ってそう呟いた俺は、まずはいつものように岩豚やハイランドチキン、グラスランドチキンなどのジビエの塊肉を一通り取り出してもらい、待ち構えていたスライム達にいつも通りに焼肉仕様に準備しておいてもらう。
「おおい、すまないが殻付きのデカい海老を先にもらえるか。あれは焼くのに時間がかかるからな」
ギイがそう言ってテントを覗き込んできた。
「ああ、了解。ええと、じゃあこの辺りかな」
鞄に入ってくれたサクラが取り出してくれた巨大車海老を幾つかと、殻を剥がした鎧海老の身も塊のまま渡しておく。
それから、いつも塊肉を焼く時に使っているスパイス入りの赤ワインの瓶と、配合調味料の瓶と岩塩もまとめて渡しておいた。
「この鎧海老の身は、ぶつ切りにしてこのスパイスで焼いたら絶対美味しそうだな」
嬉しそうにそう言って受け取ったそれらを即座に収納したギイが、笑って手を振って戻っていくのを見送る。
その後は、在庫にあったいろんな魚の身を切ったり、野菜や根菜類なんかもしっかりと準備をしてからテントの外に出た。
「おお、準備万端だな」
川横の広い砂利の場所には、バーベキュー会場が完璧に整えられていた。
「ケン、すまないが冷やす用の細かい氷をもう少し作っておいてもらえるか。在庫がかなり少なくなっているんだよ」
振り返ったギイの言葉に笑って返事をして、差し出された巨大なタライ一杯になるように大量の氷を作っておいた。
それから、オンハルトの爺さんがこれも頼むと言って差し出したアイスペールにも、お酒用の完璧に透明な氷を山盛りに用意しておいた。
うん、これは我ながら上手く出来たぞ。
「おお、これは美味しそうだ」
漂ってきた香ばしい香りに思わずそう呟く。
さっき渡した殻付きの巨大車海老はアレクさん達が担当してくれていて、業務用の巨大コンロの上に設置された巨大な網の上で、見事なまでに丸焼きにされている。
ちなみに脚は全部もがれているが、頭はそのままだ。
「あれ、味噌の部分も絶対美味しいやつだよな。ちょっと見ているだけで涎が出そうだ」
思わずそう呟いて、マジで出たヨダレを慌てて拭った俺だったよ。
巨大車海老の隣の巨大コンロはパロットさん達が担当してくれていて、こちらではぶつ切りになった鎧海老の身がたっぷりのスパイスを振りかけて、これまた見事に焼かれていた。
そしてずらっと並んだテーブルの上には、幾つもの携帯用のコンロが用意されていてその上には鉄板や金網が置かれてるから、これは個人で好きに焼く用なのだろう。
少し離れたところに置かれた大きなタライの中では、各種地ビールをはじめ吟醸酒やワインがガッツリと冷やされているし、その横に置かれたテーブルの上には、冷えていない地ビールや吟醸酒、それからワインの瓶がこれでもかと言わんばかりに並べられている。それから、その横には麦茶をはじめとしたソフトドリンクもしっかりと準備されている。
「もう、準備は完璧だな」
笑った俺の言葉に、ハスフェル達が振り返ってドヤ顔になる。
「って事で、あと無いのは食材だけだぞ」
にんまりと笑ったハスフェルの言葉に、俺もにんまりと笑ってサクラの入った鞄を持ち直す。
「ちなみに、今回は海鮮バーベキューの予定なんだけど、肉は要るか?」
「お願いします!」
ハスフェル達だけでなく、その場にいた全員の返事が綺麗に重なる。
「あはは、やっぱりそうなったか。じゃあ、まずは肉から出すぞ〜〜ひれ伏せ〜〜岩豚様なるぞ〜〜」
笑ってそう言った俺は、バットに山盛りになった岩豚の肉を取り出して見せる。
「はは〜〜〜!」
ノリの良い皆が揃ってひれ伏し、それから大爆笑になったのだった。
その後も俺が次々に取り出す食材に拍手大喝采になって、その度に皆で笑い合った。
「よし、じゃあ海鮮バーベキューの開始だ! あとは好きに食え! 足りなければまだまだあるからな!」
殻を剥いた鎧海老の脚の身を取り出した俺の言葉に、またしても拍手大喝采になった一同は、そのままそれぞれ好きな食材に突撃していったのだった。
俺はもちろん真っ先に、焼き上がって殻ごとぶつ切りにされた巨大車海老に突撃していったよ。




