テイムの終了とこの後の予定?
「おお、どの子も可愛いですね」
満面の笑みのアレクさんの言葉に、俺もクローバーと名付けた新しい色の子を撫でながら満足のため息を吐いた。
結局、あと二回スライムの茂みに小石を投げ込み、俺は二回目の時に見つけたパステルカラーの緑色の子クローバーを、アレクさんは、ピンククリアーとパステルカラーの青色の子を無事にテイム出来た。
その結果アレクさんは、最初にテイムしたクリアーの子と二度目のテイムで確保したパステルカラーの薄紫色の子。それから、俺と二人で行った分で、ピンククリアーとパステルカラーの青色の、合計四匹を無事に一日でテイム出来たのだった。
「どうしますか? もう一匹テイムして、先に魔獣使いの資格を得ますか?」
嬉しそうに四匹並んだ子達を順番におにぎりにしていたアレクさんに、笑顔の俺がそう尋ねる。
しかし、顔を上げて俺を見たアレクさんは、少し考えてから困ったように笑って首を振った。
「今日はもうやめておきます。実は、俺も少しですがなんとなく胸が苦しいというか……ちょっと、今まで感じた事の無い全身がだるい感じがします。魔獣使いになりたい気持ちはありますが、別に急ぎませんので今日のところはここまでにしておきます。ケンさんのおかげで、もうテイムに関するコツは分かりましたので、また後日改めて皆と一緒に狩りとテイムをする事にします」
薄紫色の子をにぎにぎしながらそう言ったアレクさんの言葉に、苦笑いした俺も頷く。
うん、息苦しさ今までに無いようなだるさを感じるのなら、これはもうやめておいた方がいいだろう。
まあ、彼らは今まで教えてきた人達とは違って、テイマー希望ではあったが強い従魔をそれほど必要としていない。
そもそも全員帰る家があり定住しているわけで、俺達のように日常的に旅をして野営するってわけでもないからね。
そして、アレクさん達は鎧海老の漁師っていう定職にも付いているわけで、別に従魔がスライムだけでも全然問題ないんだよな。
となると、無理に他の従魔を探す必要もなさそうだ。
それに彼らだって上位冒険者なんだから、もしも強い従魔が欲しいと思っても、協力すれば自力で確保する事だって充分に可能だろう。
となると、もうこれ以上俺の方から何か手伝う必要は無さそうだな。
もちろん、彼らが希望すればなんでも手伝うけどね。
「そうですね。怠さや息苦しさを感じるのなら、もう無理はしない方がよさそうですね。じゃあ、場所を変えてちょっと早いですが昼食にしましょう。言っていたように、海鮮バーベキューをしたくて俺達は郊外に出たんですからね」
にんまりと笑ってそう言うと、全員からの大歓声と拍手が湧き上がった。
って事で、ここは一旦撤収して場所を変える事にした。
「ええと、近くでバーベキューの出来そうな場所ってあるか?」
こっち方面では全くの役立たずな俺がそう尋ねると、ハスフェル達が何か言うよりも早くドヤ顔のアレクさん達やパロットさん達が一斉に大きく頷いた。
「それなら、小川沿いに良い場所があるから案内するよ」
その言葉にハスフェル達が笑顔で頷く。ここは任せて良いって事なんだろう。
「そうなんですね。よろしくお願いします」
俺も笑顔でそう言い、急いでマックスの背中に飛び乗る。
全員がそれぞれの騎獣や馬に騎乗したところで、アレクさん達の案内でその場を離れた。
当然のように、従魔達が俺達を取り囲むようにして広がり、突然の襲撃から守ってくれる。
「そうか。強い従魔は特に必要ないかと思っていたが、こんな風に狩りで郊外へ出た時に、周囲への警戒をしてくれるのは有り難いな。どうだ? 何かテイムしてみても良いかもしれんな」
周囲を取り囲んで守ってくれている従魔達を見て、パロットさんが感心したようにそう呟く。
「どうだろうなあ。確かに頼もしい存在ではあるが、猫科のジェムモンスターや犬科のジェムモンスターなんて、そう簡単にテイム出来まい」
「それもそうだな。まあ、何であれ今日はもう打ち止めだけどな」
笑ったクラウスさんの言葉に、パロットさんも苦笑いしつつ頷いている。
「まあ、今日はもう打ち止めみたいですが、基本的に一晩寝たら大丈夫ですから、明日以降でよければギルドマスターも誘って、もう一度テイム講習会をしてもいいですよ。ヴォイスさんもスライムをテイムしたがっていましたからね」
成り行き上、彼らにはテイム講習会をする事になったけど、元々はヴォイスさんもお誘いしてする予定だったのを思い出して、俺も笑顔でそう言っておく。
別に、わざと彼だけ仲間はずれにしたわけじゃあないからね。
「ああ、それはそうですね。このまま街へ戻ったら、ヴォイスに恨まれそうだ」
「確かに。どうして俺達だけ勝手に講習を受けて、テイムまでしているんだってな」
ギャハハと顔を見合わせて笑うパロットさん達の言葉に、アレクさん達までが揃って大爆笑している。
「じゃあ、今日のところは海鮮バーベキューをして早々に街へ戻りましょう。でもって、ヴォイスさんの予定が空いた日にもう一度テイム講習会と海鮮バーベキューをすればいいんですね」
「ええ、ぜひそれでお願いしますよ。もちろん次も喜んで参加させてもらいます」
笑った俺がそう言うと、また大笑いしながら全員の返事が返り、もう一度顔を見合わせた俺達は、揃って大爆笑になったのだった。




