新色スライムとテイムの限界?
「よし、じゃあもう一回やってみよう」
足元の小石を引き寄せた俺の言葉に、ハスフェル達が目を輝かせて頷く。
「よろしいのですか?」
アレクさん達やパロットさん達も、同じく目を輝かせている。
「せっかくですから、頑張って魔獣使いを目指してください。今はまだ分かりませんが、魔獣使いになって紋章を授けられたら、従魔達の言葉が分かるようになりますからね。今の俺達みたいに、従魔達からも話しかけてくるようになりますから、普通に自分の従魔達とは会話が成り立ちますよ」
驚く新人テイマー達に、俺は笑って側にいたサクラを捕まえて顔の前に持っていった。
「そして、テイムされた従魔は、格段に知識が上がってこっちの言う事をしっかりと理解します。なので、やって良い事や駄目な事を具体例を挙げてどんどん教えてあげてください。例えば、汚れたお皿を綺麗にしてもらう際には、お皿は食べずに汚れだけを食べるんだって事、もちろん狩りの際には、落ちたジェムや素材の確保なんかもしてくれますよ。教えれば教えるだけ賢くなりますから、なんでも遠慮なく教えてあげてくださいね。でも、火はスライム達には厳禁なので、そこは注意してください」
「ああ、確かにスライムには火は厳禁ですね。あっという間に燃え尽きちまう」
苦笑いしたパロットさんの言葉に、皆も苦笑いしていた。
「それじゃあ、第二弾いきますよ」
「お願いします!」
小石を手にそう言った俺の言葉に、全員が手にした鞘付きの剣や杖を構える。
「新色来い!」
小さくそう呟き、手にした小石を茂みに投げつける。
またしても一瞬静まり返った茂みが豪快に爆発する。
「よし! 青発見!」
こっちに向かって跳ね飛んでくる乳白色の青色のスライムを、俺は手にした鞘付きの剣で吹っ飛ばした。
おお、今のはホームラン級の当たりだぞ。
思ったよりも遠くまで吹っ飛ばしてしまい慌てて追いかけると、軽く羽ばたいたモモイロインコのローザがふわりと飛んでいって青色の子を捕まえて戻ってきてくれた。
「ありがとうな。よし、俺の仲間になるか?」
お礼を言ってローザから青いスライムを受け取った俺は、にっこり笑って手にしたスライムにそう話しかけた。
「はあい、よろしくお願いしま〜す!」
妙に可愛い声でそう言った青色のパステルカラーの子は、ピカっと光ってググッと大きくなった。
「お前の名前は、ビオラだよ。よろしくな」
会社の駐車場横の小さな花壇に、毎年春になると咲いていた綺麗な青い花を思い出してそう名付けた。
手袋を外した右手で、いつもの定位置、額の辺りをぐっと押してやる。
手を離した時には、いつもの肉球の紋章が綺麗に刻まれていたよ。
「わあい、名前と紋章もらった〜〜!」
嬉しそうにそう言ったビオラが、ぴょんと飛び跳ねてからアクア達のところへ転がっていった。
「よろしくね〜〜」
「よろしくです〜〜」
いつものスライム達の挨拶おしくらまんじゅうが始まるのを見て、思わず吹き出した俺だったよ。
それから、ハスフェル達が捕まえた新色の子達を順番にテイムしてやったところで、アレクさんやパロットさん達を振り返った。
今回も全員、無事に新しい子をテイムしたみたいだ。
よしよし、順調に従魔が増えているよ。
しかし、ここで問題が発生した。
アレクさんは、大丈夫なので早く次をお願いしますと言って張り切っていたんだけど、ダイさんとナフさん、それからパロットさん達三人が、揃って体が少しだるいと言い出したのだ。
「ええと、いきなりたくさんテイムするのは体に負担がかかりますから、無理は禁物です。それならだるさを感じた方は、もうテイムは止めて少し下がって休んでいてください。従魔達が守ってくれますので、周囲への警戒は不要です。なんなら椅子を出しておきますから座っていてくれてもいいですよ」
確か、シャムエル様が彼らの能力はそれほど高くないと言っていたのを思い出して慌ててそう伝え、即座に鞄に飛び込んでくれたサクラから、いくつか椅子を取り出して並べておく。
「ああ、すみません。では少し休ませてもらいます」
苦笑いしたパロットさんの言葉にユーニンさんとクラウスさんも苦笑いしつつ頷き、ダイさんとナフさんも一緒に、揃って俺達に一礼してから椅子を持ち、テイムしたスライム達を連れて下がっていった。
『もしかして、能力が低いとテイムする上限も低いわけか』
今までは魔獣使いになれるような人達ばかりだったので、逆にテイマーの限界を見せられて、ちょっと戸惑う俺だったよ。
でも、無理は駄目だよな。
じゃあまずは彼らには、テイムしたスライム達としっかり仲良くなってもらって、魔獣使いを目指してもらおう。
確か、従魔と仲良くなって愛情をしっかり返してもらえると、テイマーとしての能力も開花して上がっていくんだって聞いた覚えがあるからね。
引き寄せた小石を握りしめながら、一人まだまだ余裕そうなアレクさんと頷き合った俺だったよ。




