新色スライムとそれぞれの従魔達
「じゃあ、いきますよ!」
拾った小石をそう言いながら、思いっきり茂みに向かって投げ込む俺。
しばしの沈黙の後、突然茂みが爆発した。
もちろん、実際に爆発したわけではなくて、驚いたスライム達が一斉に逃げ出したのだ。
「お、新色発見!」
今回は手出しはせずに見学するつもりだったんだけど、こっちに跳ね飛んできた見慣れない色のスライムに思わずそう叫んだ俺は、咄嗟に収納していた普通の剣を取り出して握り思いっきり鞘ごと振った。
パコ〜ン! パコ〜ン! パコ〜ン!
俺に続き何やら妙に間抜けな音がして、次々に吹っ飛ぶスライム達。
おお、さすがは上位冒険者達。どうやら初心者の皆さん達も、全員が何色かのスライムをそれぞれ見事に弾き飛ばしたみたいだ。
笑った俺も、アレクさん達に続いて吹っ飛んだスライムを確保しに行く。
「スライムちゃん、どこですか〜〜」
俺の弾き飛ばしたスライムがぶち当たった巨木に駆け寄り、木の根元を探す。
「お、いたいた」
木の根本の隙間に隠れるようにして見えていたのは、綺麗な薄紫色のスライムだった。
しかも、ちょっと乳白色っぽい半透明。メタルカラーともまた違うなんとも優しい色をしている。
こういうのって、確かパステルカラーっていうんだっけ?
「よしよし。もしかしてこの辺りにはこんな乳白色の子がいるのかもな。これはちょっと張り切っちゃうぞ」
まさかの新色、乳白色バージョンの子を見て笑顔になった俺は、そっと手を伸ばしてその子を捕まえる。
プルプルと震えた薄紫色の子は、一瞬だけ逃げるように伸びかけたけれどもすぐに大人しくなった。
「俺の仲間になるか?」
『はあい、よろしくお願いしま〜す!」
ピカっと光った白っぽい薄紫色のスライムは、嬉しそうにそう言ってググッと大きくなったので手を離して足元に落としてやる。
「紋章は……うん、いつもの場所でいいんだな」
それを見たアクア達が全員揃ってずらっと並ぶのを見て、新色の子が俺の前に跳ね飛んできて止まる。
「お前の名前は、ラベンダーだよ。よろしくな、ラベンダー」
さすがにスライム達の名前ネタが尽きて来たので、ここは花の名前や色の名前を使わせてもらう事にした。
うん、この乳白色バージョンの子がもしも他にいれば、その色にちなんだ色の名前や花の名前にしよう。
笑ってそう言い、手袋を外した右手でそっと頭の上を押さえてやる。
もう一度ピカっと光って手を離した時にはいつもの見慣れた肉球マークが刻まれてた。
「わあい、名前と紋章もらった〜〜!」
嬉しそうに飛び跳ねたラベンダーは、そう言ってアクア達のところへ跳ね飛んでいった。
「よろしくね〜〜!」
次々にスライム達が跳ね飛んできてラベンダーの元に集まり、早速おしくらまんじゅうが始まる。
「で、他の人はどうなったのかな?」
笑ってその様子を見て和んでいた俺は、我に返って慌ててアレクさん達を見た。
「おお、全員成功ですね」
そこにいたのは、ドヤ顔で手や肩にスライム達を乗せたアレクさん達の姿だった。
「紋章はまだですが、これは可愛いですね」
そう言った満面の笑みのアレクさんの手の中にいるのは、アクアと同じクリアーの子。
ナフさんとダイさんの手の中にいるのは、それぞれサクラと同じピンククリアーの子達だ。
パロットさんとユーニンさんの方に収まっているのは、俺と同じ乳白色の薄紫色の子達。
そして何とクラウスさんの大きな手の中に収まっているのは、初めて見る乳白色の青色のスライムだった。
おお、こんな色の子もいるんだ。よし、次はこの色をぜひテイムしよう。
「おめでとうございます! まずは全員無事にテイマーになれましたね!」
俺の言葉に、全員が満面の笑みで頷く。
そこで、一旦茂みから少し離れて、お互いのスライム達を見せ合いっこするアレクさん達とパロットさん達。
もう、全員がこれ以上ないくらいに嬉しそうな笑顔で、見ていた俺達も揃って笑顔になったのだった。
もちろん、俺も新しくテイムしたラベンダーを、ハスフェル達や従魔達に順番に一人ずつ紹介してあげたよ。
それを見たハスフェル達から、次は俺達も新色の子達を確保するからテイムしてくれと言われて、笑って頷いた俺だったよ。




