今日の予定と臨時の仲間達
「おはよう。じゃあ行くとしようか」
廊下へ出たところでハスフェル達と合流して、従魔達を引き連れた俺達はそのまま街の中央広場へ向かった。
ここの中央広場から街の奥へと続く大きな道沿いに、朝市や魚市場のある通りがあるんだよ。
当然、この広場には魚を焼いている屋台や大きなあの巨大車海老を丸ごと焼いてぶつ切りにして売っているお店なんかもあって、見た目的にもなかなかに豪快な屋台が並んでいるよ。
「バーベキューで焼くけど、やっぱりプロが焼いたのは食べてみるべきだよな」
思わずそう呟いた俺は、巨大車海老を丸ごと焼いているお店に駆け寄り、とりあえず一人前注文してみた。
「あいよ。熱いから気をつけてな」
この世界での食べ物のラッピングの定番、大きな葉っぱを乾燥させたのに簡単に包んで渡してくれたそれは、どう見ても直径30センチの厚さは10センチ強。デカっ! もう、俺ならこれを見ただけでお腹いっぱいになるレベルだ。
ちなみに、足はもいでくれてあるが殻はそのまま身ごとぶつ切りになっているので、剥きながら食べるのが定番の食べ方らしい。
「ううん、香ばしい香り。よし、とりあえず食おう」
俺の肩の上でご機嫌でステップを踏むシャムエル様を見て、とりあえず広場の端に寄った俺は、マックスの頭の上に一旦シャムエル様を移動させてからスライム達に葉っぱを広げてお皿代わりにしたのを確保してもらい、手袋を外してから殻の端っこを引っ張ってみた。
「お、案外簡単に剥がれるな」
ベリっと豪快に剥がれたそれは待ち構えていたスライム達に渡してやり、俺は大きく口を開けて焼きたての身にかぶりついた。
「甘っ! 何これ、プリップリでめっちゃ甘いぞ!」
岩塩を振っただけのそれは、驚くくらいにプリップリの食感でしかも甘い。文句なしに美味いよ。
ナイフで切り分けてシャムエル様にも渡してやり、あとはもう夢中になって焼き海老を平らげたのだった。
うん、大きいと思ったけどあっという間に完食したよ。
その後、他のお店も順番に見て回り、焼き魚や焼き海老を迷惑にならない範囲で色々と買わせてもらった。
だって、串焼きの魚や干物を焼いたのだけでなく、煮魚や串に巻いたつくねまであったんだから、これを買わない理由がないって。
結局、ちょっと時間を取ってもらってまとめ買いをしたところで広場を撤収してそのまま出掛ける事にした。
「おや、ケンさん。ハスフェル達も一緒か?」
その時、背後から声をかけられて驚いて振り返ると、パロットさんとユーニンさん、それからドワーフのクラウスさんが笑顔で手を振っていたのだ。しかも三人ともフル装備の上に、それぞれ馬まで連れている。
「俺達は、今から郊外へ出てジェム集めだ」
「ちょっと遠くへ行く予定だから、ギルドで馬を借りてきたんだ」
「もしかして、ケンさん達も出掛けるのか?」
それを聞いて、思わず俺はハスフェル達を見た。
『なあ、バーベキューをご一緒してもらっても構わないよな? せっかくだから、彼らが希望するならテイマー講習会をやってみてもいいしさ』
不意に思いついて、念話でそう言ってみる。
『ああ、彼らも上位冒険者みたいだし、俺達は構わないぞ』
『従魔達は、ジェム集めと聞いて張り切っているみたいだしな』
『もちろん、構わないぞ』
笑った三人がそう言ってくれたので、俺も笑顔でパロットさん達に向き直る。
「実は、海鮮バーベキューをしたくて郊外へ出るつもりだったんですよね。よかったらご一緒しませんか? ジェム集めならお手伝いしますし、良ければスライムでテイムのやり方くらい説明しますよ」
「「「良いんですか!」」」
身を乗り出した三人の声が見事に重なる。
「スライムの出現場所なら、いくつか知っていますからご案内します。是非とも、テイムの仕方を教えてください!」
「「お願いします!」」
頭を下げたパロットさんの声に続き、お二人も揃ってそう言い俺に向かって頭を下げる。
「頭を上げてください。もちろん喜んで教えますが、実際にテイム出来るかどうかはちょっと俺には分かりません。そこは皆さんに頑張ってもらうしかありませんからね」
「「「はい、頑張ります!」」」
これまた綺麗に返事が重なり、俺達は笑顔で手を叩き合った。
って事で、急遽仲間になった三人と一緒に道を歩いていると、またしても声を掛けられた。
「おや、ケンさん……なんだ。パロット達も一緒か」
笑って声を掛けてきたのはアレクさんで、こちらもフル装備に杖を手にしたアレクさんと、その背後にはダイさんとナフさんも一緒だ。
ちなみに、ダイさんとナフさんもフル装備で、ダイさんは巨大なバトルアクスを、ナフさんは俺の持つ剣よりももう少し大きな両手剣と弓矢を装備していた。
そして、こちらも馬をそれぞれ連れている。
「あれ、もしかしてアレクさん達もジェムモンスター狩りですか?」
驚く俺に、三人が揃って頷く。
「天気は良いんだが、今日は海がかなり荒れていてね。あの様子だとしばらく漁は無理そうなので、体が鈍らないように狩りに行く事にしたんですよ」
「それで、ギルドで馬を借りてきたところです」
笑ったアレクさんの言葉に、俺はハスフェル達を振り返った。
何も言わずとも笑顔で頷いてくれたので、彼らもお誘いして一緒に行く事にしたのだった。
それから、途中でスライム相手にテイムのやり方講習会をする予定なんだと言ったら、もう目を輝かせて俺達にも教えてくださいって叫ばれて、もちろん笑顔で頷いた俺だったよ。
よし、とりあえず、まずはスライムの発生場所へ行ってテイムのやり方講習会だ!
テイマー希望の彼らには、頑張って新人テイマーになってもらおうじゃあないか。
もちろん、頑張れる人には魔獣使いになるお手伝いだってするよ!
それに、バーベキューをするなら大勢でする方が絶対に楽しいもんな!
マックスの手綱を引いて街の外へ向かいながら、何だか嬉しくなって笑いが止まらない俺だったよ。




