明日の予定ともふもふ祭り?
「はあ、どれも美味しかったです! ごちそうさまでした〜!」
俺が用意した分だけでなく。新作の寿司やアサリの酒蒸しなんかもガッツリ食べたシャムエル様が、ご機嫌でそう言って食後のお約束、汚れた全身をサクッと綺麗にしてから尻尾のお手入れを始めた。
「はい、お粗末さま。これくらい綺麗に平らげてくれたら、作った甲斐があるってもんだよ」
骨以外は何も残っていないお皿を見て、もう俺は笑うしかない。
一応、ハスフェル達も焼き魚よりは食べやすかったらしく、案外綺麗に骨だけ残して平らげたみたいだ。
よしよし、和食系も案外大丈夫みたいだから、またガッツリ用意しておこう。
しじみ汁の殻をスライム達が大喜びで片付けているのを見て、俺は不意にある事を思いついてハスフェル達を見た。
「なあ、出来れば天気の良い日に一度郊外へ出て、海鮮バーベキューをしてみたいんだけどな。ほら、あのデカい車海老は殻ごと焼くと美味しいって言っていたし、鎧海老の身も丸ごと焼いたら絶対美味しいと思うから一度やってみたいんだ。他に、貝や魚も色々と見つけたから焼きながら食べるなんてのはどうだ? もちろん、いるなら岩豚やいつもの肉も出すよ」
笑った俺の言葉に、食後のお酒の準備をしていたハスフェル達の目が輝く。
「何だよその美味そうな話は。もちろん是非やろう。そうだな……うん、明日も天気は良いみたいだ。では、皆で郊外へ出てみるか」
少し考えたハスフェルの言葉に、ギイとオンハルトの爺さんも満面の笑みで頷く。
そして郊外へ出ると聞いて、もふ塊になっていた従魔達が揃って起き上がりキラッキラに目を輝かせてこっちを見た。
「もちろん、皆も一緒に行くよ。じゃあ、俺達がバーベキューをしている間にお前らは交代で狩りに行ってくれていいぞ」
「ありがとうございます! では楽しみにしていますね!」
尻尾扇風機状態なマックスがそう言い、他の子達も飛び跳ねたり伸び上がったりしてご機嫌で大喜びしていた。
このところハスフェル達と一緒に皆郊外へ出掛けていたけど、その地脈の吹き出し口が詰まっている云々って話のせいで、多分あいつらも遠慮なく狩りが出来なかったのだろう。
って事で明日の予定が決まり、部屋でのんびり寛いで飲んでいるあいつらを置いて、俺は午後からもう一度買い出しに出掛けて目につくものを色々と買い込んでおいた。
雑魚海老もまた大量に買ったし、もちろんデカい車海老も見つけ次第買い込んでおいた。
それから、アレクさん達に教えてもらったカニを売っているお店にも行き、確かに値は少々張ったけど俺の知るカニの三倍くらいはありそうなズワイガニぽいのや、同じく三倍サイズのタラバガニっぽいのもまとめて色々と買わせてもらった。
しかも、胴体部分の殻を外して半身にして丸ごと茹でてあるのと、一匹丸ごと生のがあったよ。
この生の方は、お願いすれば鍋用に捌いてくれるとの事だったので喜んでお願いしたよ。
カニなら俺でも捌けるけど、このサイズを捌くのは大変そうだから、ここは遠慮なくプロにお任せするところだよな。
捌いてもらっている間の待ち時間に、実は明日郊外へ出て海鮮バーベキューをするんだって話をしたら、店主さんから焼きタラバガニを超お勧めされたよ。
それで相談の結果、焼きやすいようにタラバガニの脚の部分は、殻の上側をまとめて削ぎ切りにしてもらった。
何しろ三倍サイズ、冗談抜きでタラバガニの脚だと俺の腕くらいの太さがあるんだけど、これに醤油をちょいと垂らして焼いたら……もう、絶対ビールが蒸発するやつだ。
よし、戻ったら手持ちのビールをもっと冷やしておこう。ここで貰った地ビールもまだまだ在庫があるからな。
処理の終わったカニをまとめて受け取り、いそいそと宿泊所へ戻った俺だったよ。
その夜は作り置きですませ、明日は早朝から出掛ける事にしたので飲みすぎないように早めの解散となった。
笑顔で部屋に戻る三人を見送ってから、スライム達がせっせと後片付けをしているのを眺めつつくっついてきたマニを両手で抱きしめてやる。
「ああ、このもこもこな毛並みの愛おしい事……」
もこもこな胸元の毛に顔を埋めた俺は、スーハーと深呼吸をしながらそう呟く。
以前の小さかったニニにもよくやっていた猫吸いだ。
「もう、ご主人は甘えん坊ですにゃ」
笑ったマニが、ご機嫌で喉を鳴らしながら俺の額の辺りをべろべろと舐める。
「痛い痛い、マニの舌はザラザラなんだから、人間の皮膚を舐めてはいけません」
笑って大きな顔を捕まえて頬を引っ張ってやる。
「きゃあ〜〜捕まった〜〜」
棒読みなその台詞に思わず吹き出す。
「ふふふ、俺に捕まったら逃げられないぞ〜〜」
にんまりと笑って悪役のような台詞を吐き、そのまま全身で抱きつきにいく。
「マニばっかりずるい!」
「そうだそうだ〜〜!」
「私達も吸っていいわよ〜〜」
そこで笑ったティグ達猫族軍団が、そう言いながら巨大化して飛びかかってきた。
「うわあ、やられた〜〜」
こちらも完全に棒読みな台詞を吐いて、笑いながらもふもふの海に沈む俺。
でもって、それを見て大爆笑しているシャムエル様は、マックスの頭の上だ。
「ご主人、私達も入れてください!」
しかし、猫族軍団に押し倒された俺を見て、我慢出来なくなったマックス達犬族軍団までが飛びついてきて、もう一回俺はもふもふの海に墜落した。
「きゃあ〜いきなり走らないで〜〜!」
そして、マックスの頭の上にいたおかげで巻き込まれたシャムエル様が、どう聞いても嬉しそうな悲鳴をあげつつ俺のところへ転がってくる。
「シャムエル様確保〜〜〜!」
両手でキャッチしたシャムエル様のもふもふ尻尾に、笑いながらそう言った俺は思い切り顔を埋めた。
「ス〜ハ〜ス〜ハ〜……ううん、良き尻尾のもふもふだねえ」
猫吸いならぬシャムエル様吸いを満喫していた俺は、いきなり空気に蹴り飛ばされてそのまま吹っ飛び、側にいたカッツェとティグに受け止められた。
「あはは、ありがとうな」
笑って腕を伸ばして二匹を撫でてやる。
そのあとはもう何が何だかわからないくらいに従魔達総出で揉みくちゃにされてしまい、結局フラッフィーのもふもふ尻尾を満喫していた俺はそのまま寝落ちしたのだった。
でも、もふもふの中だから全然問題なしだよ。よし!




