二日酔いでグダグダな朝と新作お粥!
ぺしぺしぺし……。
ぺしぺしぺし……。
ふみふみふみ……。
ふみふみふみ……。
ふみふみふみ……。
ふみふみふみ……。
カリカリカリ……。
カリカリカリ……。
つんつんつん……。
チクチクチク……。
こしょこしょこしょ……。
ふんふんふんふん!
ふんふんふんふん!
ふんふんふんふん!
ふんふんふんふん!
「ううん、起きてるって……」
翌朝、いつもの従魔達総出のモーニングコールに叩き起こされた俺だったけど、残念ながら全く目が開かない。
しかも酷い頭痛と喉の渇き。
うん、これは間違いなく二日酔いだな。
ぼんやりする頭でそう考えたところで、俺の意識はぷっつりと途切れたのだった。
ぺしぺしぺしぺし……。
ぺしぺしぺしぺし……。
ふみふみふみふみ……。
ふみふみふみふみ……。
ふみふみふみふみ……。
ふみふみふみふみ……。
カリカリカリカリ……。
カリカリカリカリ……。
つんつんつんつん……。
チクチクチクチク……。
こしょこしょこしょこしょ……。
ふんふんふんふん!
ふんふんふんふん!
ふんふんふんふん!
ふんふんふんふん!
「うん、だから起きるって……」
そして二度目のモーニングコールに叩き起こされるも、やっぱり開かない目と、さっきよりも酷くなっている気がするガンガンと響く酷い頭痛と喉の渇き。ついでに倦怠感も酷いよ。
「あれあれ、相変わらず駄目な大人だねえ。あれは完全なる二日酔いだね」
「そうみたいですね。まあ、あれだけ飲んだんですからさすがに起きられないでしょう。皆もまだ寝ているみたいですから、今朝はもう放っておいていいのでは?」
耳元で聞こえるシャムエル様とベリーの笑う声に言い返そうとしたんだけど、口から出たのはかすれた呻き声だけ。
結局、そのまま二度寝ならぬ三度寝の海へ墜落して行った俺だったよ。ぼちゃん。
なんか最近……この展開多くね?
結局、俺が目を覚ましたのはすっかり昼を過ぎた時間になってからだった。
「ご主人やっと起きたのね」
俺の腕の中で今朝の抱き枕役を務めてくれていたフラッフィーが、呆れた様にそう言ってからするりと腕から抜け出して伸びをしている。
猫族軍団はいつもの大きさになって俺の周りで猫団子になっている。どうやら俺の酷い二日酔いを見て今朝の最終モーニングコールは発動を自粛してくれたみたいだ。いや、もしかしたら発動していたけど熟睡していて気づかなかったのだろうか? 若干頬とひたいがカサカサしている気がするのは……うん、きっと気のせいだ。そういう事にしておこう。
「はあ、目は覚めたけど全然起きられないよ……サクラ、美味しい水をお願い……」
当然のようにそう言った直後、誰かに額を思いっきり叩かれて飛び上がる。
「それは駄目!」
シャムエル様にやや小さな声でピシャリと言われてさすがに驚いて目が覚め、なんとか目を開く。
「ああ、また寝落ちしてたのか」
俺は、眠い目を擦りつつ部屋を見回して、自分が寝ているスライムベッドも見てから思いっきり吹き出す。
部屋では、ハスフェルとギイとオンハルトの爺さんだけでなく、ヴォイスさんとアレクさん達までもが全員スライムベッドの上で寝落ち状態だったよ。
「なんか最近、この展開が多いよな。でもまあ、これは仕方がないよな。やっぱり海産物は酒に合うんだよ」
天井を見上げて誤魔化すように小さく笑ってそう呟いた俺は、なんとか手をついてスライムベッドから起きあがった。それに合わせてスライムベッドがググッと伸びて俺の背中を押してくれる。
ううん、至れり尽くせりだね。
どうやらヴォイスさんは目を覚ましていたらしく、俺が動いたのを見て笑いながらおはようと言って手を振ってくれている。まあ、スライムベッドに横になったままだったけどね。
そうか。ヴォイスさんが俺を見ていたから、サクラに美味しい水を出してくれと言った俺を止めてくれたんだな。
「おはようございます。すっかり寝落ちしましたね」
苦笑いする俺の言葉に、横になったままのヴォイスさんも何度も頷いて笑っている。
「なあケンさん、このスライムのベッドは、本当に素晴らしい寝心地だな。目が覚めた時には本気で驚いたが……冗談抜きで俺がテイマーになりたい。どうすればテイマーになれるのか教えてくれるか?」
若干掠れた声のヴォイスさんの言葉に、俺は笑いながら首を振った。
手には、こっそりサクラが出してくれた美味しい水の入った水筒がある。
「その話は、また後でしましょう。ちょっと先に顔を洗ってきます」
「そうだな。まずは、顔を洗うところからだな」
水筒を手にしたまま立ち上がった俺は、美味しい水を飲みながらとりあえず洗面所へ向かった。
美味しい水、今ある分は全部飲み干したんだけど残念ながら全回復とまではいかなかったよ。
でも、とりあえず酷い頭痛が少しは治ったっぽい。
一旦蓋を閉めて水筒を何度か揺すり、ちょっと重くなったところで出てきた美味しい水をもう一度ぐいっと飲み干す。
水の量はさっきの半分弱くらいしかなかったけど、まあなんとか頭痛は治ったので良しとしておこう。
跳ね飛んできたサクラにとりあえず美味しい水の入った水筒を返し、水場でとにかく顔を洗う。
「おお、冷たい水で顔を洗ったら目が覚めたな」
ここの水は結構ひんやりしているので、顔を洗ったら一気に目が覚めたよ。
「ご主人綺麗にするね〜〜!」
そう言ってサクラが一瞬で俺を包み込んでくれる。
解放された時には、いつもの如く濡れていた顔はサラサラだし髭まで綺麗になっている。それに汗ばんでいた体までサラッサラだよ。
「ううん、いつもながら良い仕事してくれますねえ」
笑ってサクラをおにぎりにしてから水の流れる水槽に放り込んでやる。
次々に跳ね飛んでくるスライム達も順番に受け止めておにぎりにしてから放り込んでやった。
ちなみに今日はまだ若干二日酔いが残っていたので、フリースローではなく文字通り放り投げるだけ。
でもまあ、心得ているスライム達は大喜びで投げられてくれたよ。
しかも本当なら投げる力が全然足りなくて水槽まで届かないところを、一度バウンドした後は自分で加速して水槽まで飛んでくれる自力矯正機能付き。いやあ、スライム達が有能すぎてマジで感激するレベルだよ。
水遊び大好きチームに場所を譲った俺は、来てくれたサクラだけを連れて部屋に戻る。
「さてと、ちょっと復活したので、二日酔いメニューは、海老を使ったお粥でも作ってみるとしようかねえ」
サクラの入ってくれた鞄を手にキッチンへ向かいながら、何を作ろうか考えてみる。
あのデカい鎧海老や車海老を刻んで雑炊にしたら、もうそれだけで間違いなく美味いやつだよな!
考えただけで美味しいのが分かって、ちょっと一人で笑み崩れた変なやつになっていたのだった。




