買い取り依頼とたこ焼きのバリエーション!
「熱っ! でも美味しい!」
取り分けてやった熱々のたこ焼きに、やっぱりいつもの如く顔面から突っ込んでいったシャムエル様は、熱い熱いと言いつつも大興奮状態でたこ焼きに齧り付いている。
両手で引っ掴んだたこ焼きのせいで体の前半分がソースまみれになっているけど、まあ自分で洗浄の術を使えるから気にしなくていいのだろう。
いつもの三倍サイズになったもふもふな尻尾をこっそり背後から突っつきつつ、俺もたこ焼きを一つお箸で摘んで息を吹きかけてから口に放り込んだ。
「熱っ! でも美味しい!」
さっきのシャムエル様と全く同じセリフを言った俺は、ハフハフと息をしながらもう少し冷まして初たこ焼きを満喫したのだった。
思った以上の再現度で、満足のため息を吐いた俺は取り出した冷えた白ビールの栓を開けてグラスに並々と注いだ。やっぱりここはビールの出番だよな。
それを見て即座に取り出されたショットグラスにも、こぼさないように入れてやる。
「「美味しいたこ焼きにかんぱ〜い!」」
ご機嫌なシャムエル様と乾杯してグイッとビールを飲み、もう一つたこ焼きを口に入れる。
結局、お皿に取った分を完食した俺は、ここで一旦試食を終了。
鉄板に残っていた分は別の大きなお皿に取り分けてソースとマヨネーズをかけ、鰹節の粉と青さ海苔も振りかけたところまでやってからサクラに収納してもらった。
「じゃあ、追加をガンガン焼いていくぞ。でもって具は、タコだけじゃあなくてエビとかホタテでも作るぞ。あ! 角切りにしたハムとかウインナーで焼いたのもいいかも。あいつらなら肉系も欲しがるだろうからな。サクラ、ハーブ系とかじゃあないシンプルなソーセージかウインナーってあったっけ? あと、ハムの塊のやつ」
「ええと、この辺りかな?」
机の上にいたサクラが、少し考えていくつか細長いソーセージとハムの塊を取り出してくれた。
「おお、いい感じだ。じゃあこれもこのくらいの大きさになるように角切りにしてくれるか」
適当に数本のソーセージとハムの塊をナイフで切り、見本を少しだけ切ってやる。
「はあい、すぐに切りま〜〜す!」
暇そうにしていたスライム達が即座に集まってきて、ソーセージとハムを即座に角切りにしてくれる。
具材の準備が完了したところで空いた場所に俺の机も取り出して並べ、とりあえず三台の巨大コンロを並べ、ジェムをセットしてから、先ほどと同じ手順でまずはたこ焼き用の鉄板に油を塗っていく。これで全部で四台のたこ焼き器がセットされた。
全部の準備が出来たところで片手鍋にたっぷりの生地を入れて、一台ごとにタコ、エビ、ホタテ、ソーセージの四種類の具材でセットしていく。
「よし、じゃあ焼いていくか!」
たっぷり生地を流し入れ、具も手早く入れていく。
ここは一旦火を止めればスライム達にも手伝ってもらえるから、手早く準備が出来る。
一通りの具材が入れ終わったところで改めて火をつけて様子を見て生地を追加する。
あとはひたすらひっくり返していくだけなので、ここは俺が頑張ってせっせと転がしていった。
うん、これくらいの数が同時に面倒見られる限界だね。
これを焼くのって案外楽しいから、具材の準備だけしておいて、たこ焼きを焼くところはハスフェル達にもやってもらってもいいかもしれない。
オンハルトの爺さんは言うに及ばず、ハスフェルとギイも案外器用だから、教えたら絶対面白がってやりそうだ。
そんな事を考えつつせっせと手を動かし、焼き上がったらそれぞれ具材ごとにお皿を変えて間違わないようにしながら取り分けていく。
熱々のうちにサクラに収納してもらって、あとはもうひたすら黙々と焼き続けた。
「はあ、とりあえずこれくらいあれば大丈夫だろう」
具と生地が無くなるまでガッツリ焼いたところで、一旦休憩して水分補給だ。
冷えた麦茶を飲みながら、部屋の中も結構暑くなっていたので窓を開けて外の空気と入れ替える。
「さて、あとは何を作ろうかな」
日が暮れるまでまだ少し時間がありそうだったので、散らかった机の上を片付けてくれているスライム達を見ながら考えていたら、軽いノックの音がして驚いて部屋に戻る。
「ケンさん、いらっしゃいますか?」
「はい! 今開けます!」
扉の外からの声に慌てて返事をしながら扉に駆け寄り、一応覗き窓から外にいる人を確認して、ギルドのスタッフさんなのを確認してから扉を開けた。
「ああ、良かった。いらっしゃったんですね。ギルドマスターからの伝言です。買い取りの数が決まったとの事ですので、お時間のある際にギルドへお越しください」
「了解です。ちょうど今手が空いたところなので、片付けが終わったら伺います」
「かしこまりました。では準備してお待ちしています」
笑顔で一礼したスタッフさんが帰るのを見送り部屋に戻る。
キッチンへ戻ると、いつもよりも大きなコンロをサクラが丸っと飲み込んでくれているところだった。
「おお、もう片付いたんだな。いつもありがとうな」
汚れた鉄板もお皿も、もう綺麗に片付けられていて机の上には何もない。
「ご主人、こっちの机は一旦片付けて良いですか? それともこのままにしておきますか?」
臨時で出していた俺の折りたたみ式の机の上にいたサクラが、触手で机を示しながらそう尋ねる。
「おう、そっちの机は片付けてくれていいぞ。それで片付けが終わったら、ジェムの買い取りをするからギルドへ行くよ」
「はあい、ちょっとだけ待ってくださ〜〜い!」
張り切った返事の後、一瞬で机が折りたたまれて最後のコンロと共にサクラが収納してくれた。
「ご苦労さん。それじゃあギルドへ行こうか」
次々に跳ね飛んでくるスライム達を鞄の中に全部収めた俺は、鞄を手にそう言い鍵を手に部屋を出たのだった。




