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もふもふとむくむくと異世界漂流生活  作者: しまねこ


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2097/2102

出発とひと狩り行こうぜ!

「本当に素晴らしい一振りを、ありがとうございます。心して使わせていただきます」

 俺達にもじっくり新しいヘラクレスオオカブトの大剣を見せてくれてから剣を鞘に収めたハスフェルが、満面の笑みで自分を見ていたフュンフさんにそう言ってから改めて握手を交わした。もちろん、ハスフェルだってもうこれ以上ないくらいの満面の笑みだよ。

「お喜びいただけたようで安心しました。ハスフェルさんのこれからに、この剣が少しでも役に立てれば作り手としてもこれ以上ない喜びです。万一、何か不具合があればいつでも言ってください。出来る限りの事をするとお約束しますよ。もちろんケンさんも、あの剣について何か気になる事があればいつでも言ってください」

 嬉しそうにそう言ったフュンフさんの言葉にハスフェルがもう一度礼を言い、俺も慌ててお礼を言ったよ。

「じゃあ、ギルドへ行って支払い手続きをして来よう。ケンは、また城の鍵をギルドに預けるんだろう?」

 早速ヘラクレスオオカブトの大剣を装備したハスフェルが、笑顔でそう言ってこっちを振り返った。

「ああ、また留守の間の管理継続をお願いしておかないといけないからな」

 収納していた鍵の束を取り出してみせながらそう言い、俺達はフュンフさんとここで別れて冒険者ギルドへ向かった。



「なあ、このまま海へ行く予定だったが、出来れば剣の試し切りをしてみたい。なので、ちょっとどこか近くで一狩りしてからでも構わないか?」

 冒険者ギルドへ向かっている途中で、もう我慢出来ないと言わんばかりの嬉々とした様子のハスフェルからそう言われて、俺はギイとオンハルトの爺さんと顔を見合わせてから揃って吹き出した。

「まあ、あの素晴らしい出来栄えの剣を見た後でそう言われたら、断る要素が何処にも無いな」

 笑ったギイの言葉に、俺とオンハルトの爺さんがもう一回揃って吹き出す。

「もちろん構わないよ。じゃあどこへ行くか考えておいてくれよな」

 この辺りの知識は皆無の俺がそう言うと、ハスフェルとギイは顔を嬉しそうに見合わせて頷き合っていた。



「おお、ケンさん。もしかして、もう出立か?」

 ちょうど冒険者ギルドの建物に到着したところで、ちょうどカウンターの中にいたガンスさんが俺達に気付いて慌てたようにそう言って走って出てきてくれた。

 笑顔で手を上げたハスフェルはそのまま支払い受付のカウンターへ行ってしまったので、何となく俺がガンスさんと話をする事になったよ。

「ええ、フュンフさんにお願いしていたハスフェルの剣も仕上がったので、そろそろ出発しようかと。ええと、また留守の間、お城の管理をお願いしたいんですが、どうすればいいですか?」

 そう言いながらお城の鍵の束を取り出してガンスさんに見せる。

「ああ、それならもう一回鍵の預かり証を出すからちょいと待ってくれるか」

 俺から鍵の束を受け取ったガンスさんがカウンターにいたスタッフさんに声を掛けてくれて、すぐに手続きしてくれたよ。

 って事で、俺は鍵の預かり証をもらい、ハスフェルは支払い手続きを終えて冒険者ギルドを後にした。

 俺達に気付いた街の人達からも笑顔で見送られつつ、街を出てしばらく街道沿いに進んでから、ハスフェルの案内で街道を離れて一気に駆け出した。

 しばらく走ったところで一旦止まり、巨大化してくれたファルコをはじめとするお空部隊の子達の背中に分かれて乗り込む。

 一応この辺りはまだ人目がある危険性があるので、ルベルは小さくなったままマックスのカゴの中にウサギトリオと一緒に収まっている。

 もちろん、このカゴもスライム達がしっかりと確保してくれているので大丈夫だ。

 まあ、ルベルは万一振り落とされても自力飛行出来るからいいんだろうけどさ。

「そう言えば、俺も飛行術を使えるようになったんだから、よく考えたらいちいちファルコに乗せてもらわなくても大丈夫なんだよなあ」

 羽ばたいたファルコが一気に空へ舞い上がったところで不意に思いついてそう呟くと、何故か急にバタバタと無駄に羽ばたいたファルコが甲高い声で一声鳴いた。

「ご、ご主人。もう私の翼は必要ありませんか?」

 首だけ振り返ったファルコに泣きそうな声でそう言われて、俺は失言を悟った。

「いやいや、あれは緊急事態用のものだし、結構疲れるから毎回は無理だって。頼りにしてるから、これからも乗せてくれよな。よろしくお願いします!」

 慌てた俺の言葉に、明らかにホッとした様子で嬉しそうにもう一回甲高い声で鳴いたファルコ。

「ごめんよ。頼りにしているからな」

 苦笑いした俺は、もう一度そう言ってそっと手を伸ばし、ふかふかなファルコの首の辺りをそっと撫でてやったのだった。

 ううん、分かってはいるんだけど改めて思うよ。

 従魔達の愛が重い! 重過ぎるぞ〜〜〜!



「この辺りに、ヘラジカのジェムモンスターの群れが出るスポットがある。草食だが、あれなら相手にとって不足はあるまい」

 到着した巨大な森の横にある草原に降り立ったところで、何やら嬉しそうなギイがハスフェルを見ながらがそう言い、ハスフェルも嬉しそうに何度も頷きつつ周囲を見回していた。

「森の比較的浅いところに、幾つかやや小さめの群れの反応がありますね。ちょっと見てきます。良さそうなのがあれば追い立てて連れてきますから、皆さんはあっちの方で待っていていただけますか」

 ファルコの背中に一緒に乗っていて降りてきたベリーが、姿を消したままでそう言ってからすぐに森の中へ入って行ってしまった。

 姿を消したままのフランマとカリディアがそれに続く。



「よろしく〜〜〜じゃあ、俺達はあっちだな」

 ベリーに言われた場所へ素直に向かいながら、こんなに森からあえて離れる意味を考えて無言になる俺。

「ええと、ヘラジカって……確か俺の元いた世界でもめっちゃデカい鹿だったよな。角も、それこそちょっとした木ぐらいはありそうな超デカいあれ……って事は、この世界のヘラジカって……」

 そう呟いて離れた森を見る。

 マックスの背に乗っていても、樹高の高さが分かる巨大な森の木々。

 もちろん、森林エルフの皆さんが住んでいたあの巨木に比べれば小さいけど、普通の森の木と考えればここの森の木は充分過ぎるくらいに大きい。最大クラスの巨木と言っていいだろう。

「なあ、ここに出るそのヘラジカのジェムモンスターって、どれくらいの大きさなんだ?」

 恐る恐るそう尋ねた俺は返ってきた予想通りの、いや、予想以上の答えに情けない悲鳴を上げて、戦う前から戦線離脱を宣言したのだった。



挿絵(By みてみん)

2025年11月14日、アース・スターノベル様より発売となりました「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」十二巻の表紙です。


もちろん今回も、れんた様が最高に可愛い表紙と挿絵を描いてくださいました!

前巻に引き続き、冬のバイゼンで楽しく大騒ぎです。

どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m

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― 新着の感想 ―
ヘラジカ(オス)の剥製を見たことがあるので、全身の姿とサイズは知ってますが、二度見どころか三度見しても、頭がバグる巨体ですよ……そんなヘラジカが異世界サイズ……地球のティラノサウルス(最大全長15m)…
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