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2020/2067

のんびり昼寝とこの後の予定

 ぺしぺしぺし……。

 ぺしぺしぺし……。

 ふみふみふみ……。

 ふみふみふみ……。

 ふみふみふみ……。

 ふみふみふみ……。

 カリカリカリ……。

 カリカリカリ……。

 つんつんつん……。

 チクチクチク……。

 こしょこしょこしょ……。

 ふんふんふんふん!

 ふんふんふんふん!

 ふんふんふんふん!

 ふんふんふんふん!

「うん、起きてるって……」


 いつもの従魔達総出のモーニングコールに起こされた俺は、なんとかそう答えて不意に我に返って慌てて目を開いた。

「いやいや、ちょっと待て。今って朝じゃあないよな?」

「ご主人起きた〜〜〜」

 腕の中にいたタロンが、嬉しそうにそう言って俺の鼻先をペロンと舐める。

「痛い痛い、人の皮膚は薄くて弱いから舐めてはいけませんよ〜〜〜」

 笑いながら、右手でタロンの小さな顔を捕まえて押さえながらそう言ってやる。

「ご主人起きた〜〜〜!」

 しかし、その直後に巨大化した猫族軍団に飛びかかってこられてあちこち舐められてしまい、俺は情けない悲鳴を上げたのだった。



「はあ、魔力は完全回復ってほどではないけど、まあまあ回復したかな?」

 この世界には明確な数値によるステータスの設定はないけど、さっきの魔力が枯渇したっぽい感じと今とでは全く違う。さっきは本当に倒れそうなくらいにフラフラだったんだよな。

 とりあえず水分補給に冷えた麦茶を取り出して飲みながら、立ち上がった俺は閉めたままになっていたテントの垂れ幕のところへ行って引き上げて外に出てみる。

「おお、やってるやってる」

 ここからは少し離れた河原の広い場所で、まさに絶賛バトル中のハスフェルとギイ、プラスオンハルトの爺さんが見えて思わずそう呟く。

「ううん、怪獣大決戦って感じだな。一般人の俺は見ただけで吹き飛ばされそうだ。怖い怖い」

 噴き上がる炎とすごい勢いで剣を振りかざす二人。でもって、時折別の術も炸裂しているらしく竜巻みたいなのが吹き上がったり、霧が発生してちょっとした爆発みたいになってる時もある。

 だけどこっちには一切風も吹いてこないし水も跳ねてこないところを見ると、何らかの結界的なものを張って守ってくれているものと思われる。

「うん、これぞまさしく、君子危うきに近寄らず。だな」

 肩をすくめて小さく笑ってそう呟くと、とりあえずテントの中に戻ってまだそのままだったスライムベッドの猫団子に飛び込んだ。

「まだ外は明るいし、それほどの時間眠っていたってわけではなさそうだな。まあいい、あいつらの検証はまだかかりそうだから、とりあえずもう一眠りさせてもらおう」

 俺の呟きを聞いて、今度はマニがいそいそと俺の腕の中へ頭を突っ込んできたので、笑って抱きしめてやる。

「今度の抱き枕役はマニですか〜〜ううん、これまたいい感じのもこもこだな」

 ニニやカッツェとはまた違った毛の密度に、なんだか嬉しくなってマニの胸元に顔を埋めた。

 目を閉じて三匹の鳴らす喉の音を聞きながら、俺は気持ち良く二度寝の海へ落っこちて行ったのだった。ぼちゃん。



 ぺしぺしぺしぺし……。

 ぺしぺしぺしぺし……。

 ふみふみふみふみ……。

 ふみふみふみふみ……。

 ふみふみふみふみ……。

 ふみふみふみふみ……。

 カリカリカリカリ……。

 カリカリカリカリ……。

 つんつんつんつん……。

 チクチクチクチク……。

 しょりしょりしょりしょり……。

 ふんふんふんふん!

 ふんふんふんふん!

 ふんふんふんふん!

 ふんふんふんふん!

「おおい、そろそろ起きてくれよ〜〜」

「腹が減ったんですけど〜〜〜」

「起きてくれ〜〜〜〜!」

 いつもの従魔達総出のモーニングコールに続き、ハスフェル達三人の声と共にペチペチと額や頬を叩かれる。

「お、おう。もう検証は終わったのか?」

 眠い目を擦りつつなんとか起き上がると、笑顔の三人が揃って大きく頷いた。

「おう、どれも予想以上の強度だったよ。あれならアサルトドラゴンの群れを相手にしてもなんとかなるだろうさ」

「後で、実戦に使う際の予備の剣を渡すから、ありったけ氷の剣を作っておいてくれるか」

 ハスフェルとギイの言葉に、俺も笑って頷く。

「了解、枯渇した魔力はほぼ回復したっぽいから、じゃあ後でまたがっつり作っておくよ。で、もう外は真っ暗みたいだけど、どうするんだ? 夕食を食べたら木の家に帰るのか? それとも、ここで野営しても大丈夫なのか?」

 彼らがつけてくれたんだろう、煌々と灯るランタンに照らされたテントの中はとても明るいが、外はもう真っ暗のようだ。

「別に野営しても大丈夫だが、食べたら一度戻ろう。そろそろベリーが帰ってきているだろうからな。生息地の様子次第では、先にそっちへ行ったほうがいいかもしれないから、準備は早めにしておきたい」

 最後は真顔になったハスフェルの言葉に俺も頷いて、とりあえず出してあった机の上に作り置きの料理を肉メインで色々と取り出したのだった。

 うん、何はともあれ、食える時にしっかり食っておかないとな。



挿絵(By みてみん)

2025年7月16日、アース・スターノベル様より発売となりました「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」十一巻の表紙です。

どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m


今回も、れんた様が最高の表紙と挿絵を描いてくださいました。

冬のバイゼンで、やっぱり色々と大騒ぎです。

草原エルフの双子のお兄さん達も登場です。

どうぞお楽しみに!

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