表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2014/2067

水遊び再び

「よし! とりあえず遊ぼう!」

 若干現実逃避な気もするが、とりあえず大きな声でそう言った俺は、アイスオーレを飲み干してから立ち上がった。お菓子の入ったお皿はシャムエル様が自分で収納してくれたみたいなので、自分のカップだけ収納する。

「ご主人、早く早く!」

 どうやら俺の声が聞こえたらしく、川からマックスがすごい勢いでこっちに向かって走ってきてテントの前で急ブレーキで止まった。

「あはは、出迎えご苦労。じゃあ行こうか」

 いつもと違ってマックスの毛皮はびしょ濡れだけど、気にせず鞍も手綱も無しのその背中に飛び乗る。

「ご主人はしっかり捕まっていてくださいね!」

 首の辺りの毛をしっかりと俺が掴んだのを確認してから、ぐるっと向きを変えたマックスはそのまま勢いよく川を目掛けて走り出した。いやあ速い!

「うひゃあ〜〜〜!」

 予想以上の速さにビビりつつ、体全体でマックスにしがみつく。

「ご主人確保〜〜!」

 その時、アクアの声が聞こえて下半身を包まれた感触がした。

「あはは、ありがとうな。これで落ちる心配が無くなったよ」

 笑ってそう言った俺は、俺の下半身をしっかりとホールドしてくれたアクアをそっと撫でた。

「ちゃんと確保してるから安心してね〜〜!」

 得意げなアクアのその声の直後に、走ってきた勢いのまま豪快に川へと飛び込むマックス。



「うひゃあ〜〜〜冷たい!」

 二度目の悲鳴は、笑い声と共に上がった。

「えいえいえい!」

 アクアがホールドしてくれているので、もう手を離しても落ちる心配はない。

 体を起こした俺は両手を使って水をすくい、こっちに向かって走ってきたテンペストとファイン目掛けて思い切り水をかけてやった。

 二匹はご機嫌で口を開けて俺がかけた水に噛みつき、豪快に水飛沫を跳ねさせる。

「これならどうだ!」

 両手では水が少ししかすくえないので、収納していた手桶を取り出し、両手でそれを持って水をすくい豪快に撒き散らかしたよ。

 ちなみにこの手桶は、元はお風呂用に買ったんだけど案外大きくて使いにくかったために水遊び用に下ろした一品だ。午前中の水遊びの時にも使っていたやつだ。

 それを見てセーブルとティグだけでなく、イグアナコンビのプリクルとウィップまで集まってきて、お空部隊の子達と共に一斉に俺の所に突っ込んできたよ。

「そうはさせるか! アクア、カヌーになってくれるか!」

 手桶で豪快に水を撒き散らかしつつそう言うと、一瞬で俺の下半身をホールドしていたアクアがスライムカヌーに変身してくれる。

 当然、マックスから離れる際に俺ごと離れてくれたので、俺はそのままスライムカヌーに乗り換えたような形になった。

「ご主人!」

 急に俺が背中からいなくなって慌てたマックスが振り返って、スライムカヌーに乗った俺を見て不満げにワンと鳴く。

「あはは、よし来い!」

 手桶ですくった水をマックスに向かって思いっきり撒き、水に噛みつきに行ったマックスがこれまた豪快に水を撒き散らかす。

「うひゃあ! だから冷たいって」

 またしてもパンツの中まで全身びしょ濡れの俺は、そう叫んでまた手桶で水をすくっては何度もマックス達に向かって水を撒き散らかしたよ。

 こっちに飛びかかってくる従魔達の間を、スイスイと器用に逃げるスライムカヌーの上は快適そのものだよ。

 もちろん、これだって本気でマックス達が襲ってきたら俺なんて一瞬で終わりなんだろうけど、当然心得ている彼らも普段の動きよりもかなりゆっくりで、ある意味飛びかかってこられたところを逃げるのは、水遊びでのお約束的展開になっている。



 そんな感じで楽しく豪快に水を跳ねて遊んでいると、遠くで俺を呼ぶ声が聞こえた。

 ハスフェル達がどうやら到着したらしい。

「うん、何も聞こえないぞっと」

 小さくそう呟き、気にせず豪快にバシャバシャと音を立てて水遊びを継続する。

 一瞬何か言いかけたマックス達だったけど、笑っている俺を見て気にせずまた遊び出した。

 そうそう、今は水遊びタイムだ!



「おおい! 俺達も入れてくれるか〜〜」

 その時、さっきよりもっと近くで声が聞こえて思わず振り返ると、鞍と手綱を全部外したシリウスとデネブ、エラフィに乗った、ハスフェルとギイ、それからオンハルトの爺さんが三人揃ってこっちへ向かって走ってきて、その声と同時に揃って川に飛び込んできた。

 当然、彼らが連れていたお空部隊の子達も一緒だから、もうあちこちから水飛沫が上がって大騒ぎ状態だ。

「ご主人遊ぼう!」

 そして、集まってきたスライム達が、これまた豪快に水を吹き出し始める。

「あはは、よし行け〜〜〜! スライムカヌーで突進だ〜〜〜!」

 笑った俺の叫びにハスフェル達が吹き出す。

 そして、俺の叫び声を聞いたアクアがググッと加速してハスフェル達目掛けて突っ込んでいく。

「捕まえた〜〜〜!」

 笑いながら逃げようとして果たせず、ハスフェルとギイがまずは突っ込んできたアクアに確保される。

「ご主人、一緒に遊ぼう!」

 それを見たサクラとアルファとゼータの声がして、スライムカヌーに合体する。

 ググッとスライムカヌーが大きくなって、ハスフェルとギイがスライムカヌーの後ろ側に並んで座っている状態になった。

 いつの間にか、オンハルトの爺さんはちゃっかり自分のスライム達が用意してくれたスライムカヌーに乗っているよ。

 シリウスもデネブもそれからエラフィも水遊びは大好きらしく、それぞれ楽しそうに浅瀬で豪快に水飛沫をあげて遊んでいる。

「とりゃあ〜〜!」

 手桶の水をまた豪快に撒き散らかしつつそう叫ぶ俺、そして背後から聞こえる二人の笑う声。

 振り返ると、彼らも手桶を手にして笑いながら水をすくって、集まってきたお空部隊の子達目がけて撒き散らかしている真っ最中だ。

 しかも、彼らは力があるので上空に向かって水を撒いても、俺の時みたいにそのまま落ちてこない。

 笑った俺は、今度は彼ら目掛けて思いっきり水をすくってかけてやり、二人揃った悲鳴を上げさせるのに成功したのだった。



挿絵(By みてみん)

2025年7月16日、アース・スターノベル様より発売となりました「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」十一巻の表紙です。

どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m


今回も、れんた様が最高の表紙と挿絵を描いてくださいました。

冬のバイゼンで、やっぱり色々と大騒ぎです。

草原エルフの双子のお兄さん達も登場です。

どうぞお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
朝から!?元気な大人たち(;^ω^)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ