従魔達の紹介とスライム達の事
「ええと、じゃあ俺達の連れている従魔達を順番に紹介しますね。それから、最後に驚かれる事があると思いますのでお楽しみに」
にんまりと笑った俺の言葉に、森林エルフの皆さんは揃って不思議そうにしていたのだった。
一通りの挨拶が終わったところで、森林エルフの皆様から俺達が連れている従魔達を紹介してくれとお願いされ、俺はもちろん喜んで順番に従魔達を紹介していった。
まず、ハスフェルとギイそれからオンハルトの爺さんに譲った子達を順番に紹介していく。
紹介するたびに全員が、大喜びできちんと人にするかのように挨拶をしてくれ、それからそれぞれの主人の許可を取ってから従魔達を撫でたり揉んだりしてくれるものだから、従魔達もご機嫌で撫でられながらドヤ顔になっていたのだった。
三人の従魔達の紹介が終わったところで、整列してくれた俺の従魔達を紹介していく。
従魔であるニニとカッツェが番になってマニ達三匹が産まれたって話をすると、それはすごく珍しいんだって感心していた。
まあ、ジェムモンスターよりも魔獣の方がテイムするのは格段に難しいので、そもそも同じ種類の魔獣を複数テイムするのは相当珍しいらしい。
森林エルフの皆さんは、外の世界に出る事はほとんどないらしいけど、知識は相当みたいだ。
でも、せっかくだから彼らにもケンタウロスの皆のように、実践を兼ねた知識も得てもらいたいんだけどな。
嬉しそうにマニ達を撫でる彼らを見て、ぼんやりとそんな事を考えていた俺だったよ。
「じゃあ、あとはスライム達ですね。おおい、全員集合〜〜!」
ハスフェル達の従魔を紹介する際にも、あえてスライム達を紹介しなかったんだよ。
もちろん、金色合成やクリスタル合成なんかを見せる為と、そもそも雪スライム自体超レアなのでそれも見せて驚かせる為だ。
当然、ちゃんとその辺りを心得ているスライム達は、アクア達は俺の鞄の中に、ハスフェル達の連れているスライム達も彼らのベルトにある小物入れの中にそれぞれ小さくなって収まっていたので、森林エルフの皆さんはそもそも俺達がそんなに大量のスライムを連れていると知らない。
「はあい、よろしくお願いしま〜〜す!」
俺の呼びかけに、それぞれの鞄と小物入れから次々にスライム達が飛び出してくる。
そして、合成は一切せず普通の状態でレインボーカラー、メタルカラーに分かれてそれぞれの主人単位で綺麗に整列した。
「ええ、スライムがどれだけいるんですか! しかもそのスライム達の色は……もしや、もしやメタルスライムですか?」
まず、メタルスライム達が整列するのを見て真顔になったサイプレスさんの叫ぶような言葉に、他の皆さんも揃って真顔になる。
「これは懐かしい。メタルスライムを直接見るのはいつ以来でしょうね」
感極まったかのように、菩提樹の枝代表のペルタムさんがそう呟く。
「確かに久しぶりに見ましたね。しかも全色揃っている。これは素晴らしいですね」
「しかも全員が全色連れているとは、これはなかなか見ない光景ですねえ」
腕を組んで感心したようにそう言っているのは月桂樹の枝代表のトラヴァさんと杉の枝代表のロウトスさん。
他の皆は、もう驚きすぎて言葉もないみたいだ。
ちなみに雪スライム達とレース模様のクロッシェは、アクアをはじめ他の子達と合体したままなのでまだここには整列すらしていない。
「この子がアクア、それでこっちがサクラ……」
まずはレインボースライム達から順番に紹介していく。
「おお、懐かしいですね。そうそう、スライムの手触りはこんな感じでしたね」
サイプレスさんが嬉しそうにそう言い、俺の許可を取ってからアクアをそっと両手でおにぎりにしていた。
他の皆さんも嬉しそうにスライム達を撫でたり揉んだりしていたんだけど、俺のスライム達を紹介し終えたところで一旦返してもらう。
「今から、驚かれる事をしますのでお楽しみに!」
こっそりシャムエル様に確認したところ、彼らは金色合成やクリスタル合成までは知識としては知っているらしいけど、そもそも雪スライム達まで合成出来るのは知らないらしいから、ここは驚かせてやらないとね。
それからレース模様のクロッシェも、ここなら大丈夫だと言われたので最後に紹介するつもりだ。
「もしや……」
ドヤ顔の俺の言葉に、皆が揃って笑顔になる。
「いいぞ」
俺の言葉に、アクア達が一瞬で金色合成を、メタルスライム達もクリスタル合成してみせる。それを見て、ハスフェル達のスライム達も一斉に金色合成とクリスタル合成してみせた。さらには羽根まで出して一斉に羽ばたいて空中に集まり揃ってポーズを決めて見せた。
「おお! これは素晴らしい!」
見事に全員の声が重なった。
「金色合成とクリスタル合成ですか。知識としては知っていましたが、この目で見るのは初めてです。これは美しいですね。しかも合成種のみが出来る翼まで。いやあ、素晴らしいですね」
半ば呆然とそう呟くサイプレスさんに、また全員揃ってうんうんと頷いている。
「実は、まだ他にもスライム達はいるんですよねえ」
「ええ、まだ他にもいるんですか?」
これまた一斉にそう言ってスライム達を見る。
心得たスライム達がまたバラバラになって整列して、そこから真っ白な子達が一斉に分離して整列する。
「雪スライム達です! 名前はこの子がアワユキ、それでこっちの子が……」
そして俺が順番に紹介して、最後に合図をしたところで全員の雪スライム達がそれぞれ一斉にダイヤモンドダスト合成をしたもんだから、広い部屋は、森林エルフの皆様の驚きと歓喜の叫び声埋め尽くされたのだった。
「そして最後のこの子が、レース模様のクロッシェです! 一応、今でも王都では懸賞金が掛けられているくらいに珍しい子らしいので、普段はアクアの中に隠れてもらってま〜〜す!」
笑った俺の言葉に先ほどよりも大きな歓喜と驚きの叫び声が響き渡り、俺は大興奮した彼らにクロッシェごと揉みくちゃにされる羽目になったのだった。