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もふもふとむくむくと異世界漂流生活  作者: しまねこ


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1987/2078

今日の予定

「ええと、それで今日はどうするんだ?」

 ドワーフさん達に簡単なサンドイッチの作り方を教えてから、朝食を食べ終えたところで食後のコーヒーを飲みながら地図を見ているハスフェルとギイを振り返った。

 彼らの横では、オンハルトの爺さんとランドルさん達も何故か同じ地図を見ながら何やら真剣に話をしている。

 他の皆も、食後のコーヒーを飲みつつそんな彼らを黙って見ている。

「ああ、ドワーフ達から今のここのかなり詳しい情報を聞けたからな。とりあえず、今日のところはすぐそこの巨木に出る、ヘラクレスオオカブトや昆虫系のジェムと素材集めをしようと思う」

「メタルブルーユリシスは、毎日ドワーフ達が交代で狩りに行っているそうだから、今回は、俺達は遠慮しておこうと思うが、構わないよな?」

 地図を手にしたギイの言葉に、皆も苦笑いしながら頷いていた。

 確かにメタルブルーユリシスは、俺達には必ずしも必要なジェムや素材って訳ではない。

 バイゼンまで持っていけばもちろん高く買い取ってくれるが、それ以外の場所では、実はジェムも素材もそれほどの値段にならないらしい。昆虫系ではまあまあくらいの値段なんだって。



 ちなみに、今回ここに来ている三十人のドワーフさん達は十人ずつ三つの班に分かれて、手分けして飛び地内を巡回しているそうだ。

 まず、一つ目の班がメタルブルーユリシスの出現場所へ行き、ひたすら狩り続ける。

 二つ目と三つ目の班はお互いの場所が重ならないようにしながら、特に目標は決めずに仲間同士で相談して何処へ狩りに行くのかを決めているそうだ。

 でもって最初に来た時にくじ引きで順番を決めていて、毎日一人ずつ交代でベースキャンプに残って料理担当をしているらしい。



 たいていの場合、まずどちらかの班がこの手前の巨木の林でヘラクレスオオカブトに始まる昆虫系のジェムと素材集めをしているらしいから、この辺りの素材とジェムは相当集まっているみたいで、俺達がいる間はそこは譲ってくれるんだってさ。

 なので、俺達がそこで狩りをしている間は、ドワーフさん達は普段はあまり行かないような奥地を主に攻略する事にしたらしい。

 だけどここに連れて来ている馬は馬車用の大型馬がほとんどで、乗馬用の馬は数匹程度みたいだし、確か昨日帰ってきた時にもほとんどの人が徒歩だった覚えがある。

 飛び地の中を徒歩で移動するのは大変だろうと思ってその辺りはどうしているのか尋ねると、何と、飛び地に来るにあたって全員分のムービングログを用意して持って来ているんだって。

 成る程。それなら馬に乗るのが苦手なドワーフさん達でも飛び地内を余裕で探索出来るわけか。

 でもまあ、それが目的でバイゼンから遠いこんな所にまで来ているんだから、頑張って色々と集めてください! って感じだよな。

 ここに来てそろそろひと月になるらしいんだけど、彼らがバイゼンから持って来た見覚えのある大量の大容量の収納袋には、既に相当量のジェムや素材が入っているんだって。



 それから、意外な事にあの激うまリンゴとブドウの繁殖地をドワーフの皆さんは知っていたらしいんだけど、単なる果物だと思っていたらしく、誰も収穫していないんだって。

 それを聞いて、ドワーフさん達がどれだけ頑固で考えが硬いか思い知らされた気がしたよ。

 彼らにしてみれば、ここに来た目的は一つでも多くのジェムや素材を集める為であって、どこにでもあるようなリンゴやブドウをわざわざここまで来て収穫するなんて、そもそも考えもしなかったらしい。

 それなら、そっちは俺達が喜んで収穫させてもらうよ。

 でもまあ、今日の所は新人さん達の資金集めも兼ねてヘラクレスオオカブトをはじめとする昆虫系のジェムと素材を集める事にしたので、収穫にはベリーが行ってくれるらしい。



 ちなみに、さっきディートヘルムさんに言われたんだけど、例のレシピノートを見た何人かがちょっと料理をしてみたいと言ってくれたらしく、しばらく料理担当は順番制ではなく希望者が交代で務める事にしたらしい。

「それなら、俺もしばらくベースキャンプに残った方がいいかな? レシピを見ながら、希望する料理の作り方やちょっとしたコツくらいなら教えてあげられるからさ」

 せっかくの新装備なんだから俺もちょっとは戦いたい気はするんだけど、昆虫系の出現場所は限られている。

 今回は仲間達の人数も多いし、俺には最強の従魔達がいるので無理に俺が参加しなくても大丈夫だからね。

「そうしていただけると、そりゃあ有り難いですが……よろしいので?」

 俺の提案を聞いたディートヘルムさんだけでなく、おそらく料理希望なのだろう数名のドワーフさん達が、言葉とは裏腹にキラッキラの期待に満ち満ちた目で俺を見上げながら揃ってそんな事を言っている。

「もちろんです。三十人分の料理を作るなんて俺でも大変ですからね。頑張って料理が出来るようになってくださいね」

「はい、頑張ります!」

 やる気満々なその答えに、他のドワーフさん達は大喜びしていたよ。

 って事で、しばらく俺のベースキャンプの居残りが決定したのだった。



 ハスフェル達の場合は、奥まで行ったらそっちで野営する事もあるだろうから、とりあえず手持ちの弁当や揚げ物なんかをまとめて色々と渡しておいたよ。

 ちなみに俺がベースキャンプにいる間の護衛役は、スライム達以外だとモモンガのアヴィとハリネズミのエリーとウサギトリオ、上空の制圧担当のファルコ、それからフランマとカリディアが居残ってくれる事になった。

 この二人はドワーフさん達には姿を見せず、こっそり守ってくれるんだって。有り難や有り難や。

 それでベリーは、例の激うまリンゴとブドウを収穫しに行くんだって。

 とはいえベリーなら、そこへ行くまでの間の通りすがりに出たどんなジェムモンスターだって、鼻歌混じりにサクッと全倒しして雪スライム達に回収させるんだよな。

 その光景が目に浮かんでしまい、笑いそうになるのを必死で堪えた俺だったよ。



 そのあと、張り切って出発するドワーフさん達を見送り、こちらも張り切ってあの巨木の林に突撃していくハスフェル達やリナさん一家と新人さん達とランドルさん、それから従魔達を見送った俺は、居残った全部で五名のドワーフさん達と一緒に、レシピノートを片手に実際に一緒に作りながら料理のやり方や下拵えの仕方など、料理をする人には当たり前だけど、ドワーフさん達は知らないだろう料理の基礎知識をひたすら説明していったのだった。

 最初こそ戸惑っていたけど、案外器用になんでもこなす彼らを見て、ちょっと感心した俺だったよ。

 でもまあ、これで料理に興味を持ってくれる人が一人でも多く出れば、遠征の食環境は少しは改善されるだろうから、是非とも頑張って覚えてください!

 とりあえず作業を始めた彼らを見て、俺も揚げ物の準備を始めたのだった。



挿絵(By みてみん)

2025年3月14日、アース・スターノベル様より発売となりました「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」第十巻の表紙です。

ついにもふむくも二桁の大台に突入です!

改めまして、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m


今回も引き続き、れんた様が表紙と挿絵を最高に素敵に可愛らしく描いてくださいました。

連載開始当初からの目的地であったバイゼンに、ようやくの到着です!

到着早々色々と騒ぎが起こります。

そして貴重な女性キャラも登場しますよ!

その貴重な女性キャラを描いた今回の口絵も大爆笑させていただきましたので、どうぞお楽しみに!




挿絵(By みてみん)

「もふもふとむくむくと異世界漂流生活〜おいしいごはん、かみさま、かぞく付き〜」

コミックアース・スター様にて、コミックス第四巻が2025年3月12日に発売となりました!

もちろん今回も作画はエイタツ様。


ハスフェルに続きギイも、それからフランマもコミックスに登場です!

いつもながら最高に可愛いもふもふむくむく達と、美味しい食事!

そして、地下洞窟と恐竜達とテイム!

盛り沢山なもふむくコミックス第四巻を、どうぞよろしくお願いします!

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