表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1978/2072

試食だ〜〜〜!

「よし、じゃあそろそろいい感じらしいので、今から中の肉を出すぞ〜〜〜!」

「お〜〜〜〜!」

 燻製している間の火の管理は、オンハルトの爺さんが火の術を使ってやってくれたので全面的にお任せしておいたよ。それでもうそろそろいいだろうと言われたところで俺は、満面の笑みで大きなバットを取り出しつつそう叫んだのだった。

 当然のように待ち構えていた全員の叫びがそれに続く。

 ちなみに、別荘からたちのぼる煙を見て火事でも起きたかと思って、血相変えて駆けつけてきてくれたマーサさんも一緒だ。

 驚かせたお詫びに燻製肉をご馳走する事にしたんだよね。上手く出来たらクーヘンの所にも持って行ってやろう。



「よし。では開けるぞ」

「おお〜〜〜〜!」

 火の始末をしてくれていたオンハルトの爺さんの掛け声に、さらに大きな掛け声が上がる。

 何この全員揃ったやる気満々っぷりは。

 そして大注目の中、オンハルトの爺さんがゆっくりと燻製箱の扉を開く。

「どわ〜〜〜〜! すっげえ煙!」

 モクモクって表現がぴったりなレベルに煙が出てきて、慌てて後ろに下がる。

 オンハルトの爺さんは即座にしゃがんで、開いた扉から上に吹き出す煙を回避していた。さすがだね。

 しばらく待って、煙が落ち着いたところで中を見てみる。

「うわあ、もうこれ絶対美味いやつ!」

 思わず叫んだ俺は間違っていないと思う。

 何しろ、紐でふん縛って吊り下げた赤かった肉はどれも艶々の茶色になっているし、壁面の棚に並べたチーズの塊やゆで卵も、これまたツヤツヤの飴茶色になっているんだから、これを見て叫ばずにいられようか、いや無い!

 無駄にキリッとした顔でそう考えた俺は、とりあえず一番近くにあった大きな塊を両手で取ろうとして思い止まった。これ、見るからに熱々だし素手で俺が触るよりも安全な方法がある。

「ええと、これって一旦全部回収してもらえるかな。それとも、まだ中も肉もかなり熱そうだから駄目かな?」

 声をかけたのは、足元にいたスライム達だ。

「はあ〜〜い! もう火は消えてるから大丈夫で〜す。では全部回収しま〜〜す!」

 張り切ったサクラの声が聞こえた直後、次々にスライム達が跳ね飛んで中へ入っていき、あっという間に中のものを全部回収してくれた。

 一応、入り口には俺が立って、スライム達が持ってきてくれた物を収納する振りをしておいたよ。

 スライム達の収納能力はリナさん達には内緒だからね。



「って事で、今から試食会をしたいと思いま〜〜す!」

 全部回収したところで振り返った俺がそう言うと、当然起こる拍手大喝采。

「どれどれ〜〜じゃあちょっと切ってみようかな」

 やや香りがきつい気もするが、もう見るからに美味しそうなベーコンになったバラ肉部分をマイナイフを取り出して、まずは縛っていた紐を切って外してから外側の飴茶色の部分を削ぎ切りにしてみる。

「では、一番に味見〜〜」

 大注目の中、削ぎ切りにしたそれをパクりと一口。外側部分だから火は充分通っているだろうと考えてのそのままの試食だ。

「何これ、美味過ぎる!」

 口を押さえて悶絶する俺を見てその場にいた全員が、マーサさんに至るまで即座にマイナイフを取り出したのを見て吹き出した俺だったよ。

 そして、当然のように全員が削ぎ切りにしたそれを口にして、全員揃って先ほどの俺と全く同じ叫びを上げたのだった。



「じゃあ、これを厚切りにして焼いたら、もっと美味くなるに決まってるよな」

 にんまりと笑った俺は、自分で収納している携帯用のコンロと小さめのフライパン、それから菜箸を取り出した。

 それを見て、また歓喜の叫びがあちこちから上がる。

「では、分厚く切りま〜〜す」

 全員が試食したために端っこ部分が歪な形になっていたけど、気にせずそのまま分厚く切り分ける。

「では、焼きま〜〜す!」

 もう、見ただけで美味しそうなピンク色になったベーコンを、そう言いながら火をつけたフライパンの上にそっと置く。

「うああ、この香りだけで飯が食えそうだ!」

 パチパチと脂のはねる景気の良い音と、立ち上る香ばしい香り。

 思わず深呼吸した俺を見て、これまた全員がそれに倣ったのだった。

「じゃあ、これも試食って事で、全員一切れずつな」

 両面をしっかり焼いたベーコンをまな板の上に置き、マイナイフで出来るだけ同じ大きさになるように人数分で切り分けた。

「では、いただきます!」

 何故か全員が大真面目な顔でそう言い、一斉に分厚いベーコンを口に入れる。

 その結果、もうあまりのおいしさに全員揃って悶絶する事になったのだった。

「よし! 皆が帰ってきたら、今夜は燻製肉パーティーだ! スモークチーズと燻製卵もあるから、絶対酒が進むやつだ!」

 満面の俺の叫びにまたしても全員から歓喜の叫びが上がり、その場は拍手喝采になったのだった。



挿絵(By みてみん)

2025年3月14日、アース・スターノベル様より発売となりました「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」第十巻の表紙です。

ついにもふむくも二桁の大台に突入です!

改めまして、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m


今回も引き続き、れんた様が表紙と挿絵を最高に素敵に可愛らしく描いてくださいました。

連載開始当初からの目的地であったバイゼンに、ようやくの到着です!

到着早々色々と騒ぎが起こります。

そして貴重な女性キャラも登場しますよ!

その貴重な女性キャラを描いた今回の口絵も大爆笑させていただきましたので、どうぞお楽しみに!





挿絵(By みてみん)

「もふもふとむくむくと異世界漂流生活〜おいしいごはん、かみさま、かぞく付き〜」

コミックアース・スター様にて、コミックス第四巻が2025年3月12日に発売となりました!

もちろん今回も作画はエイタツ様。


ハスフェルに続きギイも、それからフランマもコミックスに登場です!

いつもながら最高に可愛いもふもふむくむく達と、美味しい食事!

そして、地下洞窟と恐竜達とテイム!

盛り沢山なもふむくコミックス第四巻を、どうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ