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もふもふとむくむくと異世界漂流生活  作者: しまねこ


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1976/2077

燻製作り開始だ〜〜!

「それで、燻製作りって何からするんだ?」

 結局、オンハルトの爺さんについて俺達全員で裏庭にやって来たところで、手伝う気満々なハスフェル達がキラッキラに目を輝かせて何故か俺に尋ねてくる。

「いやいや。俺も燻製作りは一からやった事ないって。気にはなっていたけど、煙の事を考えると作れる場所は限られているから気軽には出来なかったんだよ。でもまあ、ここなら周囲への影響はなさそうだから、遠慮なく作れるな」

 笑った俺がそう答えると、納得したらしい二人が揃って言い出しっぺであるオンハルトの爺さんを見た。当然俺もそれに続く。

「では、二人には燻製作りの為の道具を組み立てるのを手伝ってもらおう。ケンには下ごしらえを頼んでいいか?」

 にんまりと笑ったオンハルトの爺さんに手書きのメモを渡された。

「それは、この前バイゼンで別れた後に会った、長年の俺の友人であるドワーフから貰ったレシピだ。それで実はケンにちょっと頼みがあってな」

 何やら遠慮がちなその言葉に、レシピを見ていた俺は驚いて顔を上げる。

「実はその友人のドワーフは趣味で色々と料理もしていてな。それで俺が冬の岩豚の話をしたら、金は定価で払うから、少しでいいので岩豚の肉を分けて欲しいと頼まれたんだよ。どう断ろうかと思っていたところにこのレシピを渡されてな。岩豚の肉で作れば間違いなく美味くなると力説するもんだから、結局、このレシピをケンが気に入れば岩豚の肉を売ってもいいと言ってしまったんだよ」

「あはは、成る程ね。ええと、俺は別に構わないけど……良いよな?」

 まだまだ捌いていない岩豚も大量にあるし、従魔達からは好きにしていいと言われている。それに、本当に渡してはいけない相手ならそもそもオンハルトの爺さんはそんな約束はしないだろう。

 そう考えた俺の言葉に、同じ考えだったらしいハスフェル達も苦笑いしている。

「まあ、別にお前が構わないなら、俺達が何か言うような事じゃあないさ。それより、俺は岩豚の肉で作った燻製肉がどれくらい美味く出来るか、そっちが気になって仕方がないよ」

「あはは、それは俺もめっちゃ気になる。じゃあまずは下拵えからだな」

 改めてレシピを見ながらそう言うと、笑ったオンハルトの爺さんが何やら大きな鉄板を何枚も取り出し始めた。

 この世界には、いわゆるプレス機的なものはないから手で叩いて伸ばすしかなく、あんな薄くて均一で綺麗な鉄板を作るのは、かなりの高等技術だと思う。さすがは鍛治と装飾の神様だね。

「では、燻製を作るための道具作りからだ。お前らも手伝え」

 そう言って笑いながら何本もの鉄の棒や金具も取り出し始めたオンハルトの爺さんを見て、笑顔で頷いたハスフェルとギイが駆け寄って手伝い始めた。

 俺にはさっぱりだけど、彼らには何をどうするのか分かるみたいだ。



「じゃあ、俺はこっちで肉の下拵えをするから準備はよろしく!」

「おう、任せろ!」

「下準備は任せた!」

 笑った二人からの言葉に、オンハルトの爺さんも笑って頷く。

「おう、じゃあ作業開始だ!」

 彼らの作業を邪魔しないように、少し離れたところにいつもの大きい方の机を取り出してセッティングした俺は、やる気満々で控えているスライム達を見た。

「じゃあ、今から肉の下拵えをするからお手伝いよろしく!」

「はあい! 頑張ってお手伝いしま〜〜〜す!」

 サクラが取り出してくれた巨大なバラ肉を手にした俺の言葉に、張り切ったスライム達が一斉にそう言い跳ね飛んで集まってきた。



「ええと何々? まずは塩漬けにして脱水するのか。ここはスライム達に頼めるな。レシピによると、まずは粗塩をしっかりと揉み込み肉の水分を取るのか。よし、まずはここからだな。ああ、誰かこのメモ、常に見えるように確保しておいてくれるか」

 四つ折りにされていたそれなりの大きさのメモは、折り癖がついていて何度開いてもすぐに折りたたまれてしまう。

 苦笑いした俺の言葉に、側にいたベータが即座にメモを確保して広げてホールドしてくれた。

 出遅れたアルファとイプシロンが悔しそうにプルプルと震えた後に離れるのを見て、ちょっと笑ったのは内緒だ。

 俺の指示の元、塊単位に切り分けた岩豚の肉をスライム達がせっせと手分けして塩漬けにしては飲み込んでいく。

 ここは時間がかかるので、いつもの時間経過を加速させる時短の出番だ。

 指定時間分が終われば、今度はその塩を洗い流して軽く乾燥させるんだって。

 その間に、俺はレシピを見ながらスパイスを配合していく。

「ブラックペッパーにホワイトペッパー、あればピンクペッパーも、それからシナモンにナツメグ、グローブにオールスパイス。乾燥ガーリックにセージ、タイム、ローズマリーにカルダモン。それから乾燥パセリ。よしよし、全部あるな」

 レシピを読み上げる俺に合わせて、サクラが大きな瓶に詰まったスパイスをせっせと取り出してくれる。

「誰か〜このスパイス全部、それぞれ砕いてもらえるか〜〜」

 取り出したスパイスを種類ごとにボウルに計って入れながらそう言うと、アルファとゼータとアクアが来てくれたので手分けして砕いてもらい、改めて一番大きなボウルにスパイスを全部入れてかき混ぜておく。

「ご主人、言われた下準備終わりました〜!」

「穴あけもしっかりしました〜〜!」

 穴あけとは、スパイスが染み込みやすいようにフォークなどを使って肉に穴をあける地味に大変な作業だ。

「おう、ご苦労さん。じゃあ次はこのスパイスを揉み込んでいくぞ。全体に振りかけたら、こんな感じで満遍なく揉み込んでいくんだ」

 一応初めてする作業なので実際にやって見せながら説明する。

 集まったスライム達は、真剣な様子で聞いていたが、すぐに理解したみたいで次々に作業を開始してくれた。

 そしてここでも時間経過の技が大活躍だ。

 とはいえ、ここは一週間分くらいらしいから、ちょっと時間がかかったんだけどね。



「おお、なんだか凄いのが出来上がったな。この中で燻すんだな」

 振り返ったところで、出来上がっていた燻製用の大きな箱の数々を見て、思わず笑顔になる。

「一応、岩豚の燻製なら絶対にこれだと言われて大量に桜のチップを貰ってきたから、これを使うよ」

 笑ったオンハルトの爺さんの言葉に、俺も笑顔で頷く

 確かに燻製と言われて、俺もすぐに思いついたのが桜のチップだったからな。

「本当はもう少し早く作りたかったんだが、色々あってすっかり忘れておったよ」

「その友達は、待ちくたびれて泣いているかもな」

 俺の言葉に、オンハルトの爺さんは笑って首を振る。

「彼曰く、待つのも楽しみのうちのそうだからいつまでかかってもいいと言われているよ。だがまあ、ケンが許可してくれるのなら、後でひとっ飛び、肉を届けに行ってくるさ」

 その言葉に俺も笑顔で頷く。転移の扉を使えば、何処でもすぐだもんな。

「おう、じゃあ俺達の感想も持って行ってくれよな」

 笑顔の俺の言葉に、嬉しそうに頷くオンハルトの爺さんだった。



挿絵(By みてみん)

2025年3月14日、アース・スターノベル様より発売となりました「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」第十巻の表紙です。

ついにもふむくも二桁の大台に突入です!

改めまして、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m


今回も引き続き、れんた様が表紙と挿絵を最高に素敵に可愛らしく描いてくださいました。

連載開始当初からの目的地であったバイゼンに、ようやくの到着です!

到着早々色々と騒ぎが起こります。

そして貴重な女性キャラも登場しますよ!

その貴重な女性キャラを描いた今回の口絵も大爆笑させていただきましたので、どうぞお楽しみに!




挿絵(By みてみん)

「もふもふとむくむくと異世界漂流生活〜おいしいごはん、かみさま、かぞく付き〜」

コミックアース・スター様にて、コミックス第四巻が2025年3月12日に発売となりました!

もちろん今回も作画はエイタツ様。


ハスフェルに続きギイも、それからフランマもコミックスに登場です!

いつもながら最高に可愛いもふもふむくむく達と、美味しい食事!

そして、地下洞窟と恐竜達とテイム!

盛り沢山なもふむくコミックス第四巻を、どうぞよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
コミカライズから始まり、やっと最新話迄追いつきました。 最初の小規模岩食い騒動の時位にドラゴンがこんな所に居るなんてって話が合ったかと思うのですが、この伏線回収はまだされてないで良いですか? バイゼン…
メモを持ってたベータがスパイスを揉みこんでる。 メモは誰かと交代したのかな?
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