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街へ戻ろう!

大変お待たせいたしました!

本日より更新を再開させていただきますm(_ _)m




「じゃあ、まずは俺の分です。追加の岩豚の肉も他のお肉も、それから野菜もたっぷりあるから、どうぞあとは好きなだけ持っていってください」

 いつもの簡易祭壇にひとまず俺の分を一式並べて、手を合わせて小さな声でそう呟く。

 現れたいつもの収めの手が俺を何度も撫でてから嬉々として山盛りの岩豚の肉を撫でまわし、お皿ごと持ち上げる振りをする。それから一緒に供えていた冷えたビールも撫でてから持ち上げる振りをして、最後に俺に向かってOKマークを作ってから消えていった。

 今回みたいに肉を焼きながら食べる時は、最初にこう言っておけばあとは好きに持っていってくれるからな。

 ハスフェル達のところへいそいそと移動する収めの手を見て小さく吹き出してから、俺は自分の分を持って席に戻る。

 改めて手を合わせてからコンロに火を付け、早速岩豚の肉を並べ始めた。



「あ、じ、み! あ、じ、み! あ〜〜〜〜っじみ! ジャカジャカジャン!」

 岩豚の焼肉と聞いて大興奮状態のシャムエル様は、久々の正統派味見ダンスの後に手にしたお皿を突き上げるようにしてクルっと一回転してキメのポーズだ。

 ちなみに今回は、カリディアはまだベリー達と一緒に食事中でこっちに来ていないのでこれも久々のソロダンスだよ。

「はいはい、ちょっと待ってくれよな。豚肉はしっかり火を通さないと駄目だからな」

 とはいえ、焼きすぎも良くない。

 今にも鉄板に突撃していきそうなシャムエル様をとりあえず確保した俺は、慎重に焼き加減を確認しつつ先にシャムエル様のお皿に好きなだけ入れてやる。

「岩豚の脂で焼いた春キャベツとキノコ、それから新玉ねぎも入れておくからな。美味しいから野菜も食べなさい」

 放っておくと肉ばっかり食べるので、念を押して野菜も色々と入れておく。

「了解です! この脂で焼けば野菜も美味しくなるもんね。ありがとうね。では、いっただっきま〜〜〜す!」

 嬉々としてそう叫んだシャムエル様は、やっぱりいつものように頭からお肉の山に突っ込んでいった。

「で、当然俺は尻尾を確保する。っと」

 大興奮状態でいつもの三倍サイズに膨れたシャムエル様の尻尾をこっそりと摘んでやり、俺はもふもふ尻尾を満喫しながら岩豚焼肉を堪能したのだった。



「さて、それじゃあ一旦街へ戻ってから次は飛び地かな?」

 大満足の焼肉を食べ終え、一応自制しながら地ビールを少しだけ飲んでいた俺は、そう言ってハスフェル達を振り返った。

「俺は一度風呂に入りたいからさ」

 俺の言葉に皆も同じ気持ちだったらしく揃って顔を見合わせて苦笑いしつつも頷いていると、不意にムジカ君達が声を上げかけて止まった。

「ん? どうかしたか?」

 見ていると、顔を突き合わせた五人が慌てたように、何やら真剣な様子で指を折って相談を始めた。

「あの、申し訳ないんですが、飛び地へ行くのはちょっと待っていただけますか」

 しばらくして振り返った、もの凄く申し訳なさそうなムジカ君の言葉にシェルタン君とレニスさん、それからマールとリンピオまで真顔で揃って頭を下げてきたのだ。

「ええ、一体どうしたんだ?」

 地ビールの入ったグラスを置いて驚いた俺がそう尋ねる。

 戻ってきていたベリー達と話をしながらワインを飲んでいたハスフェル達やリナさん一家、ランドルさん達まで揃って驚いて彼らを見る。

「実は、冒険者ギルド主催の新人講習があるのをすっかり忘れていました」

「俺達は、戦闘の基礎は出来ているから前半の基本戦闘の講習は免除されていて、後半の冒険者としての基礎知識の座学と実習の講習に参加するように言われていたんです」

「確かその後半の講習も、全部で五日くらいあったはずで」

「それで日を確認したら、そろそろ戻らないと講習に間に合わないって事に、今気が付きました!」

「申し訳ありません!」

 口々に理由を話し、最後は声を揃えて謝ってからまた揃って頭を下げる五人。

 まあ、確かに元々の予定ではちょっと狩りをしてすぐに戻る予定だったからな。

 それを聞いた皆が、納得して揃って苦笑いになった。うん、初心者講習は大事だよな。

「よし、じゃあ蟻の大発生に関しては冒険者ギルドに報告しておいた方がいいだろうし、一度街へ戻って彼らの講習会の間は俺達は別荘へ戻ってゆっくりするか。別に急いで行かなくても、飛び地は逃げないさ」

 笑ったハスフェルの言葉で、この後の予定が決定したのだった。



 その夜は従魔達に周囲を囲んでもらっていつものようにベースキャンプで休み、翌朝早々にその場を撤収した俺達はそれぞれの騎獣に乗って急いで街へ戻った。

 言っていた初心者向け講習会にはギリギリで間に合ったらしく、五人は揃って安堵のため息を吐いていたよ。

 実を言うとその講習会にはちょっと興味はあったんだけど、何故か勝手に最初から上位冒険者扱いされている俺は、そもそも人数に数えられてすらいなかったよ。

 俺、一般常識に関しては思いっきりまだ初心者だと思うんだけどなあ……。

 嬉々として毎日講習会に出掛けていく五人を別荘で見送りつつ、若干モヤっとしている俺だったよ。



挿絵(By みてみん)

2025年3月14日、アース・スターノベル様より発売となりました「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」第十巻の表紙です。

ついにもふむくも二桁の大台に突入です!

改めまして、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m


今回も引き続き、れんた様が表紙と挿絵を最高に素敵に可愛らしく描いてくださいました。

連載開始当初からの目的地であったバイゼンに、ようやくの到着です!

到着早々色々と騒ぎが起こります。

そして貴重な女性キャラも登場しますよ!

その貴重な女性キャラを描いた今回の口絵も大爆笑させていただきましたので、どうぞお楽しみに!





挿絵(By みてみん)

「もふもふとむくむくと異世界漂流生活〜おいしいごはん、かみさま、かぞく付き〜」

コミックアース・スター様にて、コミックス第四巻が2025年3月12日に発売となりました!

もちろん今回も作画はエイタツ様。


ハスフェルに続きギイも、それからフランマもコミックスに登場です!

いつもながら最高に可愛いもふもふむくむく達と、美味しい食事!

そして、地下洞窟と恐竜達とテイム!

盛り沢山なもふむくコミックス第四巻を、どうぞよろしくお願いします!

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