表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1969/2073

終わった??

「うわっ、また爆発した」

 もうもうと上がる黒煙の中から、また新しい爆発音が聞こえて思わずそう呟く。

 その様子が、バイゼンで見たあのケンタウロス達による岩食いとの戦いに酷似していて思わず息を呑む。

 しかも上空から見ると、爆発している場所が意外に近いのが分かってちょっと怖くなったよ。

 燃えている範囲もかなりの広範囲だけど、森の生き物達は大丈夫なのか? それに、万が一にも他の冒険者がここに来ていたなんて事は無いよな?

 色々と心配だけど、とはいえ今の俺に出来る事なんて何もない。

 早く終わってくれる事と皆の無事を祈りつつ無言で燃える森を見下ろしていると、突然、先ほどまでとは比べ物にならないくらいの巨大な大爆発が起こった。しかも、一発ではなく連続して広範囲の爆発だ。

 ぶわりと、爆発の衝撃波と熱気がここまで上がってくる。

 慌ててローザの羽を掴み直した俺だったよ。

「ご主人。念の為もう少し上がりますね」

 意外に冷静なローザの声が聞こえた直後、大きく羽ばたいてさらに上空へ上がる。

 それぞれのご主人や従魔達を背に乗せた他の鳥達も、一斉に上空に舞い上がって行った。



「どうやら今のが最後だったらしいな」

「静かになったな。終わったかな?」

 見下ろすハスフェルとギイの呟きに、俺も思わず下を見る。

 確かに、もう爆発音は聞こえない。まあ、もうもうと黒煙が上がっているし、森はまだ燃えているみたいなんだけどさ。

 ううん、あの火が消えるのを待つだけでも相当の時間がかかりそうだ。

 不安に思いつつ下を見ていると、何故か急に視界が曇り出した。

「ん? 何だ?」

 思わず目をこすりながらそう呟いたが、何故か視界の曇りは一向に晴れない。

「あ? もしかしてこれって……」

 空気が急激に湿り気を帯び始めたのに気付いてそう呟くと、苦笑いしたハスフェルが上空を指差した。

「ビショ濡れになりたくないから、もう少し上がるぞ」

 その言葉に答えるように、一声鳴いたお空部隊の面々が一斉にまた上空に舞い上がった。

 もう、地上ははるかに遠いよ。



「ねえ。あれってもしかして、火を止める為に術で広範囲に雨を降らせているの?」

「みたいだな。うわあ、すっげえ。あんな術、有り得ねえって」

 水の術を扱えるレニスさんとムジカ君が、揃って地上を見下ろしながら呆然とそう言っている。

「まあ、ベリーのする事だもんなあ」

 呆れたようにそう呟く俺。

 目を輝かせたリナさんとアーケル君が新人さん達に、広範囲に雨を降らせるような最高位の水の術がどれだけ難しいか。そして扱えるのは本当にごく一部の人のみだというのを必死になって説明していた。

「まあ、ベリーのする事だもんなあ」

 もう一回そう呟いた直後に、笑ったベリーの声が念話で届いた。

『ケン、それは褒め言葉と思っていいのでしょうかね? 何故か褒められている気が全くしませんけど』

『あはは、もちろん褒め言葉だよ』

 笑って念話を返す。もちろんトークルーム全開状態だから、ハスフェル達にも声は届いている。

『ご苦労。終わったか?』

 真顔のハスフェルの言葉に、真顔になった俺ももう一度下を見下ろす。

 今は雨雲がかなり低い位置に出ているので、上空からは燃える森は見えない。

『はい。火もほぼ消えましたが、念の為もう少し降らせてから術を解きます。それまでもう少し上空で待っていてくださいね。大丈夫になったらお知らせしますので』

『了解だ。じゃあよろしく頼むよ』

 苦笑いしたハスフェルの声が聞こえたけど、トークルームはそのままだ。って事は、火が完全に消えるまでそれほど時間はかからないとベリーは判断しているって事だな。

 密かに安堵しつつ特にする事もない俺は、俺の下半身を確保してくれているアクアとサクラを無意識に撫でていたのだった。

 ちなみにシャムエル様は俺が上空に上がったところから姿を消していてここにはいない。

 多分だけど、ベリーと一緒にいるか、あるいは別行動で大発生に対応してくれていたのだろうと思われる。

 まあ、今回はベリーが頑張ってくれたみたいだし、あの火の術を見るに、フランマも頑張ってくれていたのだろう。カリディアは確か幻術と水の術が得意だって言っていたから、もしかしたらあの雨は、ベリーだけではなくカリディアも一緒に降らせているのかもしれない。

 でもまあメテオの出番がなかったから、今回の大発生はそこまでの緊急事態ってわけでは無かったんだと思いたい。

 小さく安堵のため息を吐いた俺は、下から聞こえる雨音を聞きながらもう一度、今度は大きなため息を吐いたのだった。



挿絵(By みてみん)

2025年3月14日、アース・スターノベル様より発売となりました「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」第十巻の表紙です。

ついにもふむくも二桁の大台に突入です!

改めまして、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m


今回も引き続き、れんた様が表紙と挿絵を最高に素敵に可愛らしく描いてくださいました。

連載開始当初からの目的地であったバイゼンに、ようやくの到着です!

到着早々色々と騒ぎが起こります。

そして貴重な女性キャラも登場しますよ!

その貴重な女性キャラを描いた今回の口絵も大爆笑させていただきましたので、どうぞお楽しみに!





挿絵(By みてみん)

「もふもふとむくむくと異世界漂流生活〜おいしいごはん、かみさま、かぞく付き〜」

コミックアース・スター様にて、コミックス第四巻が2025年3月12日に発売となりました!

もちろん今回も作画はエイタツ様。


ハスフェルに続きギイも、それからフランマもコミックスに登場です!

いつもながら最高に可愛いもふもふむくむく達と、美味しい食事!

そして、地下洞窟と恐竜達とテイム!

盛り沢山なもふむくコミックス第四巻を、どうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ