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撤収と大量発生!

「いやあ、何度見ても可愛いなあ」

「本当に、キラキラしていて可愛いわね」

 シェルタン君とレニスさんは、揃ってクリスタル合成したスライムを嬉しそうにおにぎりにしながら、さっきから何度も同じセリフを言い続けている。

 ちなみに、その隣ではムジカ君とマールとリンピオも、揃って同じように満面の笑みでそれぞれ自分のクリスタルスライムをおにぎりの真っ最中だ。

 ちなみに、前回は出会う前だったからメタルスライムを全くテイムしてもらっていなかったオリゴー君とカルン君は、家族と従魔達の協力の元で集めたメタルスライムをアーケル君とリナさんにそれぞれお願いしてテイムしてもらい、こちらも無事にコンプリートしてメタルマスターの称号をもらっているよ。

 まあ、彼らは普通のスライムもまだコンプリート出来ていないから、旅をしながら順番に新しい色の子がいればテイムしてもらっている途中なんだって。

 ちなみに、ここはメタルスライム以外だと定番のクリアーとピンククリアーしか出ないから、ここでは普通のスライムはサクッと狩られていたよ。



「さて、無事に全員がメタルマスターの称号持ちになった事だし、そろそろ場所を変えるか? それとも、一旦街へ戻るか?」

 俺的には、そろそろ風呂に入りたいので一度街へ戻りたいところだが、このカルーシュ山脈の奥地へ来るのは貴重な機会でもあるので、もう少し奥地の探索を続けても良いかとも思う。

 俺の言葉に、ハスフェルとギイ、それからオンハルトの爺さんが顔を寄せて相談を始めた。

「ここ以外は、まとめてジェムモンスターが出現する場所は無いからなあ」

「だよな。この場所は個々のジェムモンスターや魔獣が基本的に桁違いに強いから、遭遇率自体はかなり低いんだよなあ」

「あの、それなら一旦街へ戻って荷物の整理をして収納袋を空にして、それから皆で飛び地へ行ってみるのはどうですか?」

 横でハスフェル達を見ていたランドルさんが、右手を挙げてそう提案する。

「まあ、この顔ぶれならそれもアリだな。あ、それなら俺はあの激うまリンゴとブドウをもうちょっと収穫しておきたいです!」

 何となく俺も右手を挙げてからそう言ってみる。

 飛び地と聞いて、新人さん達も揃って目を輝かせている。

 それで相談の結果、このまま一旦撤収して今夜は安全な場所で野営して明日街へ戻り、準備を整えてから皆で飛び地へ突撃する事になった。

 まあ、新人さん達にも色々と素材やジェムを持たせてあげたいからね。確かに飛び地ならガッツリ集められるだろう。



 そんなわけで、その場を撤収した俺達はそれぞれの従魔に飛び乗り走り出した。出来れば日が暮れるまでに安全地帯まで撤収したいからね。

 しかし、走り始めてしばらくした頃、従魔達がまた急に警戒し始めた。

 日が暮れるまでにはまだ少し位時間があるが、そろそろ日が傾き始める時間だから、大物とは会いたくない時間だ。

「どうした? また何かいるのか?」

 そっとマックスの首元を叩いてそう尋ねると、足を止めずにチラッとこっちを見たマックスは小さくワンと吠えた。

「まだ少し遠いですが、何やら妙な気配がこっちに向かって来ているんです。どうやら群れのようなんですが、犬科の子ではありませんね。ちょっと危険な気がするので警戒しています」

 その言葉に驚いて周囲を見回すが、残念ながら俺が見える範囲は特に何も変わらない気がする。

「ええと、このまま進んで大丈夫なのか?」

 一応、俺達は外に向かって進んでいるわけだから、その何かが奥地側から来ているのだとすれば逃げ切れると思ったんだ。

「ううん、それがよく分からないんですよ……」

 困ったようなマックスがそう言った直後、頭の中にベリーの声が響き渡った。



『蟻のジェムモンスターの大量発生です! あれは危険ですので私の術で駆逐します! 今すぐに全員、空に逃げてください!』



 どうやらこの警告は俺達だけでなくその場にいた全員に聞こえてたらしく、ベリーの存在自体知らない新人さん達は、それぞれの騎獣から転がり落ちそうなくらいに驚いていた。

 しかし、突然の念話での警告に驚くだけの俺達と違い、同じく警告が届いたのであろう従魔達の行動は素早かった。

 巨大化して上空を旋回して警戒していたお空部隊プラスアルファ、つまり全員が連れている翼を持つ子達が全員最大サイズにまで一気に巨大化し、次々に俺達をその大きな脚で鷲掴んでその背に乗せてくれたのだ。

 もちろん、以前セーブルと遭遇した時みたいに例えば俺の場合、巨大化したファルコが俺の肩を掴んで上空に持ち去り、上空で同じく巨大化したローザの背の上に落としてくれたのだ。

 サーカス団も真っ青な曲芸飛行だって。

 ほぼ全員がそんな感じで自分の翼を持つ従魔の子の背に乗り、その次にそれぞれの従魔達も低空飛行した翼を持つ子達の背に軽々と飛び乗っていく。

 ジャンプ力の低い子達は、俺達にしたみたいに誰かが鷲掴んで上空に連れて上がってから他の子の背の上に落としていた。

 当然のように広がったスライム達が、鳥の背に乗った俺達や従魔達をしっかりと確保してくれる。

 全員が上空に上がるまで、おそらく1分もなかったくらいのもの凄い早技だったよ。



 素晴らしいその行動力と速さにただただ感心していると、何やら後方で突然大きな爆発音が響き、直後に大きな黒煙が複数上がった。

「蟻の大量発生とは、また災難だな」

「それにしても、俺達やベリーがいる場に出てくるとは、タイミングが良いのか悪いのか分からんな」

 真顔のハスフェルとギイの会話を聞いて、何だか嫌な予感がしてきた。

『ええと、質問だけど蟻のジェムモンスターの大量発生って、何がまずいんだ?』

 以前俺が戦ったバッタの大発生を思い出しつつ念話でそう尋ねると、揃ってこっちを見た二人が大きなため息を吐いた。

「蟻のジェムモンスターは、通常なら一匹あたりの大きさがこれくらいだ」

 そう言って、ギイが軽く手を広げる。1メートルくらいだ。

「だが、大量発生すると何故か基本的な大きさが巨大化する」

 そう言って、思い切り両手を広げてもっと大きいと言っている。つまり余裕2メートル越え……。

「しかも、蟻が大量発生すると何故か凶暴化して視界に入るもの全てが捕食対象になる。そいつらが万一にも群れなしてここから出ていけばどうなるかなんて、考えなくても分かるよな。以前誰かさんが戦ったバッタの大群と同じか、それ以上に危険な大発生だよ」

 意外に冷静な二人の説明に、まだ黒煙をあげている背後を振り返る。

「まあ、今回の討伐はベリーに任せておけばいい。一応、見届けは必要だろうからもうしばらく待ってくれ」

 真顔のハスフェルの言葉に頷いた俺は、また爆音が聞こえた背後を見ながら小さく息を飲み込んだのだった。

 ベリーやフランマ、カリディア達なら大丈夫だとは思うけど、どうか誰も怪我したりしませんように!

 側にいたタロンを無意識に抱きしめつつ、必死になって早く終わる事を願った俺だったよ。



挿絵(By みてみん)

2025年3月14日、アース・スターノベル様より発売となりました「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」第十巻の表紙です。

ついにもふむくも二桁の大台に突入です!

改めまして、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m


今回も引き続き、れんた様が表紙と挿絵を最高に素敵に可愛らしく描いてくださいました。

連載開始当初からの目的地であったバイゼンに、ようやくの到着です!

到着早々色々と騒ぎが起こります。

そして貴重な女性キャラも登場しますよ!

その貴重な女性キャラを描いた今回の口絵も大爆笑させていただきましたので、どうぞお楽しみに!





挿絵(By みてみん)

「もふもふとむくむくと異世界漂流生活〜おいしいごはん、かみさま、かぞく付き〜」

コミックアース・スター様にて、コミックス第四巻が2025年3月12日に発売となりました!

もちろん今回も作画はエイタツ様。


ハスフェルに続きギイも、それからフランマもコミックスに登場です!

いつもながら最高に可愛いもふもふむくむく達と、美味しい食事!

そして、地下洞窟と恐竜達とテイム!

盛り沢山なもふむくコミックス第四巻を、どうぞよろしくお願いします!

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