メタルスライムのテイムラッシュだ!
「うああ、やっぱり肉は美味いな〜」
「ケンさんが出してくれる肉は、どれも本当に美味しいんですよね」
分厚く切って焼いた熟成肉を一切れ口に入れたアーケル君の呟きに、真顔で頷いているリナさん。
その横ではアルデアさんと、オリゴー君とカルン君をはじめ新人さん達全員とランドルさんが、揃って首がもげそうな勢いで頷いている。
ハスフェル達も、揃って満足そうな笑みで分厚いお肉を満喫中だ。
「確かに、この熟成肉は美味しいよな。しかも焼くだけだから、俺は楽出来て嬉しいよ」
付け合わせは手持ちの作り置きがあるから、本当に切った肉を焼いただけだ。しかも焼くのはアーケル君とギイが手伝ってくれたから、さらに楽ちん度合いが増している。
「これを簡単だと言ってくれる、料理上手なケンさんに乾杯です!」
俺の言葉を聞いた満面の笑みのアーケル君がそう言って手にしたワイングラスを高々と掲げる。
ドッと笑いと拍手が起こり、そのままもう一回乾杯になったのだった。
「はあ、美味しかった。ごちそうさまでした。お腹いっぱいだよ」
がっつりお肉を俺のお皿から強奪していったシャムエル様も、大満足でそう言い尻尾のお手入れを始めている。
「はい、お粗末様。それだけ喜んで食べてくれたら俺も嬉しいよ」
笑ってこっそり尻尾の先をちょっとだけ突っついてから、俺は待ち構えていたアクア達に汚れた食器を渡した。
調理に使ったフライパンやトングは、もうすっかり綺麗になっているし、他の皆が使った食器もスライム達が手分けして綺麗にしてくれている。
綺麗になった食器を全部収納してから、俺は少し考えてハスフェル達を振り返った。
「いつもならこのまま宴会に突入するんだけど、さすがにここで飲むのは駄目だよな?」
一応、従魔達が総出で周囲を取り囲んでくれているので中は安全だけど、食事のお供のワインやビールと違い、ここで飲むのはちょっとまずいと思う。
一応、俺は食事の時に白ビールを一杯飲んだだけで、そのあとは麦茶を飲んでいる。
ここは冗談抜きで危険地帯なんだから、俺は安全第一位なんだよ!
結局、なんとなく食後の宴会は無しでそのまま早々に各自が用意したテントに入って休む事になった。
マックスやニニ達が全員周囲の警戒に当たってくれているので、今夜も俺のベッド役は巨大化したウサギトリオだ。
そして抱き枕役は何やら従魔達総出の長い相談ののち、フランマが担当してくれる事になったらしく、嬉々として潜り込んできたフランマを俺は大喜びで抱きしめたのだった。
いやあ、ウサギトリオのベッドと抱き枕役のフランマのもふもふバージョンも、なかなかに良き寝心地だ。
「それじゃあ、おやすみなさい。ちゃんとお守りしていますから、ゆっくり安心して休んでくださいね」
笑ったベリーの声が聞こえて、ランタンの火が落とされる。
「いつもありがとうな。じゃあ守りはよろしくお願いします。おやすみ……」
欠伸を噛み殺しつつそう言って目を閉じた俺は、いつもの如くあっという間に眠りの海へ落っこちていったのだった。ボチャン。
翌朝、いつもよりも少ないモーニングコールに叩き起こされた俺は、眠い目を擦りつつなんとか起き上がった。
戯れてくる従魔達を順番におにぎりにしてやり、満足したところで身支度を整えてから顔を洗いにテントの外に出た。
相変わらず見事に水を噴き出している水場で顔を洗い、スライム達を順番に泉へ放り込んでやる。
金色合成やクリスタル合成が解禁になったので、サクラ達は楽しそうにはしゃぎながら時折合成してはまた分解したりして遊んでいたよ。
もちろん、マックス達水遊び大好きチームの子達も駆け寄ってきたので、笑って場所を交代してやった。
「おはようございます」
「おはようございます。ああ、スライム達が楽しそうですね」
ボルヴィスさんとアルクスさんの声が聞こえて、慌てて振り返る。
羽付きクリスタル合成したメタルスライム達と、彼らが連れている普通のスライム達が跳ね飛んで空中戦をして遊んでいるのを見て思わず笑顔になったよ。
「おはようございます。おおい、交代するからそろそろ戻ってこいよ〜〜」
「はあい、じゃあ水遊びは終了で〜〜す!」
ご機嫌なアクア達の返事と、マックス達やお空部隊の子達の返事も聞こえて笑った俺はそのままテントに戻った。
当然、一瞬でびしょ濡れだった毛皮をスライム達に綺麗にしてもらったマックス達も後を追いかけて戻ってきて周囲の警戒に戻ってくれた。
「ありがとうな。じゃあ、もうちょっと守りはよろしく!」
跳ね飛んで戻ってきてくれたサクラを鞄の中にインしてからそう言った俺は、とりあえずいつもの朝食メニューを手早く準備したのだった。
食事を終えた後は、昨日相談していた通りに俺達はラメ入りジェムを求めてスライム狩りを、新人さん達五人は連れている従魔達にも手伝ってもらって、せっせとメタルスライムを確保してはテイムしていた。
こっそりマックス達に確認したところ、一応、他の従魔達も狩りの度にさりげなく確認していて、まだ彼らがテイムしていないレアな色の子がもしもいたら、とにかく確保するようにしていたらしい。
そんな従魔達の協力もあって、無事に次の日には全員がメタルマスターの称号を得る事が出来て、全員揃って拍手喝采になったのだった。
お疲れ様でした〜〜〜!
さて、このあとはどうするかねえ?
2025年3月14日、アース・スターノベル様より発売となりました「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」第十巻の表紙です。
ついにもふむくも二桁の大台に突入です!
改めまして、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m
今回も引き続き、れんた様が表紙と挿絵を最高に素敵に可愛らしく描いてくださいました。
連載開始当初からの目的地であったバイゼンに、ようやくの到着です!
到着早々色々と騒ぎが起こります。
そして貴重な女性キャラも登場しますよ!
その貴重な女性キャラを描いた今回の口絵も大爆笑させていただきましたので、どうぞお楽しみに!
「もふもふとむくむくと異世界漂流生活〜おいしいごはん、かみさま、かぞく付き〜」
コミックアース・スター様にて、コミックス第四巻が2025年3月12日に発売となりました!
もちろん今回も作画はエイタツ様。
ハスフェルに続きギイも、それからフランマもコミックスに登場です!
いつもながら最高に可愛いもふもふむくむく達と、美味しい食事!
そして、地下洞窟と恐竜達とテイム!
盛り沢山なもふむくコミックス第四巻を、どうぞよろしくお願いします!




