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おはようと朝の準備

 翌朝、いつもよりもかなり少ない従魔達によるモーニングコールに起こされた俺は、眠い目を擦りつつなんとか起き上がって思いっきり伸びをしながら欠伸をした。

「ふああ、ウサギトリオの寝心地もなかなかだったよ。ありがとうな」

 ニニやマックスとは全く違う、もっと柔らかくてふわふわなウサギトリオを順番に撫でてやりながらゆっくりとスライムベッドから降りて立ち上がった。

 俺が起きるのに合わせてググッと変形して背中を押してくれたスライム達が、俺が立ち上がってウサギコンビが飛び降りてから、一斉にばらけて地面に転がる。

「おはようございます、ご主人。リナさん達がまたお水を出してくれたよ!」

 足元に転がってきたアクアが、嬉しそうにそう言ってビヨンと伸び上がる。

「そうか、この近くには水場が無かったからな。じゃあ、有り難く顔を洗わせてもらうか」

 一応、しっかりと装備は確認して身支度を整え、剣もちゃんと装着してからテントの垂れ幕を上げた。

 従魔達が守ってくれているとはいえ、ここは間違いなく危険地帯なんだから、用心するに越した事はないからね。特に俺の場合……。



 外に出てみると、確かにテントを張った場所から少し離れた草地の真ん中に、いつもよりもやや小ぶりな泉が出来上がっていた。小ぶりとはいえ充分な広さはあるので、あれなら少々の数のスライム達が入っても余裕で大丈夫だろう。

 泉の真ん中には、地面に突っ込まれた一本の太めの筒からいつものように豪快に水が噴き上がっている。

 だけどいつもと違うのは、その筒は完全に水の中に沈んでいて、そこから水を噴き上げている事。なので、これなら泉に入ったスライム達は、流れる水の勢いにのって噴水の水と一緒に上まで噴き上げられて遊べるだろう。

 既に顔を洗い終えたらしいハスフェルとギイ、それからオンハルトの爺さんの連れているスライム達が全員揃って泉の中に入っていて、予想通りに豪快に噴き上がる噴水で噴き飛ばされながら大はしゃぎで水遊びの真っ最中だ。

 それから泉の縁ギリギリのところにも、泉に向かって斜めに突き刺されている細い筒があり、そこからも勢いよく水が噴き出している。

 あれが、顔を洗ったり飲み水を取ったりする時用の水なのだろう。



「おはよう。今朝は良い天気みたいだけど、お天気は大丈夫なのかな?」

 キャーキャーと歓声を上げつつ噴き上げられて楽しそうなスライム達を見ながら、まずはハスフェル達と挨拶を交わす。

「ああ、おはよう。もう起きたのか。まだならそろそろ起こしに行ってやろうかって話をしていたところなのに、残念。ちなみに、今日は一日良い天気のようだぞ」

 俺の声に振り返ったハスフェルがそう言って笑う。危ない危ない、のんびり寝ていたら寝込みを襲われるところだったらしい。

「おはよう。じゃあ場所を変わるよ」

「おはよう。おおい、そろそろ水遊びは終了だ。テントに戻るぞ」

「はあい。今行きま〜〜す!」

 ギイとオンハルトの爺さんとも挨拶を交わしたところで水中から元気な返事が一斉に聞こえ、その直後にそれぞれに一瞬で合成した羽付きスライム達が泉から飛び出してきて、空中に並んで留まり、俺に向かってポーズをそれぞれに決めてから、ご主人のところへパタパタと飛んでいった。

 笑って、飛んできた羽付きスライムを撫でたりおにぎりにしたりしているハスフェル達。

 うんうん、どの子も皆可愛がってもらっているみたいで俺も嬉しいよ。



 笑って手を振って一旦テントに戻る三人を見送り、まずは俺も手早く顔を洗う。

 サクラに綺麗にしてもらってから、順番に跳ね飛んでくるスライム達を受け止めてはおにぎりにしてやってから泉へフリースローで放り込んでやった。

 まあ、これは少々時間はかかるが貴重な朝のスライム達との一対一でのスキンシップタイムだから、おろそかにはしないよ。

 それから、集まってきたマックス達とお空部隊の水遊び大好きチームに場所を変わってやる。

 今は、周囲の警戒には猫族軍団の子達が担当してくれているみたいだ。

「じゃあ、また作り置きで朝飯だな。さて、今日は何があるのやら」

 小さく笑ってそう呟いた俺は、一つため息を吐いてよく晴れた早朝の空を見上げた。

 そして泉の噴水だけでなく、スライム噴水まで始まって豪快にあちこちに向かって噴き出す水を見て、他の人達が連れている水遊び大好き従魔達までが嬉々として集まってきてしまい、泉の周りは大騒ぎになったのだった。



「適当にしておけよ」

 いつまで経っても水遊びが終わりそうにないので、笑った俺はそう言って一旦テントの中へ戻った。

 ちゃんと心得てくれているサクラが、一瞬で跳ね飛んできて俺の鞄の中へ飛び込んでくれる。

「せっかく皆と一緒に楽しく水遊びしていたのに、いつもサクラだけ途中で抜けさせてしまって悪いな」

 鞄を軽く叩きながらそう言ってやると、ビヨンと鞄の中から細い触手が伸びてきて一瞬だけ俺の腕に絡まってすぐに戻った。

「大丈夫だよご主人。だってこれはサクラだけの大事なお役目だからね。あのね、ご主人と一緒にするお食事の準備やお料理の用意は、サクラにはすっごく楽しい時間なんだよ。だって、その間はご主人を独り占め出来るんだもん! だから気にせずどんどん頼ってくださいね。ご主人、これからもよろしくね」

 何とも健気な事を言われてしまい、鞄に手を突っ込んでサクラを何度も撫でてやったのだった。

 そして、改めて従魔達にとっての主人の大切さと大きさを思い知らされた気がして、ちょっと目がウルッときたのは内緒だよ。



挿絵(By みてみん)

2025年3月14日、アース・スターノベル様より発売となりました「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」第十巻の表紙です。

ついにもふむくも二桁の大台に突入です!

改めまして、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m


今回も引き続き、れんた様が表紙と挿絵を最高に素敵に可愛らしく描いてくださいました。

連載開始当初からの目的地であったバイゼンに、ようやくの到着です!

到着早々色々と騒ぎが起こります。

そして貴重な女性キャラも登場しますよ!

その貴重な女性キャラを描いた今回の口絵も大爆笑させていただきましたので、どうぞお楽しみに!




挿絵(By みてみん)

「もふもふとむくむくと異世界漂流生活〜おいしいごはん、かみさま、かぞく付き〜」

コミックアース・スター様にて、コミックス第四巻が2025年3月12日に発売となりました!

もちろん今回も作画はエイタツ様。


ハスフェルに続きギイも、それからフランマもコミックスに登場です!

いつもながら最高に可愛いもふもふむくむく達と、美味しい食事!

そして、地下洞窟と恐竜達とテイム!

盛り沢山なもふむくコミックス第四巻を、どうぞよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
サクラちゃんだけ色々と大変だよね……と、ずっと心配してましたが、ご主人ラブな独占タイムだったのね~!(苦笑) うん、みんなえぇコや!
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