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メタルスライム狩りとテイムだ!

 せっかくだから、レアなメタルスライム出ろ!

 心の中でそう願いつつ、俺は手にした小石を茂みに向かって思い切り投げつける。

 一瞬の沈黙の後、爆発したかのように茂みからものすごい数のスライム達が飛び出してきて四方八方に跳ね飛んで逃げる。

 そのほとんどは定番の透明とピンクのスライムだったが、その中に確実に何匹かメタリックな輝きを放つスライム達がいるのが見えたよ。

「よし! こっち来た!」

「見つけた!」

 直後にシェルタン君達新人五人の叫ぶ声が重なる。

 そして叫ぶ声とほぼ同時に、豪快にメタルスライムを弾き飛ばす音も複数聞こえた。

 嬉々として、五人がメタルスライムが吹っ飛んでいった方へ走っていく。

 ちなみに、ボルヴィスさんとアルクスさんもちゃっかり自分のメタルスライムを弾き飛ばしていたから、初回はテイム希望者全員に、何色かはまだわからないけど確実に確保出来たみたいだ。

 スライムに関しては、もう新色以外はテイムしない事にしている俺は、こっちに跳ね飛んできた何匹かのスライムを咄嗟に取り出した硬鞭で豪快に叩き落とした。

 こういう複数同時を相手にするような乱戦の時は、剣よりも打撃に特化したこっちの方が戦いやすいんだよな。

 もちろん、俺が使ったのはバイゼンのあの武器と防具の専門店で購入した硬鞭だよ。

「お、何個かラメのジェムが落ちたな」

 足元にゴロゴロ転がる小さなジェムを一つ拾って思わずそう呟く。

 メタルスライムのジェムは、元の色に関わらずこのラメの入った色付きジェムが落ちるから、ジェムの種類は一種類だけなんだよな。

 思わず手にしたラメ入りのジェムを太陽に透かしてみて、そのレアな煌めきをじっくり鑑賞する。



「ねえケンさん! この子って何色ですか?」

 その時、シェルタン君達の何やら興奮した声が聞こえて、俺は慌ててそっちを振り返って思わず声を上げた。

 何しろ、新人コンビだけでなく、ボルヴィスさんとアルクスさん達全員の手にあったのは、超レアのオリハルコンカラーとアダマンタイトカラー、それからミスリルカラーのメタルスライム達だったんだからさ。

「おお、これはまた一番のレアカラーが出る回に当たったみたいだな。それはミスリル、こっちがアダマンタイトで、これがオリハルコンだよ」

 ちなみに、シェルタン君とムジカ君とボルヴィスさんがテイムしたのがミスリルの子で、レニスさんとアルクスさんがテイムしたのがアダマンタイトの子、そしてマールとリンピオのテイムした子がオリハルコンの子だったのだ。

「うわあ、最初に超レアな色の子をテイム出来たなんて幸先良いよな!」

 俺の言葉に、皆笑顔で新たにテイムした子達をおにぎりにしたり撫でたりして大喜びだ。

「じゃあ、あとは頑張ってラメ入りジェムをしっかり確保してくれたまえ。ええとボルヴィスさんとアルクスさんはどうしますか?」

「俺達は、次も違う色のメタルスライムをテイムさせていただきますので、皆さんは遠慮なく狩ってください」

 片手剣とやや大きめの盾を手にしたボルヴィスさんと、幅が太くて少し短めの両手剣を手にしたアルクスさんが揃って笑顔でそう言って身構える。

「了解です。集めるお手伝いはしなくてもいいですか?」

 一応念の為にそう尋ねると、二人は揃って笑顔で首を振った。

「一匹ずつ集めるのも楽しいですからね。俺達は自力確保を楽しみますのでご心配なく」

 笑ったアルクスさんの言葉に、ボルヴィスさんも笑って頷いている。

「了解、じゃあ自力テイム頑張ってくださいね。それじゃあ次いくぞ〜〜!」

「は〜い!」

 笑った全員の声が返る。

 ちなみにハスフェル達三人の手には鞭が、ランドルさんの手には俺と同じあのバイゼンで新たに購入した硬鞭が握られていた。

 足元に散らばっていた小さなジェムは、もう全部スライム達が回収してくれているからもう何も落ちてないよ。

「レアっ子、来い!」

 今度は声に出してそう言いながら、拾った小石を力一杯茂みに向かって投げつける。

 またしても一斉に茂みから飛び出してきて、あちこちに跳ね飛んで逃げるスライム達。

「よっしゃ〜〜! メタルカラー見つけた!」

「来た〜〜〜!」

 ムジカ君の叫びにレニスさんの歓喜の叫びが重なり、次々にジェムになって転がるスライム達。

 そして、またしても吹っ飛んでいく二匹のメタルスライム。

 ううん、年齢問わず、新人さん達の動体視力もなかなか優秀みたいだね。



 結局、俺達は日が傾き始めるまで延々とスライム狩りを続けたのだった。

 その結果、ボルヴィスさんとアルクスさんはレアっ子を含めて五匹ずつテイム出来て、並んだ子達を見て俺達は揃って拍手を送ったのだった。

 って事でその日のテイムとスライム狩りはそこまでにして、テントを張る為に一旦その場は撤収して移動する。

 まあ、普通の冒険者なら日が暮れる前に危険地帯から離れなければいけないけど、俺達には強くて頼もしい従魔達がいるから、危険地帯であるカルーシュ山脈の奥地でもベースキャンプを張るよ。

 もちろん、安全の為にギリギリに密集して張ったテントの周りを従魔達が取り囲んでくれている。

 作り置きで簡単に夕食を済ませた俺達は、明日に備えて早々に休んだのだった。

 さすがのハスフェル達も夕食の時に少しワインを飲んだだけで、ここでは普段ならいつもする食後の酒盛りはしなかったよ。

 おやすみを言ってそれぞれのテントに戻る皆を見送り、俺も手早く片付けて早々に休む事にしたのだった。

 ちなみに、マックス達は周囲の警戒に当たってくれているので、今夜の俺のベッドはウサギトリオが最大サイズに巨大化してくれたので、その隙間に潜り込んだよ。

 そして抱き枕役は、新入り従魔であるサーベルタイガーのファングが務めてくれた。

 中型犬サイズになったファングの毛皮のもこもこっぷりはなかなか良かったんだけど、向かい合わせになって抱きしめると長い牙が俺の顎の下辺りに当たって若干痛かったし邪魔だったので、少し考えて背中側から俺が抱きつく形にしてみた。

 これがなかなかに良かったので、ファングを抱き枕にする時はこの体勢でいく事にしたのだった。

 ファングの後頭部に顔を埋めた俺は、ゆっくりと深呼吸をして目を閉じる。

「それではおやすみなさい。周囲の警戒には私達が張った罠もありますので、どうぞ安心してお休みくださいね。セーブルくらいのジェムモンスターが突っ込んできても防げますので」

 ランタンが消されて真っ暗になった中でも分かるドヤ顔で得意そうなベリーの言葉に、寝そうになっていた俺は堪える間も無く吹き出したのだった。

 ううん、本当に頼もしい仲間が大勢いてヘタレな俺でも安心出来るよ。

 はあ、このもっこもっこなファングの後頭部の毛並みも、良きだねえ……。



挿絵(By みてみん)

2025年3月14日、アース・スターノベル様より発売となりました「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」第十巻の表紙です。

ついにもふむくも二桁の大台に突入です!

改めまして、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m


今回も引き続き、れんた様が表紙と挿絵を最高に素敵に可愛らしく描いてくださいました。

連載開始当初からの目的地であったバイゼンに、ようやくの到着です!

到着早々色々と騒ぎが起こります。

そして貴重な女性キャラも登場しますよ!

その貴重な女性キャラを描いた今回の口絵も大爆笑させていただきましたので、どうぞお楽しみに!





挿絵(By みてみん)

「もふもふとむくむくと異世界漂流生活〜おいしいごはん、かみさま、かぞく付き〜」

コミックアース・スター様にて、コミックス第四巻が2025年3月12日に発売となりました!

もちろん今回も作画はエイタツ様。


ハスフェルに続きギイも、それからフランマもコミックスに登場です!

いつもながら最高に可愛いもふもふむくむく達と、美味しい食事!

そして、地下洞窟と恐竜達とテイム!

盛り沢山なもふむくコミックス第四巻を、どうぞよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
新人さん達は定番のクリアピンクとクリアブルーをここでテイムしたんだろうか? そしてスライムが1匹もいなかった3人は、次回の更新で例の先輩達の洗礼を受けるのかな?
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