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もふもふとむくむくと異世界漂流生活  作者: しまねこ


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1958/2097

春の花畑

「うああ、気持ち良いぞ〜〜〜!」

 全力で走るマックスの背の上で、俺は笑いながらそう呟いた。

 頭上の空は真っ青な快晴で、ご機嫌で走るマックスの背の上はそれほどの揺れもなく快適だ。

「じゃあ交代で狩りに行ってくるから、マックス、ご主人をお願いね」

 ニニがそう言い、カッツェと一緒にマニを連れて群から外れる。巨大化した猫族軍団の面々がそれに続いて次々にその後を追って離れていくのを見て、俺の従魔達だけじゃあなくて、全員の連れている猫科の子達も一気に離れていった。

 おかげで従魔の数が半減したけど犬族軍団や草食チームをはじめ、お空部隊の子達、それから巨大化したセーブルが残ってくれているから不安は一切ないよ。

 普段は猫族軍団と一緒にいる事が多いセーブルだけど、こんな風に郊外に出た時には、俺の護衛役でずっと側から離れずにいてくれる。

 猫科の子達と違って、セーブルは絶対に肉がないと駄目って訳ではなく、まあもちろん肉もあげれば喜んで食べるけど、どちらかというと果物や昆虫、それから小動物の方が好きみたいだ。

 普段から、果物はベリー達と一緒に食べているし、昆虫や小動物なら無理に遠くへ行かなくても、周囲の草地や茂みで充分集まるんだって。

 まあ、巨大化したセーブルが側にいてくれれば間違いなく俺の安全度は爆上がりするから、俺的にはありがたい限りだよ。

 そんな事を考えながらセーブルを見ていたら、俺の視線に気付いたみたいでセーブルがこっちを向いて目を細めて口を開けた。

 あれはニニ達がよくやっている、声のないにゃーを真似たやつだ。

 笑ったみたいな顔になるこれが、俺は最高に好きなんだよな。

 残念ながらマックスの上にいる今は手が届かないので、エアなでなでして我慢しておく。



 そのまま走り続けた俺達は、花が満開の広い草原を見つけてそこで一旦止まった。

 そこは、もう視界に入る地面が全部、見事なまでに一面真っ青な花で埋め尽くされている。

 まあ、他の色の花も咲いていないわけじゃあないんだけど、ほぼ視界に入る全部が水色の花。

 それを見たリナさんとレニスさんが揃って可愛らしい歓声をあげた。

 確かにこれは、リナさんやレニスさんが座ったらめっちゃ絵になる光景だろう。アーケル君達も、実年齢はさておき一見美少年の彼らなら、あそこに座ったり立っただけで雑誌の表紙を飾れそうなくらいに絵になるだろう。

 残念ながら、あとは若干の差はあるがむさ苦しい野郎ばかり。花よごめん、って感じだ。



「へえ、これって何だっけ……ああ、そうそう。ネモフィラだ」

 マックスの背から飛び降りた俺は、足元に咲く直径3センチくらいの青い花を見て笑顔になった。

 花びらの縁の部分がぐるっと1センチくらいが水色になっていて、真ん中部分が丸く白いその花には見覚えがある。

 これは近くの植物園が、毎年春になるとネモフィラの花畑を作って、ネモフィラフェアーを開催していたんだよな。ばえる写真が撮れるんだとかで、大人気のイベントだったらしい。

 それで、近くの道路にも花の写真付きの幟が立っていたし、最寄りの駅には花畑の写真の大きなポスターも貼られていたから、俺でも名前を知っている貴重な花なんだよ。

「ねえケンさん! この花でも花冠って作れるでしょうか?」

 目を輝かせたアーケル君にそう聞かれて思わず足元の花を見る。

「ううん、どうだろう。シロツメクサやレンゲと違って茎が柔らかそうだからちょっと無理なんじゃあないかな?」

 そう言いながら、そっと手を伸ばして一本ちぎってみたけど、案外茎が細いし短い。葉っぱもやや分厚くて柔らかい上に水気が多そうだから、花冠にするのはちょっと無理があると思う。

「ううん、残念。じゃあ花束にするか」

 苦笑いしたアーケル君がそう言いながら花畑に入っていき、足元の青い花をちぎり始めた。

 それを見て他の皆も次々に花畑に入っていった。

 シェルタン君は、それはそれは真剣な様子で花を長めにちぎって花束を作り始めている。あれは間違いなくレニスさんに渡すつもりだな。うん、頑張れ。

 もう完全に保護者目線でそんな事を考えつつ、俺は手にした一輪のネモフィラを見てから右肩に座っているシャムエル様を見た。

「ほら、青い帽子だ」

 そう言って、花のすぐ下で茎の部分を千切ってから、シャムエル様の頭の上に花をうつ伏せにして被せてやる。

「わあい、青いお花の帽子だ〜〜!」

 嬉しそうにそう言って、花を撫でる。

 その隣に一瞬で現れたカリディアが俺をじっと見るので、もちろんもう一輪千切ってカリディアにも青い花の帽子を被せてやったのだった。

 並ぶと最高に可愛くて、どうしてここにカメラが無いのかと、本気で思った俺だったよ。

 フクシアさ〜〜ん、お願いだから早くカメラを開発してください!



 そんな感じでしばらく花畑でのんびりと遊んでいたら、狩りに行っていた猫族軍団プラスアルファの面々が戻ってきた。

 マックス達犬族軍団の面々とギイの騎獣であるデネブも一緒に交代して狩りに出かけたので、騎獣がいなくなった俺達は、マックス達が戻ってくるまでの間にここで昼食にする事にした。

 少し考えてから、いつもの机や椅子は出さずに、花見用に作っておいた大きめのお弁当箱いろいろを取り出して並べた。それ以外にも、バイゼンで購入したハンバーガーやサンドイッチのセットみたいに、サイドメニュー付きの手軽に食べられるものを中心に取り出して並べた。

 この花見用に作ったお弁当は、唐揚げやステーキをはじめソーセージや鶏肉の照り焼きなどなどお肉もたっぷり入っているんだけど、野菜が苦手なハスフェル達でも食べやすいように、マヨネーズで和えた茹で野菜やパプリカのスライス、濃いめの味付けのほうれん草や玉子焼きなんかが多めに入った彩りも華やかなお弁当なのだ。

 それを見てまた喜びの歓声をあげる一同と、ちょっとドヤ顔になる俺。

 それで各自好きなお弁当を取ってもらい、花畑の中の好きなところに行ってスライムに椅子やミニテーブルになってもらい、そこに座って花を眺めながらの優雅な昼食タイムになったのだった。

 まあ、こういった野の花は季節限定だし、たまにはこういうのも良いよな。

 シャムエル様にはタマゴサンド三種が入った弁当箱を丸ごと渡してやり、俺はおにぎりと唐揚げ、それから茹で野菜とだし巻き卵が入った、自分用に作ったやや小さめのお弁当を花を眺めながら満喫したのだった。



挿絵(By みてみん)

2025年3月14日、アース・スターノベル様より発売となりました「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」第十巻の表紙です。

ついにもふむくも二桁の大台に突入です!

改めまして、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m


今回も引き続き、れんた様が表紙と挿絵を最高に素敵に可愛らしく描いてくださいました。

連載開始当初からの目的地であったバイゼンに、ようやくの到着です!

到着早々色々と騒ぎが起こります。

そして貴重な女性キャラも登場しますよ!

その貴重な女性キャラを描いた今回の口絵も大爆笑させていただきましたので、どうぞお楽しみに!





挿絵(By みてみん)

「もふもふとむくむくと異世界漂流生活〜おいしいごはん、かみさま、かぞく付き〜」

コミックアース・スター様にて、コミックス第四巻が2025年3月12日に発売となりました!

もちろん今回も作画はエイタツ様。


ハスフェルに続きギイも、それからフランマもコミックスに登場です!

いつもながら最高に可愛いもふもふむくむく達と、美味しい食事!

そして、地下洞窟と恐竜達とテイム!

盛り沢山なもふむくコミックス第四巻を、どうぞよろしくお願いします!

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