おはよう
ぺしぺしぺし……。
ぺしぺしぺし……。
ふみふみふみ……。
ふみふみふみ……。
ふみふみふみ……。
ふみふみふみ……。
カリカリカリ……。
カリカリカリ……。
つんつんつん……。
チクチクチク……。
こしょこしょこしょ……。
ふんふんふんふん!
ふんふんふんふん!
ふんふんふんふん!
ふんふんふんふん!
「うん、起きてるって……」
いつものモーニングコールに起こされて半ば無意識に返事をした俺は、違和感を覚えて慌てて飛び起きた。
うん、今回は目も開いたし体も動いたぞ。
満足したのも束の間、飛び起きた俺が見たのは、笑いを堪えてこっちを見ているハスフェルとギイとオンハルトの爺さん、それからリナさん一家をはじめとする仲間達全員だったのだ。
しかも、もうその全員の装備が出発準備万端状態だ。
「おはようございます。ええと、これってどういう状況?」
全く今の状況を理解出来ずに、恐る恐るハスフェルにそう尋ねる。
「おはよう。誰かさんが毎朝起きられなくて従魔達総出で叩き起こされているって話をしていて、じゃあ俺達の従魔にも参加させてやろうって話になってな」
「それで、せっかく最終モーニングコールのメンバーを増やしてやったのに、誰かさんは三度寝を決め込んでくれたんだよ」
「それで、これはどうするべきかって相談しておったところさ」
ハスフェルの説明に続き、ギイとオンハルトの爺さんが笑いながら状況説明をしてくれる。
そうだったそうだった。何故か増えていた最終モーニングコールの顔ぶれを思い出して思わず吹き出す。それを見たハスフェル達も揃って吹き出し、全員揃って大爆笑になったのだった。
「はあ、笑いすぎて腹が痛いよ。ええと、顔を洗えるところってあったっけ?」
泥沼があるので、湖側には行けない。
スライムベッドから降りて大きく伸びをしながらそう尋ねると、アーケル君とレニスさんが揃ってドヤ顔になった。
「「いつも通り、水を呼んでおきましたのでどうぞお使いください!」」
二人から揃ってそう言われて、笑ってお礼を言った俺だったよ。
身支度を整えてからテントの外に出てみると、湖とは反対側の草地の奥にいつもと同じような大きな泉が出没していて、中央に突っ込まれた複数の筒から水が勢いよく吹き出していた。
一本だけ泉の縁に斜めに差し込まれた筒から噴き出す水で顔を洗い、サクラに綺麗にしてもらってから泉へ放り込んでやる。
跳ね飛んでくるバレーボールサイズのスライム達を順番に受け止めては、フリースローで泉へ放り込んでやっていると、それを見ていた全員が同じようにスライム達を次々に泉へ放り込み始めたもんだから、それなりの大きさのあった泉は、あっという間にバレーボールサイズのスライム達で満杯になってしまった。
「これだと遊べないので、小さくなりま〜〜す!」
ご機嫌なアクアの声の直後、泉の中にいたスライム達が一斉にググッと小さくなった。
ピンポン玉サイズになったらこの数のスライム連合が全員入っても大丈夫だったみたいで、そこからはスライム達は泉で泳いだり自前噴水で遊んだりしはじめ、それを見た水遊び大好きっ子達が泉へ集まり大騒ぎしながら水遊びをしていたのだった。
「うひゃあ冷たい!」
暖かくなっているとはいえ、まだ水温はかなり低い。
盛大な水飛沫を浴びて悲鳴をあげた俺達は、早々にテントへ戻ったのだった。
「ええと、じゃあ作り置きを適当に出すから食べてくれよな」
水遊びから戻ってきたスライム達を鞄に入れ、サクラが出してくれるいつもの朝食メニューを取り出して並べながらそう言うと、皆も手持ちのサンドイッチやおにぎりをはじめ朝食メニューっぽいのを色々と出してくれたので、なんだかすごく豪華な朝食タイムになったよ。
アーケル君が出してくれた分厚いオムレツサンドの横で踊りまくっているシャムエル様の尻尾をこっそりと突っついてから、それを二切れ、それからいつもの野菜サンドと鶏ハムサンド、少し考えてコーンスープ鍋も取り出して温めてからマイカップにたっぷりと入れる。
それを見たほぼ全員がマイカップを手に集まってきたので慌てて追加を鍋に入れたよ。
コーンスープは大人気みたいだから、また売っているのを見たら買っておかないと!
生のトウモロコシはたくさん買ってあるけど、これを上手く作るにはどうしたらいいんだろう?
コーンスープを飲みながら、そんな事を考えていた俺だった。
うん、これは後で師匠のレシピ帳を確認しておこう。




