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まずは前哨戦?

「よし、テントの設置完了! じゃあ、少しだけど日が暮れる前に釣りをしてみるか」

 一応、日暮れまではまだ時間がありそうだし魚の食材が一匹でも増えるのは大歓迎なので、俺はそう言ってハスフェル達を振り返った。

「おう、そうだな。じゃあ行くか」

 こちらもすでにテントの設営を終えていたらしいハスフェル達の言葉に、俺も笑顔で頷く。

 リナさん達をはじめ新人さん達もあっという間にテントの設営を終えている。

 ちなみに新人さん達も、もう全員が従魔達と泊まれるように大きなテントを購入しているよ。



「じゃあ、組み分けは前回と同じでいいですか?」

 アーケル君の声に、俺はハスフェル達と顔を見合わせる。

「俺達はどちらでも構わないけどなあ」

「前回のリベンジ戦なら、組み分けはそのままの方がいいんじゃあないか?」

 ハスフェルとギイが、手持ちの釣り竿を取り出して地面に並べながらそう言うと、リナさんが不意に手を打った。

「じゃあ、今回の対決は組み分けはそのままで、湖側と陸地側を前回と交代にしませんか」

「ああ、いいですね。じゃあそれで行くか?」

 その提案に思わず返事をする俺。

 確かに、陸地側と湖側では釣りの条件も違うだろうから、これはいい提案な気がする。

 俺がそう言うのとほぼ同時に、全員が拍手をしてくれたので、今回はこれで行く事になった。

 つまり、俺達が陸地側でリナさん達がスライムカヌーに乗って湖側から釣りをするわけだ。

「じゃあ、今日は前哨戦って事で!」

 リナさん達が笑いながらそう言って、次々に釣り竿を手にスライムカヌーに乗り込んで湖に出ていく。

 釣り竿を選んだ俺は、笑って辺りを見回してから石が並ぶ少し手前の辺りに立った。

「万一の時には、アクア達がお守りするから大丈夫だよ〜〜!」

「遠慮なく落っこちてくださ〜〜い!」

「すぐにお助けしま〜〜す!」

 完全に面白がっているであろうスライム達の言葉に、俺は思わず吹き出してから近くにいたアクアを突っついた。

「そこは、大切なご主人を泥沼に落ちないように守ってくれるのがお前らの役目じゃあないのか〜〜? んん?」

「ええ〜〜〜だって、落っこちたご主人をお助けする方が絵になるでしょう?」

「絵になるとか、そう言う事言わないでくれ!」

 まさかのアクアのセリフに、思わず真顔で突っ込んだ俺だったよ。危ない危ない。



「よし、じゃあ釣るぞ!」

 時間もないので、さっさと釣り竿を振って投げ入れる。今回はルアーのついたのを選んでみたよ。

 何度か引いてはまた投げるのを繰り返していると、ググッと当たりが来た。

「よし、きたぞ!」

 開いた両足を踏ん張り、全身を後ろに倒すようにして竿を引く。

 大きくしなった竿にはアクアが巻き付いてくれているので、折れる心配はしなくてもいい。

 俺は大きく息を吸ってから息を止め、またぐいっと竿を引いた。

 冗談抜きで地球を釣ったんじゃあないかと思うくらいに、最初はびくともしなかった竿だったけど、数回繰り返していたら次第に力が弱くなってきた。どうやら魚が疲れてきたみたいだ。

「よし、もうちょいだ!」

 そう言って少しずつ後ろに下がりながら、俺は何度も緩めては引くのを繰り返した。



「うおお〜〜これまたデカい!」

 かなり引きが弱くなったところで、思い切り引いて魚を跳ねさせる。

 こうすれば水上で待機しているアルファとベータが魚を確保してくれるんだよ。

 そして、跳ね飛んだ魚はまさかの巨大なスズキだった。いや、このデカさは別の名前がついていたっけ?

「まあいい、これはスズキだ!」

 きっとシャムエル様の適当具合を考えると、全部スズキになっているはずだ。

 そんな事を考えつつ、アルファ達が確保してくれた一メートル近いスズキを見て、ガッツポーズをとった俺だったよ。

「うわあ、いきなりデカいの釣ってるし〜〜」

「ケンさんばっかりずるいっす〜〜〜!」

 湖側から、新人コンビの笑い声と共に文句の声が聞こえてきて、俺は笑って思いっきり胸を張って見せた。

「ふふふ、釣果で俺に勝てるものなら勝ってみるがいい〜〜」

「うああ、あんな事言われたし〜〜」

「絶対勝ってやる〜〜!」

 笑いながらもそう言ってルアーをまた投げ入れる新人コンビ達。その横では、マール達も笑いながら同じように釣り竿を振っている。

「よし、次だ次!」

 そんな彼らを見ていた俺は、自分に言い聞かせるようにそう呟いてまたルアーを泥の沼の真ん中あたりに投げ入れたのだった。



 結局日が暮れる直前まで頑張った両チームの釣果は、俺が釣った一メートルクラスの巨大スズキが最大サイズで、次がハスフェルとリナさんとシェルタン君が釣った50センチクラスのトラウトがそれぞれ一匹ずつ。

 あとは30センチ程度の秋刀魚っぽいのが湖側と陸地側の両方に五匹ずつ。

 って事で結局、前哨戦はまたしても俺達チームの勝利に終わったのだった。



 一旦撤収して夕食準備をしている間中、リナさん達をはじめとする湖側のチームの面々から俺の引き抜きのお誘いが延々と繰り返される事になったのだった。

 いや、単にデカい釣果が続いたのは完全に偶然だから、きっとチームを移動したらその途端に釣れなくなると思うぞ。

 味噌汁を温めながら、脳内で思わず突っ込んでしまった俺だったよ。



挿絵(By みてみん)

2025年3月14日、アース・スターノベル様より発売となりました「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」第十巻の表紙です。

ついにもふむくも二桁の大台に突入です!

改めまして、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m


今回も引き続き、れんた様が表紙と挿絵を最高に素敵に可愛らしく描いてくださいました。

連載開始当初からの目的地であったバイゼンに、ようやくの到着です!

到着早々色々と騒ぎが起こります。

そして貴重な女性キャラも登場しますよ!

その貴重な女性キャラを描いた今回の口絵も大爆笑させていただきましたので、どうぞお楽しみに!





挿絵(By みてみん)

「もふもふとむくむくと異世界漂流生活〜おいしいごはん、かみさま、かぞく付き〜」

コミックアース・スター様にて、コミックス第四巻が2025年3月12日に発売となりました!

もちろん今回も作画はエイタツ様。


ハスフェルに続きギイも、それからフランマもコミックスに登場です!

いつもながら最高に可愛いもふもふむくむく達と、美味しい食事!

そして、地下洞窟と恐竜達とテイム!

盛り沢山なもふむくコミックス第四巻を、どうぞよろしくお願いします!

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