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クーヘン達の到着と寿司パーティーの始まり

「よし、準備完了! じゃあリビングへ戻るか……って、あれ? そう言えばどの部屋で寿司パーティーにするんだ?」

 準備完了した鰹のたたきをサクラに全部収納してもらった俺は、厨房を出たところでそう呟いて足を止めた。

『おおい。今、何やってる?』

 少し考えて、念話でハスフェルを呼んでみる。

『おう、どうかしたか?』

『何かあったか?』

 すぐにハスフェルとギイの返事が返ってきて、頭の中にトークルームが開くのが分かった。

『いや、料理の準備はバッチリなんだけどさ。寿司パーティーにはどこの部屋を使っているんだ? リビングか?』

『いや、一応リビングよりも広い部屋があったからそこにしたよ。部屋の場所はシャムエルに教えてあるから一緒に来てくれればいいぞ』

 ハスフェルの笑ったその言葉を聞いて、思わず俺の右肩に座ったシャムエル様を見る。

「うん、今ハスフェルから聞いたよ。じゃあ道案内するね〜〜このまままっすぐ進んでくださ〜〜い!」

 右肩に立ち上がったシャムエル様が、ご機嫌でそう言って前方を指差す。

「了解。こっちだな」

 苦笑いした俺は、そう言って歩き出した。

『じゃあ待ってるからな』

 二人の笑った声と共にトークルームが閉じられる。

 苦笑いして鞄を持ち直した俺は、足元を転がるようにしてついてくるスライム達を見て和みつつ目的の部屋へ向かった。



「おお、これはまた広い部屋だな」

 開けたままの扉から中を見て思わずそう呟く。

 扉の高さは、どう見ても俺の身長の倍くらいは余裕であるし、両手を広げても当たらないくらいに横幅も広い。

 そして、見渡したその部屋は確かにリビングよりも広かったよ。

 部屋の中央には横長の巨大なテーブルがドドンと置かれていて、座り心地の良さそうな椅子が今日の参加人数分よりも多めに並べられている。

 窓のない奥側の壁面にも幾つものテーブルが並べられていて、まだ何も置かれていないのであそこに料理を並べろって事なんだろう。

 その両端のテーブルにだけは、氷の入った大きな木桶が置かれていて、俺の好きなビール各種をはじめ、吟醸酒や白ワインが大量に冷やされている。

 その横には、ワインの大瓶やサングリア、それから吟醸酒の大瓶もこれまた大量に並べられていたよ。

 どれだけ飲む気だよ。おい。

 ちょっと真顔で突っ込んだ俺は、間違っていないと思うぞ。



「こっちのテーブルに、用意した寿司を並べてくれればいい。スープ系はこっちのコンロに、他に料理があれば、こっちに並べてくれ。足りなければ追加のテーブルもあるぞ」

 ドヤ顔のギイの言葉に、俺は笑ってサムズアップを返しておいた。

 これだけの場所があれば、準備したお寿司各種は全部余裕で並べられるよ。

 ちょっとしたホテルのバイキングなんかよりもすごい量だけど、まああの人数なら足りないくらいかもしれない。

「一応、揚げ物とかも出しておくから、こっち側にもテーブルを出してくれるか?」

 何しろ今回はすごい人数だから、万一にも生ものが苦手な人がいたら困るのでいつもの定番揚げ物料理も並べておく事にする。

 納得したのかすぐにテーブルを並べてくれたので、まずはこっちに岩豚やチキン各種をはじめとした揚げ物系を中心に色々と並べておく。それを見てアーケル君達やハスフェル達も手持ちの料理を色々と並べてくれた。

 まあ、寿司メインで他も色々って感じになったけど、別にいいよな。

 揚げ物系を一通り並べ終わって、メインのお寿司を並べようとしたところで玄関のチャイムの音が聞こえた。

 バイゼンのお城もそうだったけど、玄関のチャイムって屋敷の中の何処にいても聞こえるんだよな。何らかの術的な仕掛けがあるのか、それとも拡声器みたいなジェムの道具があるのか。よく分からないけどこれも考えたらすごい仕組みだよな。そんな事を考えつつ、一旦料理を出す手を止めて大急ぎで玄関へ走る。



「いらっしゃい! 待ってたよ。さあ、どうぞ中へ!」

 笑顔で扉を開くと、クーヘンとお兄さん一家と彼のお店のスタッフさん達、それからマーサさんが笑顔で並んでいて、その後ろにはランドルさんとバッカスさんをはじめとした、彼のお店のスタッフさん達が全員、こちらも笑顔で並んでいた。

「お招きありがとうございます。厚かましくも大人数で押し掛けさせていただきました」

 笑顔のバッカスさんの言葉に、他の皆も口々にそう言って頭を下げてくれた。

「お待ちしてましたよ。まあ、どうぞ中へ。挨拶は後で改めてね」

 クーヘンの店とバッカスさんの店の新しく雇ったスタッフの皆さんも今回は全員お招きしたので、なかなかの人数になっているよ。でも、部屋も広いし料理もたっぷり準備してあるから大丈夫だ!

 恐縮する皆を中へ招き入れて、そのまま会場に設定した部屋に案内する。

 ちなみに、従魔を連れているのはランドルさんだけで、クーヘンは従魔は連れてきていないみたいだ。まあ留守のお店の護衛役だな。

 それに乗ってきた騎獣や馬達は、ランドルさんの案内で先に厩舎に連れて行ってくれたみたいだ。

 そのまま大人数で部屋に戻り、初対面の人もいるので一応全員が改めて自己紹介をして挨拶を交わした。

「じゃあ、挨拶も済んだ事だし、料理を出しま〜す!」

 笑った俺の言葉に拍手が沸き起こり、ここから俺はお寿司各種を取り出しながら詳しい説明をしていったのだった。



「ええ、何ですかそれ!」

「新しいメニューだ!」

「うわあ、美味しそう!」

 大きなバットに敷き詰めたちらし寿司を見て、草原エルフ三兄弟が揃って目を輝かせている。

「これは、五目ちらし寿司。俺の故郷で食べていた料理だよ。亡くなった俺の母さんがよく作ってくれたんだ。このお皿に盛り付けて、この錦糸卵と椎茸、それから絹さやがトッピングだよ。こんな感じで自分で盛り付けてください」

 一応、見本を一つ作って横に並べておく。

 皆目を輝かせてちらし寿司を見ていたから、もしかしたら瞬殺されるかもしれないぞ。

 まあ、まだまだ追加分はあるから大丈夫だろうけど、念の為、先に俺の分は確保しておかねば。

 自分の好物が無くなるのは悲しいので、こっそりサクラに頼んで手持ちの在庫分から俺の分をしっかり確保しておいてもらったのだった。



挿絵(By みてみん)

「もふもふとむくむくと異世界漂流生活〜おいしいごはん、かみさま、かぞく付き〜」

コミックアース・スター様にて、コミックス第四巻が2025年3月12日に発売となりました!

もちろん今回も作画はエイタツ様。


ハスフェルに続きギイも、それからフランマもコミックスに登場です!

いつもながら最高に可愛いもふもふむくむく達と、美味しい食事!

そして、地下洞窟と恐竜達とテイム!

盛り沢山なもふむくコミックス第四巻を、どうぞよろしくお願いします!



挿絵(By みてみん)

2025年3月14日、アース・スターノベル様より発売となります「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」第十巻の表紙です。

ついにもふむくも二桁の大台に突入です!

改めまして、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m


今回も引き続き、れんた様が表紙と挿絵を最高に素敵に可愛らしく描いてくださいました。

連載開始当初からの目的地であったバイゼンに、ようやくの到着です!

到着早々色々と騒ぎが起こります。

そして貴重な女性キャラも登場しますよ!

その貴重な女性キャラを描いた今回の口絵も大爆笑させていただきましたので、どうぞお楽しみに!

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