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料理の準備と懐かしい一品

「とうちゃ〜く! じゃあ俺は夕食の準備をするから、皆は好きにしていてくれよな」

「おう、今回はまた大人数だからな。会場の準備と酒の用意は任せてくれ。料理の準備は任せた!」

「おう、任された!」

 笑ったハスフェルの言葉に、俺も笑顔でそう言って手を打ち合わせる。

「今回は大人数だし、ここのキッチンじゃあちょっと手狭だから俺は厨房へ行くよ」

「よろしくお願いしま〜〜す!」

 全員からの笑顔の声援に送られて、一旦屋根裏部屋に戻ってマックス達を置いてきた俺は、スライム達を引き連れて厨房へ向かった。

 ここの厨房も広いから、大量の仕込みも楽ちんだって。



「よし、じゃあまずは掃除をお願いしていいかな」

 ここの厨房を使うのは久々なので、料理を始める前にまずはスライム達にお掃除をお願いしておく。

 その間に俺は、使う場所を決めて作業台になっている冷蔵庫にジェムを入れたり、氷を作って入れたりしていた。ここを留守にする時に、入れていたジェムは全部撤収していたからね。

「ご主人、流しのお掃除、配管まで全部終わりました! 全部綺麗になったよ〜〜!」

「オーブンのお掃除も完了です! でもジェムは入っていませ〜〜ん!」

「戸棚の中は、置いてあった鍋まで全部綺麗にしました! お掃除完了で〜〜す!」

 そうこうしているうちにお掃除が完璧に完了したので、早速料理開始だ。って事で、まずは酢飯作りから始めるよ。

 前回作った握り寿司と巻き寿司各種は、もうスライム達が作り方を分かってくれているので、酢飯の準備さえして、どれだけ作るのか指示しておけば、あとは全部やってくれる。

 なのでそっちは任せておき、俺は、今回はちらし寿司を作ってみるよ。

 あとで在庫を見て、具材は山ほどあるから普通のご飯で海鮮丼も作っておいてもいいかもね。



 ちなみ俺が作るのは、いわゆる関西風の五目ちらしで、酢飯に味付けした具材を混ぜ込むタイプだ。

 これは俺の母さんがいつも作ってくれていて子供の頃から馴染んだ味で、俺的にはちらし寿司といえばこのタイプなんだよなあ。

 大人になってから関東で食べたちらし寿司が全く違うもので、本気で驚いた事があったんだっけ。

 でも、母さんのレシピは残念ながら教えてもらった記憶がないので分からない。なので俺が作るのは、バイト先の定食屋で店長が作っていたレシピだ。

 だけどこのレシピは、母さんが作ってくれていたレシピよりもちょっと塩が多めみたいで、全体にちょっと塩辛い。まあ、定食屋では人気のメニューだったんだけどさ。

 なので俺は教えてもらった店長のレシピを元に、塩を控えて砂糖とみりんを多めにしたオリジナルレシピを考え、家ではそれで作っていたんだよな。

 なのでもちろん、今回作るのは記憶にある母さんの味にかなり近づいたオリジナルレシピの方だ。



「ええと、ニンジンは細かく刻む。ゴボウもどきは小さめのささがきにしておく。レンコンとちくわ、油抜きした油揚げも細かく刻んでおく。具材はこれくらいかな。あ、師匠が作ってくれたお惣菜に、薄味の高野豆腐もどきもあるからこれも刻んでおこう」

 サクラにお願いして色々と出してもらった具材を確認しながら、必要なものを取り出してはスライム達に指示して下拵えをしていく。

 五目ちらし寿司のいいところは、基本的になんでも入れられるところだ。

 あ、小さいけど干した桜エビもあるから後で入れておこう。赤みが入ると一気に華やかになるからな。



 まずは、サクッと時間経過で干し椎茸を水で戻してもらう。この戻し汁は使うから捨てないよ。

 欲しそうにしていたスライム達に苦笑いして謝り、大きめの片手鍋に刻んだ具材と一緒に干し椎茸の戻し汁と二番出汁少々、それからいつもの和食の定番である砂糖と醤油とみりんに塩少々を入れて煮汁を作り、用意した具材を全部まとめて鍋に入れ、煮汁がなくなるくらいまでしっかりと煮込んでいく。

 師匠作の高野豆腐もどきの刻んだのは、すでに味がついているのでここではまだ入れないよ。

 別のお鍋に水で戻した干し椎茸をいれ、こちらも干し椎茸の戻し汁少々に砂糖と醤油と味醂とお酒を入れて、甘辛く濃いめの味付けにして煮汁が無くなる寸前まで焦がさないように煮込んでおく。

 しっかり味がついたら、冷ましてから薄切りにしておく。

 これはトッピング用だからさっきのとは別に置いておくよ。

 それから、割った卵に軽く砂糖を入れて薄焼き卵を大量生産しておく。焼きあがったのを冷ましてから、細長く切って貰えば錦糸卵の完成だ。これもトッピング用だからさっきの甘辛く煮た薄切り椎茸と一緒にしておく。

 絹さやもどきがあったので、筋をスライム達に取ってもらってから軽く茹でてこれも細かく刻んでおく。緑は、彩り的にも重要ポイントだからね



 トッピングの準備が出来たところで、先ほど煮込んで冷ました具材と刻んだ高野豆腐を、全部まとめて酢飯に混ぜ込めば五目ちらし寿司の完成だ。下拵えに手間は掛かるけど、仕上げは混ぜるだけだから簡単だよ。

「ふええ〜〜〜何それ! 混ぜご飯とは違うの?」

 唐突に俺の右肩に現れたシャムエル様が、何やら大興奮しながらそう言ってもふもふ尻尾を俺の首にポフポフと叩きつけ始める。いいぞもっとやれ。

「これは五目ちらし寿司。お寿司とは名が付いているけど、他とは違って生のお魚は使わないよ。これは俺の母さんが子供の頃によく作ってくれた、俺も大好きだった懐かしい料理なんだよ。じゃあ、ちょっとだけ味見な」

 ちょっとだけ涙腺が緩みそうになったのをグッと堪えて笑ってそう言い、小皿にいつものように味見分を取ってやる。それから錦糸卵と薄切りの椎茸、刻んだ絹さやをその上に彩り良く盛り付けていった。

「へえ、そうなんだね。作ってくれたケンのお母上に感謝を」

 笑ったシャムエル様の言葉にもう一回うるっときてしまい、ぐっと唾を飲み込んだ俺だったよ。

「はい、これで完成だ。上のトッピングは混ぜながら食べてくれよな」

 気を取り直して笑ってそう言い、テーブルの上に綺麗に盛り付けた小皿を置いてやる。

「ふおお〜〜〜〜 すっごく綺麗だね! では、いっただっきま〜〜〜す!」

 一瞬で俺の肩からテーブルに移動したシャムエル様は、いつものように雄々しくそう宣言するとやっぱり顔からちらし寿司に突っ込んでいった。

「美味しい! 甘いんだけどちょっと酸っぱいのもあって、でもこの甘めの卵と椎茸も効いていて、とにかく美味しい!」

 もふもふ尻尾が三倍に膨れたシャムエル様が、何やら大興奮しながらそう言って五目ちらし寿司を爆食している。

「気に入ってもらえたみたいで嬉しいよ」

 笑ってそう言った俺は、シャムエル様が食べ終えるまで三倍サイズのもふもふ尻尾を堪能させてもらったのだった。



挿絵(By みてみん)

2025年3月14日、アース・スターノベル様より発売となります「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」第十巻の表紙です。

ついにもふむくも二桁の大台に突入です!

改めまして、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m


今回も引き続き、れんた様が表紙と挿絵を最高に素敵に可愛らしく描いてくださいました。

連載開始当初からの目的地であったバイゼンに、ようやくの到着です!

到着早々色々と騒ぎが起こります。

そして貴重な女性キャラも登場しますよ!

その貴重な女性キャラを描いた今回の口絵も大爆笑させていただきましたので、どうぞお楽しみに!





挿絵(By みてみん)

「もふもふとむくむくと異世界漂流生活〜おいしいごはん、かみさま、かぞく付き〜」

コミックアース・スター様にてコミックス第四巻が、2025年3月12日に発売となります!

もちろん今回も作画はエイタツ様。


ハスフェルに続きギイも、それからフランマもコミックスに登場です!

いつもながら最高に可愛いもふもふむくむく達と、美味しい食事!

そして、地下洞窟と恐竜達とテイム!

盛り沢山なもふむく第四巻を、どうぞよろしくお願いします!


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― 新着の感想 ―
更新ありがとうございます。 よしっ!先読みネタバレ感想、書かずに済んだぞ! 前話(1932)の感想に「大人数で食べるなら、各自で取り分けられて彩りも味も楽しめる『ちらし寿司』がいいですよね♪ちょっ…
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