今日も釣り三昧!
翌朝、いつもの従魔達総出のモーニングコールに叩き起こされた俺は、なんとか眠い目を擦りつつもふもふなニニの腹毛の海から起き上がった。
「ふああ〜〜〜まだちょっと眠いぞ」
もう一回大きな欠伸をしたところで、腕の中に顔を突っ込んできたマニに押し倒された。
「起きるからどいてください」
笑いながらマニの両頬を両手で握って引っ張ってやる。
「おお、なかなかの良き伸び具合ですなあ」
何度か引っ張ってやったが、目を細めて喉を鳴らすマニは全くの無抵抗だ。
「ああ、もうお前はなんて可愛いんだ!」
そのまま力一杯抱きしめてやり、ニニとはまた違ったもふもふを堪能したのだった。
「はあ、いい加減に起きよう。このままだと三度寝になって今度こそ痛い目をみるからな」
マニの鳴らす喉の音を聞きつつ和んでいて、ついつい眠りの海へ引き込まれそうになったところで慌てて起き上がる。
「ええ、もうちょっと一緒に寝ようよ〜」
そう言って、グリグリと俺の背中に額を押し付けてくるマニをもう一回捕まえて抱きしめてやる。
「起きるからもう駄目です。くっついて寝るのはまた今夜にな」
額にキスをしてからそう言い、スライムベッドから立ち上がって腕を上げて思いっきり伸びをする。
横では、起きてきたマニとニニとカッツェが並んでこちらも思いっきり伸びをしていた。
「おお、これまた見事な伸び具合だねえ」
シンクロする三匹の見事な伸びを見てから、笑ってテントの外へ出る。
今朝も、テントの外にはアーケル君達が作ってくれた即席の泉が出来上がっていて、泉中央あたりの地面に突っ込まれた太い管から空めがけて噴水が上がっているし、泉の縁部分に斜めに突っ込まれた顔洗い用のやや細めの管からも勢いよく水が吹き出している。
「ああ、おはよう」
「おう、おはよう。今朝はちゃんと起きてきたな」
丁度、顔を洗っていたギイと目が合い笑顔で挨拶を交わす。
「あはは、一応従魔達に起こされたよ。でもまあ、痛い目を見る前にちゃんと起きたぞ」
今朝の最終モーニングコールはお空部隊の面々だったので、一応直前に起き上がって痛い目を見るのは回避したんだよな。
まあ、起こせなくてお空部隊の子達には文句を言われたけど、起こされて起きたからって文句を言われるのはなんか間違っている気がするぞ。
胸を張ってそう言うと、何故かギイに大爆笑された。解せぬ!
とりあえず場所を交代してもらい吹き出す水で顔を洗ってから、いつものようにスライム達を噴水目掛けてフリースローで投げ込んでやり、今回はお空部隊の子達も泉目掛けて放り投げるみたいにして放鳥してやった。
勢いよく噴水周りを飛び回ってから泉目掛けてダイブする鳥達に、スライム達やマックス達水遊び大好きチームは大喜びで迎え撃っていたのだった。
俺の従魔達が豪快に水飛沫をあげて遊んでいるのを見て、他の人達が連れているスライム達や水遊び大好き犬族の子達がワラワラと集まってきて、そこからはもうスライム達総出で水の掛け合いが始まって水飛沫が飛びまくり、泉周辺はとんでもない大騒ぎになったのだった。
いつもの作り置きで朝食を食べた後はそのまま釣り大会に雪崩れ込み、午前中いっぱいかけて俺は湖側で釣りを楽しみ、大きさこそそれほどではないけどかなりの数の釣果を得る事が出来た。
昼食を食べ終えて午後からの釣りを再開しようとしたところで、俄かにかき曇った空を見上げて全員が無言になった。
今朝は、雲こそ多かったもののそれなりに晴れていたんだけど、今の空はほぼ青空が見えなくなっていて、今にも雨が降りそうな真っ黒な雲に覆われている。
「これはひと雨来るな。どうする? このままここで釣りを続けるもよし、なんなら前回とは違う砂地のある湖へ行くか? ここから近いところに大物の狙える砂地のある湖があるぞ」
「お願いします!」
空を見上げたハスフェルの提案に、全員揃った返事が返る。
顔を見合わせて笑った俺達は、釣竿を回収して釣った魚もまとめて収納してから、大急ぎでテントを撤収した。
それからレインコートを着た俺達は、それぞれの従魔に飛び乗りハスフェル達の案内で場所を移動したのだった。
「おお、降り始めたな」
目的地に到着したところで一気に雨が降り出し、従魔から降りたところだった俺達は慌ててフードを被った。
目の前に広がる湖はかなり大きくて広い。
手前側に広がる砂地は、前回ほどではないもののここもかなりの幅がある。
そして降り出した雨のおかげで、砂地は早くも泥化し始めている。
ギイが用意してくれた釣竿はかなり大きめで毛鉤もかなり大きい。ちなみに、前回のカジキマグロを釣った時に使ったルアーの付いた釣竿もある。どうやらどちらでも釣れるみたいだ。
少し考えた俺は、なんとなくゲン担ぎで前回と同じ釣竿とルアーを選んでみた。
「よし、大物狙いでいくぞ!」
俺的には、食材確保の意味を込めてもう一匹くらいあのくらいの大きなカジキマグロを狙いたい。
まあ、ここであれが釣れるかどうかは知らないけどさ。
小さく笑って竿を握った俺は、前回と同じくアクアに船になってもらって乗り込み、湖側へ出て行った。
ハスフェル達もそれに続き、なんとなく前回と同じ布陣で午後の釣り大会が始まったのだった。
よし、頑張って大物を狙うぞ!




