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フライフィッシング!

「はあ、ごちそうさま。それじゃあ少し休んだら出発するか」

「そうだな。今日も良いお天気みたいだから釣り日和だぞ」

 俺の言葉にカップを置いたハスフェルも笑顔でそう言い、よく晴れた空を見上げた。

 良いお天気だったし気温もかなり高めだったので、先にテントを全部撤収して青空の下に机と椅子を出して朝食にした。

 メニューはいつもの作り置きを適当に出したんだけど、皆も手持ちを色々と出してくれたので妙に豪華になったよ。

 大満足の朝食を終えた俺達は、少し休憩してから食器をスライム達に綺麗にしてもらってから机と椅子を全部撤収して、それぞれの騎獣に飛び乗って目的の新たな釣り場へ向かった。

 それなりに遠いと聞いてはいたんだけど、マックス達の背に乗って行けば目的の場所まではすぐだったよ。



 深い森を抜けた先にあったのは、これまたかなり大きめの湖だった。昨日ほどの大物はいないと聞いていたけど、実は大物もいそうな雰囲気だ。

 ちなみに今回の湖周辺には、昨日釣りをした場所のような明らかに危険そうな泥の沼になりそうな砂地は無く、しっかりとした大粒の砂利のある広い場所と膝丈くらいの草地があって、釣りをするのは砂利のある側だと教えられた。

「ここは広いから、スライム船に乗って湖側へ出なくてもいいかな」

 砂利のある場所はかなり広いので、俺達全員が並んで釣竿を振っても大丈夫そうだ。

 って事で、またハスフェルとギイが出してくれた昨日のとはまた違った釣竿を選び、さっそく釣りを開始するために散らばった俺達だったよ。

 ちなみに、今回の釣竿は昨日のよりは小さめで、針にはルアーっぽい仕掛けが付いているのと、同じく小さな毛鉤がついているものがあった。

 少し考えてルアー付きの釣竿を選んだ俺だったよ。

 だって、目の前に広がるのはメインの釣り場であるかなり広くて穏やかな湖なんだけど、俺達が立っている砂利のある場所のすぐ横には湖から流れ出る小川があって、ここでもまた湖にいるのとは別の魚で釣りが出来るらしい。

 うん、これはいかにもルアーフィッシングの出来そうな川だ。

 にんまり笑った俺は、そのままいそいそと川のほとりへ向かい早速ルアーを投げ込んだのだった。

 さて、何が釣れるのかねえ?



「ううん、なかなか当たりが来ないなあ」

 何度もルアーを投げ込んで引くんだけど、全然当たりが来ない。

「ちょっと場所を変えるか。あっちの茂みの辺りとかなら、何かいそうだな」

 俺が投げ込んでいたのはかなり川の流れの早そうな川幅も広い辺りだったので、少し考えてもうちょっと川を下って葦みたいな背の高い草がまばらに生えた流れの緩やかな辺りで釣ってみる事にした。

 それを見たニニとマニが、スライム達を頭の上や背中に乗せたまま一緒に来てくれた。

 一応、俺の護衛役も兼ねてくれているみたいだ。

 俺から少し離れたところで寝転がって寛ぐニニとマニを眺めて和んでから、一つ深呼吸をした俺は新しい場所に早速ルアーを投げ込んだ。

 そのまま水面近くを引っ張るようにしてルアーを跳ねさせてみる。

 それを数回繰り返していると、いきなりググッと大きな当たりが来た。

「お、これは重いぞ!」

 釣竿ごと持っていかれそうな強い引きに、慌てて竿を握り直して足を踏ん張る。

「竿を守りま〜す!」

「頑張って引き上げてくださ〜い!」

 アクアとサクラの得意そうな声が聞こえた直後、サクラがググッと広がってしなる俺の釣り竿に巻きついた。

「よし、これで竿が折れる心配はしなくていいな。それにしても何だこの強い引きは。昨日のトラウトなんかよりもかなり強いぞ」

 まあ、さすがにあのカジキ程ではないが、これはかなりの大物が期待出来そうだ。

 って事で、ここからは魚との力比べと根比べだ。強弱をつけて竿を引っ張っては戻し、とにかく魚が疲れるのを待つ。

「お、そろそろかな?」

 かなりの時間、そんな感じで頑張っていたんだけど、明らかに引く力が弱ってきたのが分かって思わず笑っちゃったよ。

「そろそろ上げるから、確保は任せた!」

 俺の声に、アクアだけでなくアルファとイプシロンが川に飛び込んでいって左右に展開する。

「よし来い!」

 そう叫んだ俺は、タイミングを合わせて力一杯竿を振り上げた。

 大きな水飛沫が上がり、やや細長い巨体が川から飛び出してきた。だけどシルエットがちょっと変だ。

 何事かと思って慌ててそのシルエットを見た俺は吹き出したよ。

 だって、なんと飛び出してきた魚のシルエットは、頭が大きくて平たく太くて長い髭がある。尻尾に向かって細くなったナマズのシルエットだったんだからさ。

 ここでまさかのナマズ登場。しかも全長は一メートルは余裕で下らない、かなりの大物だ。

「確保しま〜〜す!」

 ガバッと広がったアクアとアルファが、川面に落ちる寸前だったナマズを一気に包み込む。

「おお、これはかなりの大物だぞ。ええと、ナマズって食えるのかな?」

 確か、食べれたような気はするけど、実を言うと俺はナマズは食った事がない。ちなみに、釣ったのも初めてだ。

「おお、なかなかの大物が釣れたな。これも美味いぞ」

 いつの間にか少し離れたところで同じように川でルアーフィッシングをしていたギイが、俺が釣り上げたナマズを見て笑顔でそう教えてくれる。

「へえ、そうなんだ。俺はナマズは食った事が無いんだけど、捌けるかな?」

 なんとなくイメージだけど、骨が多そうな気がしてそう呟いて考える。

「ギルドへ持っていけば、頼めば捌いてもらえるぞ。まあ、これだけの大物なら、売ってくれと言われるかもしれないけどな」

 笑いながらそう言われて、自分でナマズを一旦収納した俺はにんまりと笑った。

「じゃあ、捌くのはギルドに頼むとして、売ってくれって言われても困らないくらいに釣らないとな」

「そうだな。じゃあ頑張ってみるとするか」

 湖側をそろって見ると、どうやらあちらにもかなりの釣果があったみたいだけど、それほどの大物は釣れていないみたいだ。

 ついでに言うと、こっちには背中を向けている形になっているので、湖側で釣りをしている皆は、川側で釣りをしている俺とギイの様子に気がついていない。

 顔を見合わせてにんまりと笑いあった俺とギイは、揃ってサムズアップをしてから次のルアーをそれぞれ川に投げ入れたのだった。

 さて、第二回釣り大会の結果はどうなるんだろうね?


挿絵(By みてみん)

2024年11月15日、アース・スターノベル様より発売となりました「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」第九巻の表紙です。

どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m


今回も引き続き、れんた様が表紙と挿絵を最高に素敵に可愛らしく描いてくださいました。

そして中の口絵二枚目が、何とケンの〇〇シーンですよ!

どうぞお楽しみに!

口絵ラフをいただいて、もう、一人で大爆笑したのは内緒です

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― 新着の感想 ―
ルアーならフライフィッシング……ではないのでは……?
ナマズは鍋かフライですね! 蒸しナマズあんかけ風もいけたはず……じゅるり……
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