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夕食とこの後の事

「お待たせしました。後片付け完了です。それじゃあ行きましょうか」

 お店を片付けて戻ってきたクーヘンの言葉に、待っていた俺達も笑顔で立ち上がった。

 とりあえず今夜は別荘へ全員引き連れて戻るんだけど、せっかくだからとクーヘンが誘ってくれたので、夕食は皆でホテルハンプールへ食べに行く事にしたんだよ。

 バッカスさんのお店にもクーヘンのお兄さんが知らせに走ってくれたので、バッカスさん達とランドルさんもホテルで合流する事にしたよ。

 まあ、レストランの招待状もまだまだあるから俺がそれを出そうと思っていたら、レニスさんとリナさんが、今回は自分達にぜひご馳走させてくださいと目を輝かせて言ってくれたので相談の結果、彼女達が持っているレストランチケットを半分ずつ出してもらう事にしたよ。

 二人とも、俺達にご馳走出来ると言って喜んでくれたので、ここは遠慮せずに言葉に甘えさせてもらう事にしたんだよな。



 さすがに予約もなしに全員の従魔を連れて行くと迷惑になりそうだったので、それぞれの騎獣以外の子達にはクーヘンの店の厩舎でお留守番してもらうことにして、俺もマックスの手綱を引いて外に出てからマックスの背に飛び乗った。

「じゃあ行こうか」

 なんとなく俺が先頭になったのでそう言い、そのままゆっくりとマックスを進ませる。

 俺達に気付いた街の人達や観光客の人達が嬉しそうに笑って手を振ってくれたので、俺達も笑顔で手を振り返しながらホテルハンプールまでの道をゆっくりと進んでいった。

 まあ、途中からは無理矢理レニスさんとリナさんを先頭にして、俺達はその後ろに並んで進んで、ほぼパレード状態になったのは、もう仕方がないよな。



 到着したホテルハンプールで何故か大歓迎を受け、従魔達をクーヘンの店に残して来たと言ったら厩舎担当の方達にもの凄く残念がられた。

 どうやら、予約なしの夕食なんかでも遠慮なく従魔を連れて来ていいみたいだ。

 よし、じゃあ今度は遠慮せずに全員連れて来よう。

 ここでお世話になったら、本当に皆ピッカピカにしてくれるんだよな。しかも、美味しい湧き水やそれぞれの好みに合った食事まで提供してくれるんだからさ。



 夕食に来たのだと伝えたら支配人自らの案内で通された宴会場みたいなめっちゃ広い部屋を見て、もう乾いた笑いしか出ない。

 だけどまあ、この大人数な上にこの顔ぶれだからな。

 下手に一般の人や観光客もいるレストランに案内されたら、それはそれで大騒ぎになるだろうからこっちで正解なんだろう。

 嬉々としてメニューを手に相談を始めたハスフェルとギイとアーケル君達。

「俺は冷えた白ビールをお願いしま〜す」

「おう、了解だ」

 笑ったハスフェルがそう言ってくれたので、もうメニュー選びは彼らにお任せして、俺はため息を一つ吐いてからなんとなく広い部屋を見渡した。

「今夜は別荘に戻って風呂に入る。明日はどうするんだろうな」

「まあ、しばらくはゆっくりすればいいさ。別に急ぐ必要もなかろう?」

 笑ったオンハルトの爺さんの言葉に、それもそうかと納得した俺だったよ。



 その後、料理が来るまでの間にバイゼンでの岩食い騒動をバッカスさんが詳しく知りたがり、それを聞いたマール達やボルヴィスさん達も血相を変えて話を聞きたがったので、事情を詳しく知るハスフェルとギイがメインで、バイゼンでの騒動の一部始終を彼らに詳しく説明してくれた。

 皆があまりにも真剣に話を聞いているもんだから、スタッフさん達が遠慮したらしくいつまで経っても料理が来なくて、とりあえず岩食いとの戦いが終わったところで話は一旦終了してお酒と料理を運んでもらったのだった。



 俺の前には注文通りにしっかりと冷えたビールが用意されていて、聞けば今では冷えたビールをわざわざ指定して注文する人が増えているらしく、これから暑くなる事もあってホテルでは急遽冷蔵庫を増やして対応しているんだって。

 いいねえ。俺的には冷えたビールが飲めるのは有り難いので、もっと他の街でも流行ってくれる事を願おう。

 ちなみにクーヘンの説明によると、すでに王都でも冷えたビールが流行り始めているらしく、間違いなく今年の夏は冷えたビールが大流行するだろうって飲食店関係者の間では噂になっているんだって。

 おかげで冷蔵庫が爆売れしているらしく、バイゼンには冷蔵庫の大量発注が殺到していて、道具作りの職人さん達は嬉しい悲鳴をあげているんだって。

 もしかしたら、フクシアさん達も冷蔵庫作りに動員されているかもしれない。

 その話を聞いて、意外なところで世界って繋がっているんだなあと感心した俺だったよ。



「では、僭越ながら……早駆け祭りお疲れ様でした! これからの皆様の益々の活躍と成長を願って、乾杯! 愉快な仲間達、最高〜〜〜!」

「愉快な仲間達、最高〜〜!」

 俺の乾杯の言葉に笑顔の全員の声が重なり、笑ってグラスを軽くぶつけ合う。

 ここからは、大量に届いた料理を美味しくいただいたよ。

 食事の間は、難しい話はせずにバイゼンでの雪祭りで雪像を作った時の苦労話やスライムトランポリンをした話で盛り上がり、またバイゼンでどれだけ雪が積もるかって話でも大いに盛り上がった。

 ランドルさんやバッカスさん、それからボルヴィスさんやアルクスさん達上位冒険者でも、春から秋の間にバイゼンへ行った事は何度もあるらしいんだけど、冬のバイゼンは誰も知らないらしく、そんなに積もった雪は見た事がないと言って笑っていた。

 そうか、確かに雪の間は街の外へ狩りに行けないから、ジェムモンスター狩りがメインの冒険者にしてみれば、冬のバイゼンにいたら商売上がったりになるわけか。

 そりゃあ確かに、それなら普通は冬に行くのは避けるよな。

 でも、俺がバイゼンにもデカいお城を買って、敷地内にダンジョン化した廃坑があるんだって話をしたら、全員が興味津々だったから、もしかしたら今年の冬はもっと大所帯になるかもね。



 だけどその前に、ここハンプールの夏と秋の早駆け祭りがあるから、まずはそっちの心配だね。

 リベンジ戦、出来るかなあ……?


挿絵(By みてみん)

2024年11月15日、アース・スターノベル様より発売となりました「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」第九巻の表紙です。

どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m


今回も引き続き、れんた様が表紙と挿絵を最高に素敵に可愛らしく描いてくださいました。

そして中の口絵二枚目が、何とケンの〇〇シーンですよ!

どうぞお楽しみに!

口絵ラフをいただいて、もう、一人で大爆笑したのは内緒です

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