表彰式の終了とお疲れ様でした〜〜〜!
「では、チーム戦の表彰に移らせていただきます! まずチーム戦の第三位は、前回第一位だった戦神の美丈夫金銀コンビ〜〜〜! なんとなんと、お二人揃って個人戦同着三位での受賞となりました。いやあ、本当にすごい戦いでした。五周戦の順位は、本当に僅差も僅差、全員ほぼ同着と言っても間違いではないほどの僅差でした。順位確定の風の術がなければ、絶対に我々では見分けられないほどの僅差でしたからね〜〜」
笑った司会者さんの言葉に、あちこちからあれは確かに見えなかったとか、あれでもちゃんと順位が分かる風の術ってすごい。なんて会話が聞こえてきた。
まあ、確かにあれは凄い。走っていた俺達だって誰が一位だったかなんて全然分からなかったもんなあ。
若干遠い目になりつつ完全に観客気分の俺は、笑って手を振って表彰台に進み出る二人の大きな背中を見送りながら、力一杯拍手をしてやったよ。
「チーム戦第三位の副賞は、船舶ギルド提供、豪華客船エスメラルダで行く王都インブルグとハンプールのペア往復乗船券! しかも一等客室に船内レストランのお食事券付き!」
大歓声の中、笑顔のハスフェルとギイが、シルトさんからチーム戦第三位の盾と花束、それから封筒を受け取る。
うん、これはクーヘンにそのまま進呈だな。彼なら仕事で王都へ行く事だってあるだろうからさ。
「チーム戦第二位。なんと初出場にして初のチーム戦第二位です! では参りましょう! 個人戦二位と四位を確保しての受賞です! チーム凸凹コンビ〜〜〜! そして第二位の副賞は、同じく船舶ギルド提供、豪華客船エスメラルダで行く王都インブルグとハンプールのペア往復乗船券が二組! しかも一等客室に船内レストランのお食事券も二組付きだ〜〜〜!」
これまた沸き起こる大歓声の中、大喜びのアーケル君と少し恥ずかしそうなボルヴィスさんが進み出て、それぞれチーム戦第二位の盾と花束、それから封筒を受け取っていた。
「そして、チーム戦第一位は、 勝利の女神が見事に引き寄せました! 個人戦一位を制してのチーム戦も第一位! チームラブラブ〜〜〜! チーム戦第一位の副賞は、同じく船舶ギルド提供、豪華客船エスメラルダで行く王都インブルグとハンプールのペア往復乗船券が五組! しかも一等客室に船内レストランのお食事券も五組付きですよ〜〜〜!」
嬉しそうに手を取り合って進み出るリナさんとアルデアさんに、会場からは大歓声と拍手と共にからかうような口笛や、この幸せ者! とか、女神を大事にしやがれこの野郎! 等々、若干恨み節っぽい声があちこちからかけられて大爆笑になっていたのだった。
ちなみに、個人戦でのアルデアさんは僅差の七位で、惜しくも入賞出来なかったんだって。
ハスフェルによると、万一なんらかの事情や選手側の反則があったりして順位が変動する可能性もあるので、見える順位の印は六位までだけど、主催者側では、全員の順位をちゃんと確認しているらしい。
まあ、それは主催者側としては必要な事だよな。
笑顔のシルトさんから、チーム戦第一位の盾と花束、それから副賞の封筒を受け取る二人に大きな拍手と大歓声が送られたのだった。
「お疲れ様でした〜〜〜! いやあ、一位おめでとう!」
無事に表彰式を終え、シルトさんがお祭りに終了を宣言したところで俺達は舞台から撤収して、またしても護衛の人達に取り囲まれてなんとかテントまで戻ってきた。
全員の顔に、今すぐ帰りたい! って書かれているのが見えそうなくらいに全員疲れ切っていたんだけど、テントの中に入って人目が無くなったところで俺は笑ってそう言いながらレニスさんとリナさんを振り返った。
「そうだな。おめでとう!」
笑ったハスフェルとギイの言葉に続き、皆が口々におめでとうを言って笑い合う。
「いやあ、冗談抜きで三連覇を阻まれちゃったよ。次回はこっちが追いかける番だな。頑張らないと」
笑った俺の言葉に、リナさんとレニスさんが揃って慌てていた。
「しょ、勝負は時の運です! 本当に僅差だったんですから、誰が勝ってもおかしくない勝負でしたよ」
焦ったレニスさんの言葉に、俺だけでなく全員が笑って首を振る。
「その勝負に、たとえ僅差であったとしても勝ったのはレニスさんとリナさんなんだから、ここは誇っていいところですよ。本当におめでとうございます」
俺がそう言うと、皆も若干悔しそうに笑いながらもうんうんと頷いていた。
顔を見合わせたレニスさんとリナさんは、揃ってもうこれ以上ないくらいの嬉しそうな笑顔になった。
「ありがとうございます。では、夏の早駆け祭りで二連覇出来るように頑張ります!」
「ありがとうございます。私も、夏の早駆け祭りでは二連覇出来るように頑張りますね」
笑顔な二人の二連覇宣言に、俺達は全員揃ってこう叫んだのだった。
「それは俺が阻むぞ!」ってね!
何はともあれ、こうして初めての魔獣使い達による五周戦となった春の早駆け祭りは、無事に終了したのだった。
いやあ、お疲れ様でした〜〜〜!