三周戦の結果!
「さあ、いよいよ三周戦が始まりましたよ! 順調なスタートだ。さあ、誰が一番だ?」
絶好調な司会者さんの言葉通り、なかなか順調なスタートを切った参加者達は、そのまま一気に走り去って行ってしまった。
どうやら団体のままで走り続け、半分ほど過ぎた辺りで三つの集団に分かれたみたいだ。
ウッディさんとフェルトさんは真ん中集団の先頭辺りを走っていて、そのまま三つの集団のまま二周目に突入した。
彼らが前を走った時、最前列ではないけどなかなかに良い位置に立っていた学生さん達の集団が、揃ってご祝儀テストをもう一度! って叫んでいたよ。
しかもそのうちの何人かが、ご祝儀テストがないとまずいんだって! と叫んで周囲の笑いを取っていたよ。
うん、お祭りを楽しむのは大いに結構だけど、勉強はしっかりしような。
思わず笑いながらも突っ込んだ俺だったよ。
「おっと、ここで集団に変化があったようです。真ん中集団がばらけて二つの集団になったみたいですね。さあ、順序はどうなっているのでしょうか!」
ご機嫌な司会者さんの言葉に会場がざわめく。
どうなったのかと息を呑んで待っていると、土煙と共に先頭集団が戻ってきた。
「ああ! ウッディさん達が先頭集団にいるぞ! 頑張れ!」
思わずそう叫んで立ち上がる。同じく声を上げたハスフェル達は、立ち上がりかけて慌てて座っていた。
うん、背の高い彼らが立つと、後ろの人はほぼ見えなくなるだろうからな。
苦笑いして、後ろの人達が座ったままなのを見て俺も座り直したよ。
あっという間に通り過ぎていった先頭集団を追いかけて、後続の集団も駆け込んでくる。
これくらいの差だと、加速したら余裕で順位は入れ替わると思う程度の差しかないから、先頭集団にいても全く余裕はないと思うぞ。
それにかなり速く走っているから、あのままの速度だとゴール前で力尽きる馬が出ると思う。
ウッディさん達が乗っている馬は、それなりに強いし速いみたいだけど、従魔達のような無尽蔵の体力はない。
ううん、大丈夫かちょっと心配になってきたぞ。
「ウッディさんとフェルトさん、頑張れ〜〜!」
せっかくなので、大学教授コンビには学生さん達のためにも勝ってもらいたいので、ここは賭け券を買っている俺的にはしっかり応援しておく。
「レンベックさん、頑張れ〜〜〜!」
俺が大学教授コンビを応援していると、笑ったアーケル君達が加速の王子レンベックさんの応援を始めた。
どうやら彼らはレンベックさんがご贔屓みたいだ。
「あはは、レンベックさんも、頑張れ〜〜〜」
まあ、二回も一緒に走った仲だからな。笑って一緒に応援してやると、同じく笑った草原エルフ三兄弟がウッディさん達の応援もしてくれて、笑って手を叩き合ったよ。
司会者さんの解説によると、三周目は前後に分かれた集団のまま走り続け、俺達も加速したあの赤橋の近くあたりでほぼ全員が一気に加速したらしい。
「さあ、もの凄い加速で一気に戻ってきたぞ! さあ、先頭は誰だ!」
ほぼ横並びのまま駆け込んでくる彼らを見て一気に会場のテンションが上がる。
もう、俺達も全員立ち上がって大声で応援している。
そして横並びのままでゴールを切っていった。
「ええ、全然分からなかったぞ。誰が勝ったんだ?」
誰が一位だったのか全く分からなかったのでそう呟くと、ハスフェルとギイが満面の笑みで俺を見た。
「ウッディさんが一位でフェルトさんが二位だよ」
「おお、やったな!」
まあ、彼らがそう言うのなら間違い無いのだろう。思わずそう言って拍手をしていると、アーケル君達が驚いたようにハスフェル達を見た。
「ええ、今の見えたんですか?」
「おう、俺達はちょっと良い目を持っているからな」
「だけどまあ、順位が確定するまでは大人しく待つとしようか」
ちょっとドヤ顔のハスフェルとギイがそう言い、その横ではオンハルトの爺さんも笑っている。
「いやあ、見事なゴール前の競り合いでしたね。順位が確定したようですので、発表します! まず一位は、走る知性派! 大学教授のプロフェッサーウッディと馬のレーラ! 二位は、同じく大学教授の人情派の鬼教授 フェルトと馬のナーデルだ! 学生の皆さん! ご祝儀テスト再びですよ!」
絶好調な司会者の言葉に、応援していた学生さん達が揃って大喜びで飛び上がっていた。
そして、その周りからは勉強しろってツッコミが多く入っていて、また大爆笑になっていたよ。
ちなみに三位がアーケル君達が応援していたレンベックさんで、四位がデュクロさん。
次々に発表される順位を聞きながら、特に問題がなければこんな風に順位を発表していたんだなって、今まで気にしたことがなかった俺は、素直に感心していたよ。
ウイニングランを終えて表彰式が始まり、凄くいい笑顔で表彰台に上がる彼らに、俺達は力一杯の拍手を送ったのだった。
さあ、午後からはいよいよ五周戦だぞ!