参加者紹介後半!
「では、ここからは皆様ご存知の三周戦からの引っ越し組です! こちらも順番に紹介していきましょう!」
絶好調な司会者の言葉に会場が大きくどよめき、俺達の名前を呼ぶ声があちこちから聞こえてきた。
「まず最初は前回三周戦第四位、上位冒険者にして魔獣使い、頼れる兄貴なランドル〜〜! 騎獣は希少種の、カメレオンオーストリッチのビスケット! チーム名は、チーム脚線美!」
名前を呼ばれて少し恥ずかしそうにしつつ、ビスケットの手綱を引いたランドルさんが胸を張って舞台へ上がっていく。
「あ、先に紹介されたアルクスさんが努力家って二つ名を付けられていたから、前回遅咲きの努力家だったランドルさんは、今回は頼れる兄貴になってるんだ」
前回の参加者紹介を思い出して思わずそう呟く。
だけど確かにランドルさんは、頼れる兄貴分って感じだから、彼の紹介としてはぴったりの二つ名って気がするぞ。
「そして次は前回三周戦第二位、いぶし銀の魅力満載オンハルト〜〜! 騎獣はこれまた希少種のグレイエルクの亜種のエラフィ! チーム名は、チーム脚線美!」
エラフィの手綱を引いたオンハルトの爺さんが舞台へ上がると、当然ランドルさんが進み出てきて二人並んで、背筋を伸ばして後頭部に手をやり、二人揃って客席側の右足を大きく前に伸ばして爪先立った、例のポーズをして見せたのだ。
見よ! ムチムチマッチョなおっさんの脚線美を! と言わんばかりのそのポーズを見た場内は、当然だが大爆笑になっていた。
それどころかそれを真似て同じポーズを取る野郎が会場内で続出して、笑い声がなお一層大きくなっていた。
思わず顔を見合わせた俺達まで揃って同じポーズを取って見せたものだから司会者まで吹き出してまた大爆笑になり、いつまでも笑いが収まらなくて司会者の人が笑いながら困っていたよ。
「はあ、笑いすぎてお腹が痛いです。明日はお腹が筋肉痛になっていそうですよ」
ようやく笑いが収まったところで大きく深呼吸をした司会者がそう言い、またしてもあちこちから同意する声と共に笑い声が上がっていたのだった。
「では、次へ参りましょう! 前回三周戦第一位! 戦神の化身ハスフェル! 素晴らしきこの肉体美を見よ! これぞまさしく銀髪の戦神そのものだ〜〜〜! 騎獣はグレイハウンドの亜種シリウス! チーム名は金銀コンビ! 二連覇はなるのでしょうか!」
笑顔のハスフェルがシリウスの手綱を引いて舞台へ上がっていく。
その途端に大きく沸き起こる大歓声。特に今回は甲高くて黄色い悲鳴がすごい。うん、ハスフェルは相変わらず女性陣に大人気のようだね。
だけど、マッチョな冒険者達や男性陣からの歓声も凄いぞ。まあ、こっちは純粋に憧れ的な感じなんだろう。
頑張って鍛えてもそれほどマッチョにならない自分の体が、ちょっと残念に思う俺だったよ。
「次は、もう一人の戦神の化身、前回三周戦二位の金髪の美丈夫ギイ! こちらもハスフェルに負けず劣らずの見事な肉体美です! いやあ、二人並ぶと壮観です。本当に素晴らしい。騎獣は、ブラックラプトルのデネブ! チーム名は、この二人にぴったりな、金銀コンビ〜〜〜!」
相変わらずの絶好調な司会者の声に、またしても沸き起こる大歓声と黄色い悲鳴。
苦笑いしたギイが、デネブの手綱を引いて舞台に上がっていく。
そして、これまた進み出たハスフェルと並ぶと、両腕を左右に大きく広げて拳を握って肘を曲げて腰をひねる、いわゆるマッチョポーズを取って見せる。ググッと盛り上がった筋肉を見て大きくどよめく会場。
そして、当然のように会場内ではマッチョポーズの真似をする人が続出していた。
しかも男性陣だけでなく、明らかに筋肉の無い細い腕の女性や小さな子供達までマッチョポーズの真似をしたものだから、またしてもあちこちから笑い声が上がっていたのだった。
ちなみに、先に紹介の終わっていた前半の子供達や大人達も舞台の後ろにまだ全員並んでいたので、大喜びで先を争うみたいにマッチョポーズを取っていたよ。
それどころか、中には脚線美のポーズを取っている子や大人達なんかもいて、またしても会場は大爆笑になっていたのだった。
「はあ、今日は腹筋をいじめる日のようですねえ。皆様の腹筋は大丈夫ですか〜〜? 私は冗談抜きで明日が心配になってきましたよ〜〜」
大きなため息を吐いた司会者の言葉に、会場からは同意の声と笑い声が起こっていた。
「さて、残るはあと二人! 順番に紹介していきましょう! 次は前回三周戦第三位のクライン族の小さな戦士クーヘン! 騎獣は、ブラックイグアノドンのチョコレート! 彼はこのハンプールで、絆と光、という店を経営する商人と、魔獣使いの冒険者を兼業する優秀な人物です! 彼のお店は王都からも多くの商人がやってくる程で、今やこのハンプールになくてはならない人気の店となっています。私もいつもお世話になっていますよ。チーム名は、愉快な仲間達!」
チョコの手綱を引いて舞台に上がるクーヘンにも大きな拍手が送られている。
観客の人達の最前列には踏み台に乗ったマーサさんやお兄さん一家だけでなく、俺は知らない顔だけど、明らかにクライン族と思われる小柄な人達が大勢並んでいて、手作りの応援の旗を振っていたよ。
中には冒険者と思しき大柄な人達が、踏み台に乗り切れなかったクライン族の人達を抱えたり肩車したりしてくれていて、視界が高くなったクライン族の人達は、大喜びでバッサバッサと応援の旗を振っていたのだった。
「では、最後のお一人になりましたね。皆様ご存知の通り、金銀コンビの乗る騎獣だけでなく、オンハルトの騎獣も全部こちらの彼がテイムした従魔です。そして、クーヘンやランドルをはじめ、今回参加している全ての魔獣使い達の師匠であり教師でもある、前回三周戦二連覇の覇者にして超一流にして世界最強の魔獣使い、ケン! 騎獣はヘルハウンドの亜種のマックス! チーム名は、愉快な仲間達!」
相変わらずの絶好調な司会者の小っ恥ずかしい紹介に赤面しつつマックスの手綱を引いた俺は、今までで一番大きな大歓声の中をゆっくりと手を振りながら舞台に上がって行ったのだった。