参加者紹介草原エルフ編!
「上位冒険者にして凄腕の護衛人ボルヴィス! 騎獣はオーロラブラウンウルフの亜種、セラス! チーム名は凸凹コンビ〜〜!」
まさかのチーム名に、揃って吹き出す俺達。
「た、確かにそう言えば初参加組のチーム名って、聞いてないよな。こうなると、リナさん達のチーム名も、楽しみだよ」
俺が笑い過ぎて咽せながらそう言うと、何故か揃って振り返ったリナさん一家が揃ってドヤ顔になった。
「あはは、じゃあ楽しみにしておくよ」
なんとか息を整えてそう言うと、もう一回ドヤられた。うん、これはマジで楽しみだぞ。
「はい。ここからは、なんと草原エルフの一家が揃っての参加となります。ちなみに全員成人していますよ〜〜! それどころか、恐らくこの会場内ではこのご一家の中の誰かが最高齢だと思いま〜〜す! では順番に参りましょう!」
笑顔の司会者の説明に、会場が大きくどよめく。
まあ、あの見かけだから、そりゃあ知らない人が見たら驚くだろう。だけど、実年齢で言ったらハスフェル達が間違いなく最高齢だよな。
不意にそんな事を考えてしまい、堪えきれずに思わず吹き出した俺だったよ。
「まず最初の一人は、上位冒険者にして魔獣使い、三兄弟の末っ子、愛されキャラのアーケル! 騎獣は、グリーンフォックスのコットンテイル! チーム名は凸凹コンビ〜〜! 確かに、これ以上ないくらいのぴったりの従魔の名前とチーム名だ〜〜〜!」
絶好調な司会者の解説に、会場から笑いと拍手が沸き起こる。
すると、笑顔のボルヴィスさんがアーケル君の横に進み出てきて彼の隣に並んだ。改めて見ると、二人の身長差は倍近い。
うん、確かにこれは凸凹コンビ以外の何者でもないって。
そのまま笑顔でハイタッチをした二人は、揃って会場に向かって一礼してから仲良く並んで下がっていった。
「では、次に参りましょう! はい、またしても貴重な女性の参加者です! 先ほど紹介したレニスさんとの女性の頂上対決はあるのでしょうか? これは楽しみにしたいと思います! 上位冒険者にして魔獣使いのリナライト! 彼女自身が勝利の女神となるのか! 騎獣はグリーンフォックスのララ! チーム名は……」
そこで何故か司会者が急に言葉に詰まって軽く咳払いをした。
「失礼しました。チーム名は、チームラブラブ〜〜! これは単なる惚気なチーム名ですねえ。はいはい、どうぞお幸せに〜〜!」
半ばヤケクソな大声のチーム名紹介に、会場から笑い声と冷やかす声が大きく沸き起こる。
「はい、続けていきますよ! この美貌の女神を射止めた幸せ者! 上位冒険者のアルデア〜〜! 騎獣はグリーンフォックスのビリジアン! ちょっと待て! チームラブラブなのに二人の従魔達の紋章が違うのはいいのか!」
司会者の即座のツッコミに、どっと会場から笑いが起こる。
確かに、並んだグリーンフォックスのララちゃんとビリジアンに刻まれている紋章は違う。
ララちゃんはリナさんの従魔で、ビリジアンはアーケル君がテイムしてアルデアさんに譲った子だからな。
後ろで手を振ったアーケル君が自分の従魔のコットンテイルの紋章を見せてドヤ顔になっていて、それに気づいた会場からは、また大きな笑いと拍手が沸き起こっていたのだった。
「では、次は二人まとめて紹介させていただきます! 揃って上位冒険者で、三兄弟の長男と次男! オリゴーとカルン! 騎獣は、どちらも真っ白なホワイトフォレストウルフのパールとネージュ! チーム名は、双子でドン!」
これまたまさかのチーム名に、会場はまたしても大爆笑になっていたよ。
そして、それぞれの従魔を引き連れて進み出たオリゴー君とカルン君は、意識してやっているのだろうけど動きが完全にシンクロしている。
ああしていると本当に二人はそっくりで、どちらがどちらなのかまず初対面の人は分からないだろう。
まあ、俺達はもう見慣れているから分かるけどさ。
「いやあ、それにしても本当にそっくりですねえ。これはちょっと本気で見分けがつきませんよ。でも皆さん、安心してください! ちゃんと見分ける方法がありますよ。ほら、こちらもご両親と同じで従魔の紋章が違いますからね!」
司会者の言葉に、笑ったオリゴー君とカルン君が、それぞれの従魔の横に立って紋章を見せる。
大きな拍手に手を振り下がる二人。
「はい、ここまでが早駆け祭り初参加の新人さん達の紹介でした。では、ここからは皆様ご存知の三周戦からの引っ越し組です! こちらも順番に紹介していきましょう!」
司会者の言葉にまたしても会場は大きくどよめき、俺達の名前を呼ぶ声があちこちから聞こえてきた。
はあ、ようやく俺達の紹介だよ。
ため息を吐いた俺は、あの小っ恥ずかしい紹介を思い出して、思わずマックスに抱きついて現実逃避していたのだった。
ああ、むくむくに癒されるよ……。