まだまだ続く参加者紹介!
「それでは、順に紹介させていただきましょう! まずは、初参加の方から紹介していきますよ! 皆、贔屓の選手は決まってますか〜〜〜?」
「おおおお〜〜〜〜〜〜!」
司会者がそう言って拳を振り上げると、会場内の人達もそれに応えるかのように拳を振り上げてもの凄い大声を上げた。そして口々に贔屓の選手の名前を大声で叫び始めた。
俺やハスフェル達前回参加組だけでなく、リナさん達をはじめ初参加の人達の名前もかなりあって、とにかくもの凄い大歓声だ。多分、今まで聞いた中で一番大きな歓声だと思うぞ。
俺達は、突然のその大歓声に驚いて飛び上がっていた。
しかし、この大歓声にも平然としていたのがハスフェルとギイとオンハルトの爺さん。それからボルヴィスさんとアルクスさん。ううん、さすがは上位冒険者だね。
ちなみにランドルさんとリナさん一家は、上位冒険者だけど揃って飛び上がっていたよ。
それから新人コンビやレニスさん、マールとリンピオも揃って飛び上がっていた。まあ、こっちは初参加だから当然だろう。それを考えればボルヴィスさんとアルクスさんって何気に凄いのかも……。
従魔達は、この大歓声でも怯える事も驚く事もなくどの子も平然としているのを見て、ちょっと本気で感心した俺だったよ。
「最初は、漆黒の従魔達を従える魔獣使いにして冒険者のマール! 騎獣はブラックエルクのアントラだ〜〜! チーム名は漆黒の風! 多くの漆黒の従魔達を従える彼には、まさに相応しいチーム名だ〜〜〜!」
大袈裟な司会者の紹介に一瞬驚いたように目を見開いたマールは、恥ずかしそうに笑ってリンピオと顔を見合わせてからアントラの手綱を引いて舞台へ上がっていった。
大歓声と沸き起こる拍手に苦笑いして会場に一礼した彼は、スタッフさんの指示で舞台の後ろに下がった。
「それでは次に参りましょう! マールとチームを組む若き冒険者のリンピオ! 彼が乗る狼のタバサもマールがテイムした従魔です。いやあ真っ黒な狼、格好良いですねえ〜〜!」
若干司会者の本音がダダ漏れな紹介に、リンピオも恥ずかしそうに笑いつつタバサの手綱を引いて舞台に上がって行った。
「次に参りましょう。なんと次はうら若き乙女! 早駆け祭りで女性の騎手は貴重です! 三周戦での歴代の騎手の中でも、なんと女性騎手は三名しかいません! しかも女性でトップを取った方はまだいませんので、彼女にはぜひとも頑張っていただきたいですね! では紹介します! ソロで参加のうら若き女性冒険者、レニス! その美しき眼差しが見つめる先にあるのはトップのみだ〜〜! 相棒はブラウンフォックスの一号!」
満面の笑みの司会者の言葉に小さく吹き出したレニスさんは、それでも得意そうに胸を張って一号の手綱を引いて舞台へ上がっていった。
彼女が舞台に上がった途端に沸き起こった大歓声に、一号共々若干ビビっていたのは、まあ当然だろう。
「では次に参りましょう! 多くの鳥の従魔を従える、こちらも若き冒険者にして翼の守り手、魔獣使いのムジカ! 騎乗するのはオレンジエミューのミュー! チーム名は自由なる翼! 翼の守り手に相応しいチーム名だ〜〜〜!」
成る程。翼の守り手とは、鳥好きなムジカ君にぴったりな紹介だね。
司会者の言葉に嬉しそうに笑ったムジカ君が、少し恥ずかしそうにしつつもミューの手綱を引いて舞台に上がる。
「そして彼とチームを組むのは、これも若き冒険者にして魔獣使いのシェルタン! 彼の騎獣はなんとブラウンホーンラビットのピッピ! 跳ね飛ぶウサギの背から振り落とされないか若干心配ですが、大丈夫なのでしょうか? チーム名は自由なる翼!」
笑ったシェルタン君も、大きくなっているピッピの手綱を引いて舞台へ上がって行った。
「あの、鞍は?」
ピッピを見た司会者が、やや遠慮がちにシェルタン君にそう尋ねる。
「ああ、大丈夫です。鞍は必要無いんです」
笑ったシェルタン君の答えに、会場が大きくどよめく。
「ええ? そうなんですか。これはレースが楽しみですね」
目を輝かせる司会者の言葉に、またしてもどよめく会場。まあ、彼のピッピの乗り方を見たら、そりゃあ驚くだろう。明日のレースの時の観客達の反応を考えて、思わず笑った俺だったよ。
「では次に参りましょう! 上位冒険者にして最近魔獣使いになった、努力家のアルクス! 彼もソロでの参加となります! 騎獣はホワイトウルフのロッキー!」
うん、何事も真面目に取り組むアルクスさんにはピッタリの紹介だね。
恥ずかしそうにしつつもやや赤い顔をあげて、ロッキーの手綱を引いて舞台へ上がるアルクスさん。
「そしてもうお一人、上位冒険者にして凄腕の護衛人ボルヴィス! 騎獣はオーロラブラウンウルフの亜種、セラス! チーム名は、凸凹コンビ〜〜!」
まさかのチーム名に揃って吹き出す俺達。
笑ったボルヴィスさんがセラスの手綱を引いて舞台に上がるのを、俺達は大爆笑しながら見送ったのだった。