祭りの後の予定とこの後の予定!
「はあ、最高の時間をありがとうございました!」
「確かにこれは最高だ。寝てしまいそうになりますね」
笑ったマールとリンピオが、それぞれそう言いながらもふもふの海から自力で帰還してきた。
おう、あのもふもふの海に沈まなかったとは、なかなかやるな。
そんな事を考えつつ、笑って手を引いて二人が立つのを手伝ってやる。
改めて身なりを直した二人は、それぞれの従魔達のところへ行ってまだぎこちなさはあるもののそれぞれの従魔達を撫でてやり、ゆっくりとスキンシップを楽しんでいたよ。
そのあとは、俺達もそれぞれの従魔達とのスキンシップを楽しみつつ、マールとリンピオに俺はまだ話していなかったセーブルとヤミーの事なんかを話して聞かせた。
レニスさんのスライム達が作ったソファーに並んで座った二人は、それはそれは真剣な様子で俺の話を聞いてくれて、特にセーブルの前のご主人との事を聞いたあとには、二人揃って号泣していたよ。
それから、それを見たリナさんが彼女の過去の話を詳しく話してくれて、またしても揃って号泣していた。
ようやく泣き止んだあとは二人揃って従魔達を大事にすると、金銭での従魔のやり取りはしない、それからもしも譲る時には相手をしっかりと見てから判断する事を約束してくれた。
うん、初対面こそ最悪だったし考えなしな部分はあるみたいだけど、ちゃんと話せば分かってくれる素直な良い子達だったね。
マックスにもたれかかってリナさんの話を聞いていた俺までもらい泣きしていたので、こっそりサクラに綺麗にしてもらったよ。
そのあとの二人はハスフェル達やランドルさん達とも改めて挨拶を交わし、それぞれの従魔を紹介していった。
キラッキラに目を輝かせてそれぞれの従魔達ともしっかりと挨拶を交わしていた二人は、祭りが終わったらどこへ行こうかと楽しそうに相談していた。
「ええと、レニスさんはリナさん達と一緒に行動する予定なんだよな?」
「ええ、誘ってくださったのでしばらくご一緒させてもらう予定です。今回の祭りが終われば、もう一度王都へ戻ってご家族のところに改めて挨拶に行くのだとか。なんでも前回行った時には、従魔達が注目を集めすぎて全然ゆっくり出来なかったそうですから」
俺の言葉に笑ったレニスさんがそう言って頷き、リナさんとアルデアさんも苦笑いしつつ頷いている。
「ええ、だけどそれならもう一回行っても同じ事になるんじゃあないのか?」
すると、俺達の会話を聞いたアーケル君が笑いながらドヤ顔になった。
「姉達は、王都の郊外に共同名義で大きな別荘を持っているんですよ。購入の際には俺達も資金面で少しですが援助しました。それでいつでもそこには泊まれるように鍵も貰っているんです。なので、今回はまずそこに行って従魔達を置いておき、交代で王都の街へ行こうと思っています。それなら俺達と騎獣だけで行けますから、まあそれほどの騒ぎにはなりませんよ」
「そうそう。前回はすっかり忘れてそのまま従魔達を全員引き連れて行ったから大騒ぎになっちゃったんですよね。でもまあ、皆に従魔達を紹介出来ましたから、あれはあれで良かったと思っているんです」
「あそこの別荘は、ケンさんの別荘の庭には到底敵いませんが、すぐそばに大きな森もあるし広い草原もあります。狩猟禁止区域なので、誰かが立ち会っていれば従魔達も好きに走らせてやれると思うので、街中に泊まるよりは従魔達ものんびり出来るかなって、後で気がついたんですよね」
アーケル君に続いてオリゴー君とカルン君まで笑いながら解説してくれる。
成る程、郊外にそんな別荘があるのなら、確かに従魔達的にはそっちの方が快適だろう。
「いいじゃないか。じゃあ祭りが終わればまた解散だな。次に会うのは夏の早駆け祭りかな?」
「そうなりますかね。あの、それなら別れる前に、もう一回バーベキューパーティーをお願いします!」
「いや、それよりも、代金を払いますから岩豚のカツサンドをまとめて売ってください!」
「俺は岩豚の角煮と角煮まんをお願いします!」
真顔の草原エルフ三兄弟の頼みに、堪える間も無く吹き出した俺だった。
「い、岩豚って……?」
「あの、岩豚?」
俺達の話を聞いていたマールとリンピオが、驚いたようにそう呟いてレニスさんを見る。
苦笑いした彼女が頷くのを見て、揃って驚きの声を上げる二人。
ドヤ顔で岩豚カツサンドを取り出した俺を見て、全員揃って大爆笑になったのだった。
「じゃあ、心を入れ替えた良い子達にも夕食に岩豚をご馳走してあげるとしようかね」
ドヤ顔の俺の言葉に大歓声が上がり拍手大喝采になったのだった。
皆、肉好きだもんな。
もちろん、俺だって大好きだよ。