まずは従魔登録だね!
「はあ、ご馳走様でした。ところで、まずは話し合いの前に皆の従魔登録はしておくべきじゃあないか?」
昼前までかかって別荘からホテルハンプールに到着した俺達は、とにかく疲れ切っていてもうこのまま今日は休憩にしようって事になっていたよ。
でもまあ、さすがに飯抜きは無理なので、一応一番広い俺の部屋に何故か全員集合して昼食をとった。
もちろん、料理はホテルハンプールのデリバリーだよ。
うん、このビーフシチューは激ウマなので、また持ち帰りでまとめてお願いしておこう!
そんな感じで大満足の食事を終えてまったりしていたんだけど、重要な事を思い出して慌ててそう言った俺だったよ。
神官様に別荘まで来てもらって、新人さん達全員が無事に魔獣使いの紋章は授与してもらったんだけど、もう一つの重要事項、冒険者ギルドへの従魔登録をまだ行なっていない。
まあ、これは義務ではないけれども、万一従魔達に関わる問題が起こった際に未登録だと色々と問題が出るらしいので、出来れば早めに済ませておきたいからね。
「確かにそうだな。じゃあ冒険者ギルドに連絡してもらって、ここで登録して貰えばいい。これだけの人数がいるんだから、例の装置を持って来てくれるだろうさ」
「ギルドも祭り前の忙しい時期だろうけど、確かに従魔の登録はしておくべきだな。了解だ。ちょっと頼んできてやるよ」
頷くハスフェルの言葉に、フットワークの軽いギイがそう言って立ち上がりそのまま部屋を出ていく。
一応、俺達が泊まってるこの階は、いわゆるスイートルームとかがある特別階で、他の階の宿泊客も勝手には入ってこられない仕様になっているらしいし、部屋付きの執事さんみたいな人が控えているんだよな。
何か欲しいものがあったり、今みたいに何か頼み事がある時はその人に言えば全部手配してくれる。
まあ、今の俺達は事実上ホテルに監禁状態なので、それくらいの融通は利かせてもらわないと困るんだけどね。
はあ、一度でいいから祭りで賑わう街で屋台巡りをしてみたいよ〜〜〜。
祭り限定の屋台とかもたくさん出ているらしいのになあ……しょんぼり。
ぼんやりとそんな事を考えていると、すぐにギイが戻ってきた。
「すぐに来てくれるとさ。それで、先にこれを書いておいてくれって言って渡されたぞ」
笑いながらそう言ってギイが差し出したのは、見慣れた従魔登録用の書類の束だ。
まあ確かにあらかじめ記入して準備しておけば、ギルドから来てもらってすぐに登録出来るからな。
って事で、新人さん達は書類を受け取り、全員揃って嬉々として新しい子達の名前を確認しながらそれぞれの書類に記入していったのだった。
その間にもう一回デリバリーでコーヒーとつまめそうなお菓子を頼んでおき、ギルドの人達が来てくれるまで、まったりとコーヒータイムにした俺達だったよ。
それからしばらくして、エルさんと一緒にギルドのスタッフさん達が例の従魔登録用の機械を台車に乗せて運んで来てくれて、無事に全員の従魔登録が完了したのだった。
新しい従魔を前に、揃って感心していたエルさん達だった。
特に、ハクトウワシは珍しい従魔だったみたいで、こんなにいたら有り難みがないと真顔でエルさんに言われてしまい、揃って大爆笑になったのだった。
しかも、エルさんが気を利かせてくれて、新しい従魔用の首輪と足輪をいくつも持ってきてくれたんだよ。
新しい子達には、とりあえず臨時でギイが用意してくれた色付きのロープやリボンで即席の首輪にしているだけだったからね。
ちなみに鳥達の場合、首輪が出来ないので伸縮性のある足輪を装着するのがいいとされている。
もちろん俺も、ファルコを含めてちゃんと足輪を装着しているよ。
この鳥の従魔用の足輪は、実は金属ではなくてごく細くした金属の糸で特別な編み方で編まれたものなので案外伸縮性があるらしく、巨大化しても脚を締め付けないんだよな。
成る程。毛糸の金属版みたいな感じって事か。
皆、大喜びで首輪や足輪を選び、ギルドカードで支払いを済ませてさっそくそれぞれの従魔達に装着していた。
新しい首輪や足輪をもらって、従魔達もなんだか得意げだったよ。
「スライム達には、さすがに首輪も足輪も出来ないなあ」
それを見てちょっと残念そうにしていたアクア達に気がつき、思わず笑いながらそう言って順番におにぎりにしてやった俺だったよ。