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ゴールドバタフライ狩りと街への帰還

「おお、近くで見るとやっぱりデカいなあ」

 俺が立っているすぐ近くの花にやって来たゴールドバタフライを見て、思わずそう呟く。

 まあ、若干鱗粉が飛び散るのが鬱陶しいが、攻撃してこないからゴールドバタフライ狩りは気が楽だよ。

 一つ深呼吸をして、俺より太い胴体をヘラクレスオオカブトの剣で勢いよく真っ二つにする。

 ジェム化した衝撃でふわりと宙に浮いた大きな大小の翅は、一瞬でスライム達が収納してくれたよ。

 収納能力の無い新人コンビやランドルさん達は、スライムたちが落ちた翅とジェムを即座に確保して、すぐに自分のご主人から渡された収納袋へ突っ込んでいる。

 あの大きな翅がするりと小さな収納袋に吸い込まれている様は、何度見ても不思議な光景だよ。

 ちなみに新人コンビには、俺が五百倍の収納袋を二人にそれぞれ十個ずつ追加で貸してあげている。

 まあ、これだけあれば大丈夫だろう。多分。

 もちろん、足りなくなったらすぐに言うように言ってあるから、そうなったらまた追加を貸すよ。

 本当に空を埋め尽くす勢いで吹き出してくるゴールドバタフライを、俺達はひたすら剣や槍で切ったり突いたりして落とし続けた。

 少し離れた別の場所では、交互に爆音や風の音がこっちまで聞こえているから、リナさん達も頑張っているみたいだ。

 そして俺達から離れた反対側では、従魔達によるこれまた見事な駆逐作戦が展開されていたよ。

 いやマジで、あれは駆逐以外のなにものでもないと思う。

 ごめんよゴールドバタフライ達。いただいたジェムと素材は大事に使わせてもらいます。

 従魔達のあまりに一方的な駆逐現場を見て、割と本気でゴールドバタフライに同情した俺だったよ。

 まあ、俺だって相当数狩っているから人の事は言えないんだけどさ。



 そんな感じで五面クリアーしたところで、ようやく今日の出現数が終わったらしく追加が出てこなくなった。

 一応スライム達には翅優先で確保するようにお願いしてあったので、足元には拾いきれなかったジェムがゴロゴロ転がっている。

 ハスフェル達と念話で相談の結果、今回も俺達の分からかなりの追加を新人コンビに押し付けておいたよ。

 借金返済が終わったら、装備を一新したいと言っていたもんな。

「ええと、どうするんだ? もう一泊する? それとも街へ戻る?」

 まだ日が暮れるには早いけど、今から街へ戻れる距離なんだろうか? 確か、街からはかなり離れているって聞いたぞ。

 この後の予定を考えた俺は、そう言いながらハスフェル達を振り返る。

「ああ、一旦街へ戻ろう。せっかく大量に手に入れたジェムと素材だ。一度冒険者ギルドへ行って買い取りしてもらいたいだろうしな」

 笑ったハスフェルの言葉に、新人コンビが笑顔になる。

「でも、俺達は、祭りが終わるまでは街へ行くのはやめた方が良くないか?」

 街へ行くと聞いて、慌てて俺はそう言ってハスフェルを見た。

 出来ればあの街中総出のパレード状態は、俺のHPがマジで駄々減りするから勘弁して欲しい。俺にはモブその一くらいが性に合っているんだってば。

 すると、ハスフェルがそんな俺を見てにんまりと笑った。

「大丈夫だよ。貴族の別荘地にはギルドの支部がある。まあ基本的には、貴族からの依頼を受けるのが目的の窓口だがな。だけど一応エルに、こっちの支部での素材の買取り依頼をしておいたから準備してくれているはずだ」

「へえ、そんなのがあるんだ。じゃあ俺達は急がないから、ムジカ君とシェルタン君の分をそっちで買い取りして貰えばいいな」

「はい、ほとんど空ですが一応自分の口座も作ってあるので、そこに振り込んでもらいます」

「ええ、せっかくなんだから目の前に積み上がった金貨とか見てみたくないか?」

 笑ったムジカ君の言葉に、シェルタン君がそう言って両手で山を作って見せる。

「あはは、確かにちょっと見てみたいな。だけどそんな大量の金貨を渡されても困るだけだろうが。持ち歩く気か?」

「あはは、確かにそうだな。残念。じゃあ口座の残高を書いたのを貰って、それを見て喜ぶ事にするか」

「だな、お酒が飲めれば乾杯するんだけどなあ」

「確かに、でもまたぶっ倒れるのは勘弁して欲しい」

「あはは、俺もぶっ倒れるのは嫌だなあ」

 顔を見合わせて苦笑いしている二人の会話を聞いて、俺達まで笑いそうになった。

 どうやら新人コンビは、まだお酒はほとんど飲めないみたいだ。よし、俺より酒が弱い人って、この世界で初めて見たぞ。

 何だか嬉しくなって笑った俺だったよ。

「慣れないうちにいきなり強い酒を大量に飲むと、酔いが一気に来るからな。じゃあ街へ戻ったら酒の飲み方を教えてやるよ。最初は薄くした水割りか、発酵が浅いやつ辺りで始めるのがいいぞ」

「よろしくお願いします!」

 嬉しそうな新人コンビの声に、皆が揃って笑顔になる。

 ううん、絶対あっという間に若者達に酒量で追い越される気がしてきたなあ。

 おすすめの酒の話を始めたハスフェル達と新人コンビを見て、遠い目になった俺だったよ。



 シャムエル様〜〜!

 この世界の食事量と酒量は、絶対に基本の設定値を間違ってると思うから、訂正した方がいいと思いますよ〜〜!


挿絵(By みてみん)

2024年7月18日、アース・スターノベル様より発売となりました「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」第八巻の表紙です。

どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m


今回も引き続き、れんた様が表紙と挿絵を最高に素敵に可愛らしく描いてくださいました。

楽しそうなスライムトランポリン、私もやってみたい! と、仕上がった表紙のイラストを拝見して叫んだのは内緒です。

そして、中の口絵も最高に可愛いのでどうぞお楽しみに!

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― 新着の感想 ―
[一言] その神様がバグってるのでムリです。
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