バーベキューパーティーだ〜〜!
ここにはいないはずのバッカスさん、さりげなく混じってましたね。
大変失礼致しました。
該当箇所を訂正しましたm(_ _)m
「よし、肉の準備完了! 後は野菜だな」
各種お肉と、いつもの赤ワインスパイスソースや焼肉のたれ各種もガッツリ用意したところで、そう呟いてキャベツを取り出す。
まあ準備といっても俺は指示するだけで、ほとんど全部スライム達がやってくれるんだけどさ。
「ケン、すまんが塊の肉を先にもらえるか。焼き始めておくよ」
ギイがそう言って来てくれたので、赤ワインスパイスソースと一緒にグラスランドブラウンブルの塊肉と、普通の牛肉の塊肉も大きめのを渡しておいた。
普通の牛肉は、俺の元いた世界の肉に比べたら全体に赤身で硬いんだけど、赤ワインソースをかけながら焼くと、これがもう最高に美味しくなるんだよな。
って事で、肉焼きは彼らに任せて俺は野菜の準備をするよ。
玉ねぎは皮を剥いて輪切りに、キャベツはざく切りに、ニンジンは斜めにスライスしてピーマンは半分に切って種を取ってもらう。後は、ナスもスライスして飾り切りをしてもらい、じゃがいもは皮を剥いて1センチくらいの輪切りにしてもらう。
それから、俺が食べたかったのでトウモロコシもぶつ切りにしておく。
ちなみにこのトウモロコシも、俺が知る元の世界のに比べたらかなり小さめで小粒だし色も黄色だけどちょっと赤っぽい。でも焼くと甘味が増すので、割と気に入っている。
普通なら今は手に入らないような季節の野菜なんかもがっつりまとめ買いしてあるので、まだまだ在庫は余裕があるからガンガン出すよ。
がっつり野菜も用意したところで、一つため息を吐いてハスフェル達を振り返る。
水場から少し離れた平らな場所に、ありったけの机と椅子を並べたバーベキューパーティーの会場が、見事に出来上がっていた。
そして真ん中ではギイとアーケル君が塊肉を焼き、満面の笑みのムジカ君が赤ワインスパイスソースを持って両方のお肉に交互にかけて回っているところだ。
シェルタン君は、ハスフェルと一緒に飲み物の準備の真っ最中。
要するに、大きな桶に俺があらかじめ作って渡してある大量の砕いた氷の中へ、お酒の瓶やジュースの瓶をせっせと突っ込んでいるところだった。
確かに今日はちょっと気温も高めなので、冷えたビールは必須だよな。
ちなみに最近では、ハスフェル達だけでなくリナさん達やランドルさんまでたまに冷えたビールを飲んだりしている。そうそう、特にこれからの季節、冷えたビールは美味しいからな。
「あれ? お酒だけでなくジュースもあるって事は、新人コンビはもしかしたらお酒はまだ飲めないのかな?」
ふと気がついた俺は、麦茶の瓶もまとめて取り出しスライムにお願いして運んで渡してもらった。
スライム達が運んでくれた麦茶の瓶を見て笑ったハスフェルが振り返って手を振ったので、俺も笑って手を振りかえしておく。
「白ビールと黒ビールもよろしくな〜〜〜」
笑いながら大声でそうリクエストすると、笑ったシェルタン君が氷の中に突っ込んである白ビールの瓶を一本引き抜いて振り返ってこっちに向けて上げて見せる。
「はあい! ケンさんがお好きと聞いたので、真っ先にバッチリ冷やしてあります!」
「ありがとうな〜〜〜!」
笑ってもう一度手を振り、準備の出来た野菜の並んだバットも一旦全部収納しておく。
「よし、じゃあこれで準備完了だな!」
綺麗になったテーブルも全部スライム達に片付けてもらい、準備を手伝ってくれたスライム達を順番に撫でたり揉んだりしてからハスフェル達のところへ行った。
「じゃあ、始めようか。ほら、岩豚のお肉様だぞ。ひれ伏せ〜〜〜!」
笑いながらそう言って、まずは全員が間違いなく一番喜ぶ岩豚の肉が並んだバットを取り出していく。一応、これが一番人気と予想して大量に準備してあるよ。
当然、それを見た全員から大歓声が上がり拍手大喝采になる。
「こっちは、ハイランドチキンとグラスランドチキン、それから水鳥の肉〜〜〜」
またしても歓喜の大声と拍手大喝采になる一同。
「それから、レッドエルクのお肉と牛肉〜〜! こっちはグラスランドブラウンブルの熟成肉だぞ〜〜〜」
もう大喜びの一同を見て、俺は野菜各種も取り出して見せる。
一応お付き合いって感じに湧き起こった小さめの拍手に、もう笑うしかない俺だった。
本当に皆、どれだけ肉が好きなんだよってな。肉食っていいから野菜も食え!
塊肉はギイとアーケル君とオリゴー君、バーベキュー台は、ハスフェルとランドルさんとボルヴィスさん、それからリナさん夫婦とカルン君が交代しながら担当してくれたので、ここからはもう俺は今回も何もしない宣言をして食べる事に専念させてもらった。ちなみにクーヘンとマーサさんは手伝うって言ったらしいんだけど、今回はお客様扱いになったみたいで何度もお礼を言って、苦笑いしながら大人しく座っていた。
ムジカ君とシェルタン君は、そりゃあもう大喜びで焼いた肉を食べつつ、飲み物コーナーを交代で担当してくれている。
飲み物を取りに来た人に欲しいものを聞いて瓶の栓を抜いて渡したり、横に置いた木箱にびっしりと並んだ在庫の飲み物各種を確認しながら、こまめに追加を冷やしたりしてくれている。
成る程、ああやってあえて役割を与えてやった方が遠慮なく食べられるわけか。
山盛りになった岩豚のお肉を大喜びで食べている新人コンビを見て、もう保護者気分全開の俺だったよ。
そうそう、若い奴は肉をしっかり食わないとな。
もちろん、俺だってがっつり食べているよ。
特にこの、赤ワインスパイスソースをかけたお肉の削ぎ切りが美味しすぎて、もうおかわり三回目だ。
削ぎ切り肉と岩豚と各種チキンとレッドエルクのお肉コーナーを巡回しつつ、合間に醤油をかけて焼いたコーンと岩豚の脂で焼いた激うまキャベツと玉ねぎなど、もうバーベキューを満喫した俺だったよ。
ちなみにいつもの簡易祭壇には、前回と同じく最初の分を冷えたビールと一緒にお供えしておき、あとは好きにしてくださいとお願いしておいた。
収めの手は、それはそれは嬉しそうに俺のお皿のお肉と野菜、それから冷えたビールを撫で回して持ち上げた後は、手だけなのに大はしゃぎしているのが分かるくらいのハイテンションで、焼けたお肉を撫でたり持ち上げたりしながら、合間に皆の頭を撫でて回っていた。
当然新人コンビの頭も何度も撫でてくれていたし、彼らの従魔達も撫でてくれていたから、もしかしたら何かの守護を与えてくれたのかもしれない。
「ありがとうな」
新しく取ってきたお肉を撫でる収めの手を見て、小さく笑ってそう呟いた俺だったよ。