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愛しい従魔達と謎の効果?

「待つのにゃ〜〜〜!」

 目をキラッキラに輝かせたマニが、そう叫びながらまたしても大ジャンプで巨大化して走るティグに遠慮なく飛びかかっていく。

 ダチョウの羽根を咥えたまま走っていたティグは、楽しそうに飛びかかってきたマニを背中に乗せたまま平然と走っている。

 そして、口に咥えたダチョウの大きな羽が風の煽りを受けてマニの目の前をチラチラと動き回るものだから、ティグの背中にしがみついているマニは、そりゃあもう大興奮状態だよ。

 だんだん走る速さがゆっくりになったと思ったら、いきなり止まって大きく身震いをしてマニを振り落としてまた逃げ出すティグ。当然即座に起き上がってまた追いかけ始めるマニ。

 なんとなく一緒になってスピードを落とした俺の乗ったスライムタクシーは、あっという間に置いていかれちゃったよ。

「あはは、ティグがマニをじゃらしてくれているぞ」

 俺が走っている時くらいの速さになったスライムタクシーは、残りの従魔達に追いつかれて取り囲まれたまま走っている。

 だけど、従魔達の目がそれはもう期待に満ち満ちた状態で全員揃って俺を見つめている。

「もっと遊びたいってか? それじゃあもう一本出すか。でもこの状態で出して羽根を振り回すと、冗談抜きで俺の身が危険になりそうな気がするぞ」

 巨大化した猫族軍団の面々を見て苦笑いした俺は、もう一本取り出したダチョウの羽根を大急ぎで空中に向かって思いっきり放り投げた。

 甲高い鳴き声が響き、ファルコがもの凄い勢いで降下してきて俺の投げたダチョウの羽根を空中で見事にキャッチした。

 当然のように、巨大化したジャガーのフォールがこれまたもの凄いジャンプ力を見せて空中のファルコに飛びかかる。

 今のファルコはいつもの大きさだから、体格の差は歴然としている。

 しかし、ファルコは平然と身をひねってフォールの爪をかわし、一気に空中に上がっていく。

 お空部隊の面々が甲高い鳴き声をあげてそれを追いかける。

 空中引っ張り合いっこの結果、ダチョウの羽は豪快に半分に引きちぎられて、一つをファルコが、もう一つを巨大化したインコのメープルが咥えて降下してきた。

 猫族軍団の手が届かないギリギリのところまで来て、一気に身をひねってまた急上昇する。

 それを見た猫族軍団だけでなく、フラッフィーやマックス達までがもの凄いジャンプを見せてダチョウの羽根を追いかける。

 しかし、地上にいる子と空中にいる子とでは明らかに空中が有利だ。

 まあ、これだって地上にいる子達が本気になって飛びかかればまた違う結果になるんだろうけど、今は遊びの時間なので誰もそれほどの無茶はしない。

 ミニヨンとカリーノは、ティグに完全にじゃらかされているマニの援護に入ったみたいで、慌てたようにまたティグが走り出していたよ。

 俺はスライムタクシーに運ばれつつ、夢中になってはしゃぎ回る従魔達を見て和んでいたのだった。

 ううん皆、仲が良くていい感じだねえ……はあ、癒されるよ……。



 結局、最後はお空部隊の子達が明らかにわざと羽根を落としてくれて、当然飛びかかった従魔達総出の争奪戦の結果、ダチョウの羽根は哀れバラバラの惨殺死体となり、ほぼ全員がひとかけらずつ咥えて遊ぶというなかなかに豪快な終わり方になったのだった。

「はあ、お疲れさん。楽しかったみたいだな」

 スライムタクシーから降ろしてもらった俺は、ダチョウの羽根の破片でまだ遊んでいるマニ達を手を伸ばして撫でてやった。

「うん、すっごく楽しかったのにゃ!」

「楽しかったにゃ!」

「楽しかったのにゃ!」

 俺の腕に飛びついてきたマニの言葉に、同じく飛びかかってきて背中からと俺の足にしがみついたミニヨンとカリーノの言葉に、俺もこれ以上ないくらいの笑顔になったよ。

「そっか〜〜楽しかったか〜〜〜!」

 両手でマニの顔を捕まえておにぎりにしてやりつつ、そう言って力一杯抱きしめてやる。

「前のご主人、カリーノもおにぎりしてくだしゃ〜〜〜い!」

「ミニヨンも忘れないでなのにゃ!」

 まだ若干赤ちゃん言葉のままの二匹も、俺の脇の下に鼻先を突っ込んできて、自分もかまえとアピールしてくる。

「なんだよ。お前らにはちゃんと今のご主人がいるんだから、その人におにぎりして貰えばいいじゃないか〜〜」

 一応、順番におにぎりにしてやりつつ、笑ってそう言ってやる。

「もちろん、今の新しいご主人も大好きにゃんだけど、前のご主人のこれは最高に気持ちがいいのにゃ〜〜〜」

 俺におにぎりされて、とろけそうな声で甘えてくるミニヨンの言葉に、驚いておにぎりしていた手が止まる。

「ええ、違うのか?」

 もっとやれとばかりに頭突きしてくるミニヨンとカリーノを交互に見てから、今のこの子達のご主人であるランドルさんとリナさんを振り返る。

「ううん、にゃんて言うか……前のご主人の手は、本当にすっごくすっごくすっご〜〜〜く気持ちが良いのにゃ!」

「そうそう。すっごくすっごく気持ち良いのにゃ!」

 ミニヨンとカリーノの言葉に、思わずシャムエル様を探した俺だったよ。

『ええと、今のって……どういう意味?』

 マックスの頭の上にシャムエル様を見つけて、遠かったので念話で聞いてみる。

『ふっふ〜〜ん。まあ世界最強の魔獣使いの手が、癒しの効果があってもおかしくはないからね』

 遠くからでも分かるくらいのドヤ顔でそう言われて目を見開く。

『はあ? 俺の手が癒しの効果って、何それ?』

 トークルーム全開になった状態でそう答えられて、咄嗟に力一杯叫び返した俺は……間違っていないよな?


挿絵(By みてみん)

2024年三月十五日、アース・スターノベル様より発売となりました「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」第七巻の表紙となります。

今回も引き続き、れんた様が表紙と挿絵を最高に素敵に描いてくださいました。

もう、この表紙のセーブルの表情が全てを物語っていますよね!

今回は珍しくケンも頑張って戦っていますので、どうぞ貴重なケンの勇姿を見てやってください!

どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m

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1705話目で、新たな真実が!(;^ω^)
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