まったり休日と持ち寄りバイキング!
「ああ〜〜お前ら、本当に最高だな」
笑った俺の呟きに、俺を押し倒して大暴れもふもふ祭り状態でもふもふの海に沈めてくれた従魔達が、揃って顔を上げて得意そうに喉を鳴らしたり鼻で鳴いたりして自己主張を始める。
ウサギコンビは、小型犬サイズになって先ほどから飛び跳ねては俺にぶつかっては転がって遊んでいるし、お空部隊も隙あらば俺を奪い返そうと、キラッキラに目を輝かせてマックスやニニの頭に留まって俺達を見つめている。
ファルコとネージュまで、ビアンカの頭の上に並んで留まって一緒になってキラッキラに目を輝かせているのを見て、もう堪える間も無く吹き出した俺だったよ。
残念ながら全身凶器な為に大暴れもふもふ祭りに参加し損なっていたハリネズミのエリーは、ちょっと前に普通の蛇サイズになったセルパンが頭の上に乗せて連れてきてくれたので、針に気をつけながらおにぎりにしてやったらご機嫌で嬉しそうな悲鳴を上げていたよ。今は俺の鞄の外ポケットの定位置に収まって、顔だけ出して楽しそうにこっちを見ている。
イグアナコンビもさっきの大暴れもふもふ祭りには参加せず、ニニとマックスの間に挟まってまったりと寛いでいる今の俺の両脇に鼻先を突っ込んで甘えてきているし、ニニの首輪から出てきた小さな草蛇サイズのセルパンは、ちょっと遠慮がちに俺の顔の横にトグロを巻いて、時折鼻先を俺に押し付けてきたり尻尾の先で俺のこめかみの辺りをくすぐったりしてちょっかいを出して遊んでいる。
ちなみに従魔達に囲まれているのは皆も同じで、それぞれのスライムベッドの上で自分の従魔達と一緒にくっつきあって寛いでいるよ。
ハスフェル達は部屋に戻るとか言っていたけど、何となく流れでそのまま全員がリビングでくつろいでいる真っ最中だ。
そのまままったりとした時が流れ、うたた寝状態の俺は、時折交代してくっついてくるお空部隊やもふもふな子達を半ば無意識に撫でたり揉んだりしてやりながら、気がついた時にはすっかり日が暮れていたのだった。
いやあ、こんな風に気合を入れてダラダラする何もしない日っても、たまには良いもんだね。
「ふああ〜〜ああ、いかんいかん。すっかり日が暮れているじゃあないか」
開けっぱなしになっていたカーテンから外を見た俺は、思わずそう言って慌ててもふもふの海から起き上がった。
「朝昼兼用でお粥食っただけだから、案外腹が減ってるなあ。なあ皆、何が食べたい?」
すっかり寛ぎモードになっているので今から何か作るのはちょっと大変そうだし出来れば作り置きで何とかしたい。
大きく伸びをしながらそう尋ねると、同じように起き上がったハスフェルとギイが揃ってこっちを見た。
「まあ、今日は休日って事にしているんだから、お前も今から何か作るのは大変だろうし、またそれぞれ買い置きを出して好きに食うか?」
「ああ、いいなあ。あれはなかなかに楽しいぞ」
「いいですね! それなら俺達も出しますよ!」
アーケル君の声に、リナさん達やランドルさん達もそれぞれの収納袋を手に笑って頷いている。
「いいね、じゃあもう今日は俺も休日って事でのんびりさせてもらうよ」
「じゃあ、それでいきましょう! 実を言うと、さっきから腹が減ったなあって思っていたところなんです」
嬉しそうにそう言って笑ったアーケル君がスライムベッドから立ち上がり、綺麗に片付いて何も置かれていない机の上にいそいそと買い置きの包みを取り出し始めた。
「俺も出すよ」
「それなら俺も出すぞ」
嬉々としてそれぞれの収納袋から色々と取り出すランドルさんとボルヴィスさん。
それを見て、リナさん一家もアーケル君の周りに集まり、それぞれの収納袋からいそいそと料理を取り出し始めた。
顔を見合わせた俺達も、笑って色々と取り出したのだった。
ちなみに俺がサクラが入ってくれた鞄から取り出したのは、いつもの鉱夫飯アレンジ弁当がぎっしり詰まったいくつもの重箱と、大量の岩豚トンカツと岩豚の角煮だ。
「あ、岩豚の角煮まんも出しておこう。これは俺が食いたい」
小さくそう呟いて、大皿に岩豚の角煮まんも山盛りに出しておく。
「うわあ、めっちゃ美味そう! 俺達が何を出しても、岩豚を出されたら絶対負けるよなあ」
「確かに! 王都で買ってきた、このハーブの効いた焼いた牛肉とかも向こうで食った時は美味しいと思ったけど、岩豚と比べたら勝負にならないよなあ」
苦笑いするアーケル君達が取り出しているのは、何やらハーブがいっぱい振り掛けられた大きな肉の塊の包みだ。
「ああ、塊かと思ったけどローストビーフみたいにスライスしてあるのか。あれは美味しそうだから、是非頂こう!」
やや分厚めにスライスしたそれを包みを開けてお皿に並べ、小瓶からソースらしきものまで取り出してかけているのを見て、思わずそう呟く。あの、薄茶色のソースもどんな味なのかちょっと気になるぞ。
俺が作るものって割とワンパターンになりがちだから、こんな風に皆が持ち寄ってくれると普段食べた事が無いような変わった味付けの料理が食べられるので、この持ち寄りバイキングを俺は割と楽しみにしているんだよな。
お酒はハスフェル達が大量に取り出してくれているので氷の追加を作って渡しておいて、俺は麦茶を取り出しながら小さく吹き出した。
「もしかして、このまま宴会に突入すると、今夜もここで寝落ちかもな? でもまあ、楽しいから別にいいよな」
「あ、じ、み! あ、じ、み! あ〜〜〜〜〜〜っじみ! ジャカジャカジャン!」
山盛りの岩豚の角煮まんの横で、小皿を片手に高速ステップを踏むシャムエル様と、同じく小皿を手に完璧なシンクロダンスを踊るカルディアを見て、もう一度吹き出した俺だったよ。