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まずは朝飯!

「はあ。でもまずは朝飯だな。まあ、いつもよりはかなり遅い時間みたいだけどさ」

 笑った俺の言葉に、あちこちから同意の声が上がる。

「とはいえ、ほぼ全員いつも程は酷くはないけど二日酔いだよなあ。となると、朝飯はいつものサンドイッチとかじゃあない方がいいかな?」

 いつもの酔い潰れた時ほどではないが、喉の渇きと若干の頭痛とだるさはある。まあこれは、いわゆる軽度の二日酔いってやつだな。

 そう呟いた俺は、こっそり鞄に入ったサクラからまずはいつもの二日酔いの特効薬! 美味しい水の入った水筒を取り出してぐいっと一息に飲む。

「うああ〜〜二日酔いにはやっぱりこれだな。水、美味〜〜〜!」

 ほぼ水筒の水を飲みきり、ひとまず栓をして戻しておく。これは置いておけばまた水が増える水筒だからね。

 一つため息を吐いてから見ると、部屋にいた全員がそれぞれ水筒を取り出して水を飲んでいたよ。さすがのハスフェル達も、朝から迎え酒をする元気は無かったらしい。



「ええと、やっぱり飲んだ翌日の朝はお粥だよな……だけど、もうそんなに在庫が無かったんじゃないか?」

 よく考えたらバイゼンにいた時に作った料理って、鉱夫飯のアレンジ弁当が中心で、パン以外だとあとは肉系中心のと俺用の和食。あとは屋台で買い込んだガッツリ系の料理ばかりな気がする。

 一応サクラに確認してみたところやっぱりその通りで、作り置きの料理で弁当以外だと、普段食べるガッツリ肉系や俺用の和食っぽいの、屋台料理の買い置きなんかはかなりあるんだけど、二日酔い用のお粥や雑炊って種類はあるけど、どれも数人ずつくらいしか無いみたいだ。

 確かにそうだよな。鍋の後に作るおじやと違って、おかゆや雑炊なんかはバイゼンにはあまり売っていなかったし、わざわざ作り置きをした記憶がない。

「ごめん、朝飯はもうちょっとだけ待ってくれるか。お粥が足りないから何か作ってくるよ」

 顔を洗って水場から戻ってきた皆にそう言って、一旦続きになったキッチンへ向かう。

「ええと、白粥は、普通なら米からじっくり炊くんだけど、さすがに時間が無いからな。白ご飯は沢山あるから、とりあえずこれに水を入れて炊いた、塩味だけの即席白粥を作っておくか。それから、二番出汁にご飯をぶっ込んで薄めの酒とみりんと醤油で味付けをして塩少々、最後に溶き卵を回し入れて軽くかき混ぜた、たまご粥辺りだな。あとは屋台のスープ屋さんで買ったチキンスープが大量にあるから、これを使って鶏粥も作っておくか。中に入ってる鶏肉も、スライム達に細く裂いて貰えばそのまま具になるからOKだな。よし、じゃあここに入ってる鶏肉、全部細く裂いておいてくれるか」

「はあい! やりますやります!」

 アルファの声に次々に張り切ったスライム達が机の上に跳ね飛んできて並び、ニョロンと触手を伸ばしてチキンスープから次々に具の一口大の鶏肉を取り出してあっという間に全部細かく裂いてくれた。

「ありがとうな。じゃあそれはチキンスープに戻しておいてくれるか」

 笑ってそう言い、並んだコンロに使っていない大きな寸胴鍋を並べていった俺は、確認するみたいにそれぞれのレシピを呟きながら手早く作っていった。

 二番出汁もチキンスープも、それからご飯もそれぞれ熱々で保存してあるから、お粥や雑炊程度なら作るのは簡単だよ。

 たっぷり出来上がったそれらを見て少し考えて、一応しっかり食べたい人達用に、たっぷりの一番出汁に細切りにした玉ねぎとイチョウ切りにしたニンジンと大根を入れて一煮立ちさせ、それから岩豚のバラ肉をたっぷりと入れて味噌汁も作っておいた。

 これは、白ご飯にかけて食べてもらう用だ。



「よし、これでいいな。お待たせ〜〜〜!」

 出来上がった寸胴鍋を全部自分で収納して部屋に戻る。

「はあい! 待っておりました〜〜〜〜!」

 元気なアーケル君の声に、オリゴー君とカルン君もご機嫌でそう言いながら拍手している。

 見るといつの間にかリナさんとアルデアさんも戻ってきていたので、これで全員集合だ。

「あれ? 二日酔いかと思ってお粥や雑炊を用意したんだけど、いつものサンドイッチとかの朝食メニューの方が良かったか?」

 寸胴鍋を取り出しながらそう尋ねると、全員からお粥がいいと言われたよ。

 まあそうだよな。後半の記憶があんまりないけど、俺でもかなり飲んだ記憶があるから、他の皆の酒量は推してしるべし……。

「まあいい、とりあえず食おう。それで皆の体調を見て、言っていたバーベキューは今日してもいいし、無理そうなら明日にしてもいいかな。ええと、これがシンプル塩味だけの白粥。お腹に良い梅干しと一緒にどうぞ。梅干しが駄目な人は、この塩昆布と一緒に食べるのがおすすめ。それでこっちがたまご粥。これはしっかり味がついているからそのままどうぞ。それでこっちはチキンスープを使った、裂いた鶏肉がたっぷり入った鶏粥だよ。あと、岩豚と根菜入りの味噌汁もあるから、これはご飯にかけて食べるといいぞ。まあ、脂たっぷりの岩豚の肉を食える人限定だけどな」

 笑った俺の言葉に、俺以外の全員が揃って大丈夫だって答えていたよ。

 それぞれの鍋に駆け寄り、嬉々としてお椀いっぱいに取り分ける姿を見て、やっぱりお前ら色々と初期設定がおかしいから、キャラ作りを一からやり直した方がいいと思うぞ。と、内心で真顔で突っ込んだ俺だったよ。

 はあ、とりあえず俺は白粥と梅干しをいただくよ。


挿絵(By みてみん)

2024年三月十五日、アース・スターノベル様より発売となる、もふむく第七巻の表紙となります。

今回も引き続きれんた様が素敵に描いてくださいました。

もう、この表紙のセーブルの表情が全てを物語っていますよね!

今回は珍しくケンも頑張って戦っていますので、どうぞ貴重なケンの勇姿を見てやってください!

どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m

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