従魔達と宿泊所
下書きを間違って投稿してしまいました! 作者の確認不足です!
大変申し訳ありませんでした。一部内容を訂正しました!
「じゃあ、飯食ってから午後からは買い出しかな。ここの道はかなり広そうだったけど、どう思う? 従魔達を連れて行っても大丈夫かな?」
手続きを終えて宿泊所の鍵を受け取ったところで、少し考えてハスフェル達を振り返る。
仲間の人数が減って従魔達の数も大幅に減ったから、俺的には全然連れて行っても大丈夫な気がするんだけど、城門からここまでの街の人達の様子を思い出して考えてしまう。走って逃げられるほどじゃあなかったけど、目を見開いて無言で注目していたもんな。
バイゼンみたいに長く滞在するのなら、街の人達に従魔達が怖くないって事を理解してもらいたいけど、三日くらいなら、無理に連れ歩くと逆に怖がらせて終わりな気もする。
「そうだな。まあ街の人達の様子を見るに、無理に連れ歩く必要はないんじゃないか?」
少し考えたハスフェル達も、どうやら俺と同じ結論に達したみたいだ。
「了解。じゃあすまないけど飯食いに行ってから少し買い出しをしてくるよ。お前達は宿泊所で留守番していてくれるか」
マックスの鼻先を撫でながらそう言ってやる。
「そうですね。無理に街の人達を怖がらせるのは申し訳ないです。では、我らは宿泊所でお留守番していますから、ご主人はどうぞ行ってきてください」
ちょっとしょんぼりしつつも聞き分けてそう言ってくれるマックスに、なんだか申し訳なくなって両手を広げて大きな顔に力一杯抱きつく。
「ごめんな。ここを出たらまた外で思いっきり走れるから、ちょっとだけ我慢してくれよな」
首元をポンポンと叩いてそう言ってから顔を上げる。
「おお、さすがに最強と名高い魔獣使い殿だな。あのデカいハウンドに、平然と抱きついているぞ」
「だよなあ。あのデカさは有り得ない。一体何処で捕まえたんだろうな」
「あんなデカいのと、もしも郊外で会ったら、怖すぎて気絶する自信ならあるよ」
「ギャハハ、その光景がありありと浮かぶなあ。じゃあ放置して俺は逃げる事にするよ」
「お前! そこは嘘でも引きずって一緒に逃げるって言ってくれよ!」
「俺もソッコー逃げる〜〜!」
まだ残っていた冒険者の人達が、俺とマックスを見て好き勝手な事を言って笑っている。
「でもまあ、そう言いたくなる気持ちは分かるよな。もしも俺が一人で森の中にいて、マックスレベルのハウンドの亜種とばったり会ったら、気絶するか気絶しなくても恐怖のあまり固まって動けなくなる自信ならあるぞ」
マックスに顔を埋めながら思わずそう呟くと、声が聞こえていたらしいハスフェル達が三人揃って大爆笑していた。
そりゃあお前らなら大丈夫だろうけど、こちとら武器なんて持った事もない一般人の元サラリーマンなんだよ! へたれで当然だって!
「さてと、それじゃあ従魔達は宿で留守番していてもらうとして、昼飯はどうする? 作り置きでいいなら何か出すけど?」
冒険者ギルドの建物を出て、隣にある宿泊所へ向かいながらのんびりこの後の予定の相談をする。
「美味い飯屋があるからそこへ行こう。狭い店だが、従魔達を宿に置いていくなら大丈夫だろうからな」
「了解。じゃあ後でな」
到着した宿泊所の廊下で分かれて、一旦それぞれの部屋に入る。
オンハルトの爺さんの連れているエルクのエラフィは、ギイの連れているブラックラプトルのデネブと一緒に厩舎で仲良く並んで鼻先を突き合わせていた。
「よし、それじゃあ、飯食って少し買い出しもしてくるから、お前らはここで休んでいてくれよな」
宿の部屋を見回してそう言って従魔達を見る。
「はあい、じゃあお留守番してま〜〜す!」
「良い子でお留守番してま〜〜す!」
俺の言葉にご機嫌で返事をしたニニとマニが並んでベッドに飛び込んで行った。小さいままの猫族軍団とセーブルがそれに続いて、ベッドからあふれんばかりの巨大猫団子が出来上がる。
マックスとビアンカは、ベッド横の絨毯が敷いてある床に並んで寝転がった。おお、二匹並んでへそ天だぞ。
「まあ、好きにしてくれ。それじゃあな」
他の子達も順番に撫でたり揉んだりしてやり、スライム達の入った鞄を持った俺は、そのまま廊下へ出ていったのだった。