休日の予定
「はあ、ごちそうさまでした。それでこのあとはどうする? 狩りに行く予定だったけど、若干二日酔いで体調不良な方が複数いるみたいだけど?」
おかわりの麦茶を飲み干した俺の言葉に、こちらはすっかり復活している神様軍団が、揃って苦笑いしながらリナさん一家とランドルさんを振り返った。
お粥はしっかり食ったみたいだけど、彼らの顔色はまだかなり悪い。一応復活はしているみたいだけど、多分地下洞窟へ行っても役には立たなさそうだ。
神様軍団の視線を受けて、そろって誤魔化すように苦笑いするリナさん一家とランドルさん。
「まあ、出かけるにしても寝坊して中途半端な時間になっちゃったわけだし、もう今日は休憩でいいんじゃあないか?」
甘えてくる子猫達を交互に撫でてやりながら一番寝坊した俺がそう提案すると、笑ったリナさん一家とランドルさんは揃って申し訳なさそうにしつつも頷いている。
「そうだな。別に急いでいるわけじゃあないんだから、もう今日のところは体調優先で休みにしよう。それで明日は全員揃って地下洞窟へ行って、子猫達を恐竜と戦わせてみるか。明後日はケンは街へ行って肉を引き取って来ないといけないんだろう? 様子を見て、俺達はまた地下洞窟へ行ってもいいんじゃあないか?」
ハスフェルの提案に俺も頷く。
本当なら肉は明日には用意出来ているはずなんだけど、まあ時間遅延の大容量の収納袋を預けてあるから、一日くらい遅れても問題なし!
それに、子猫達の戦いっぷりは俺もできれば近くで見てみたいから、明日は俺も地下洞窟へ行くよ。
って事で一旦ここで解散となり、俺は従魔達を引き連れて自室へ戻ったのだった。
「どうする? もう今日はお休みにするみたいだけど、外へ行きたかったら敷地内の庭でよければ、好きな所へ連れていってやるぞ」
寝直そうかと思ったんだけど、子猫達がチラチラと窓の外を見ているのに気づいてそう提案してやった。
アッカー城壁内の庭なら、俺は見ているだけで従魔達同士で好きに遊んでくれるからな。
なんなら俺は、テントを張ってスライムベッドで昼寝していてもいいし。
「いいの?」
「行きたい行きたい!」
「あのね、岩と砂場があるところがいい!」
最後のマニの言葉に、ミニヨンとカリーノだけでなく、猫族軍団の面々の目がキラリと輝く。
マニが言ったのは、このお城の南側の庭の端っこの辺りで、普段の街へ行くときの道からは離れた反対側にある場所だ。
マックスよりも巨大な岩が幾つも地面に半分ほど埋まった状態で散らばるその場所は、高低差もある上に岩の隙間に綺麗なサラサラの砂が堆積していて、特に猫族軍団にとって格好の遊び場になっている大人気スポットだ。
ちなみにすぐ側にはなだらかな段差のある広い草地と低木樹の茂みもあり、穴掘り大好きな犬族軍団やウサギ達にも大人気のスポットだよ。
「ええと、皆はどうする? ああ全員行くんだな。了解。それじゃあ行くとしよう」
手早く防具を一式装備してから剣帯を締め、マックスに鞍と手綱を取り付けた俺は、従魔達を全員従えて廊下へ出ていった。
「あれ? ケン、皆引き連れて何処へ行くの?」
ちょうど廊下へ出たところで、同じく部屋から揃って出てきたシルヴァとグレイと鉢合わせをして、俺の装備と従魔達を見て驚いたように揃ってそう尋ねてくる。
「おう、子猫達が遊びたいみたいだからさ。聞いてみたら、南側の岩場と砂場があるところへ行きたいんだって。だから、今から全員で行ってきます」
「何それ! ちょと待って! 私も行きた〜〜い!」
目を輝かせた二人の声が綺麗に重なる。
子猫達が嬉しそうに揃って頷くのを見て、俺も笑って大きく頷く。
「じゃあ、すぐ準備して来いよ。玄関で待ってるからさ」
「はあい! すぐに準備して行くわ!」
まあ、二人とも防具は装備しているからすぐに出てくるだろう……多分。
慌てて部屋に戻る二人を見送り、小さく笑った俺はのんびりと廊下を歩いて玄関へ向かった。
「なんだ? 今から街へ行くのか?」
そして、ギイの部屋の前を通りかかった時にちょうど部屋に入ろうとしていたハスフェルとも鉢合わせをした。
「おう、子猫達が遊びたいらしいから、南側の岩場と砂場があるところへ行くよ。そこで会ったシルヴァとグレイも行くんだってさ」
「なんだよそれ! 俺も行きたいぞ〜〜!」
開いたままだった扉から、なぜかギイだけでなくレオとエリゴールの声も聞こえてきた。
どうやら神様軍団で集まる予定だったみたいだな。
「あはは、それじゃあ大急ぎで準備して集合だ。玄関で待ってるからな〜〜」
「了解!」
元気な返事が重なり、笑った俺は手を振ってそのまま玄関へ向かった。
ちなみに、男性陣の方が集まるのは早くて、先に誘ったはずのシルヴァとグレイが来たのは、それからかなりの時間が経っていたんだよ。
まあ、きっと女性は出掛けるのに準備が色々とあるんだろう……? 知らんけど。