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水鳥の肉で鍋にするぞ〜〜〜!

「じゃあ、明後日までには用意しておくから引き取りに来てくれよな」

「了解です、それじゃあ、よろしくお願いします」

 笑ったガンスさんの言葉に俺も笑顔で頷く。

 結局、レッドエルクの亜種を一匹と水鳥は全部で三十羽分を自分用に(さば)いてもらうようにお願いしておき、それ以外にレッドエルクの普通種を五十匹と亜種を三十匹、それから水鳥は五十羽をギルドに買い取ってもらった。

 何でもレッドエルクの肉は聞いたように赤身の部分が多く特に貴族の女性には大人気なんだとか。

 それから水鳥の方は、俺の予想通りに鴨肉っぽいみたいだ。

 全体にやや肉は硬いがその分濃厚な味が特徴で、もも肉周辺の脂身のところは特に絶品なんだとか。その部分は骨付きなのでぶつ切りにして煮るのがおすすめらしい。脂身の少ない胸肉は、塊で焼くより薄切りにして茹でたり焼いたり、塊のまま調理するのなら燻製にするのがおすすめだと教えてもらった。

 よし! って事で、これで明後日の夜のメニューはネギをたっぷり入れた鴨鍋に決定だな。



 買い取り分の大量の引き渡しを終えてから、ガンスさんと一緒に受付へ戻る。

「お待たせ。肉の引き取りは明後日になるんだってさ。また引き取りに来ないとな」

 笑った俺がそう言うと、それを聞いたハスフェル達が揃って残念そうにため息を吐いた。

「ああ、それは残念だ。早速今日食えるかと思って楽しみにしていたんだがな」

 すると、それを聞いたガンスさんが不意に立ち止まった。

「何だよ。そう言う事は早く言ってくれないと。それなら、預かった分のレッドエルクは無理だが、水鳥数羽程度なら少し待って貰えば渡してやれると思うぞ」

「お願いします!」

 笑ったガンスさんがそう言うと、俺が何か答えるよりも早くハスフェルとギイ、それからアーケル君の三人の返事が見事に重なったよ。

 皆、どれだけ食いしん坊なんだって。

「わはは、そりゃああの水鳥を見たらそう言いたくなるよな。ちょっと待ってろ。頼んで来てやる」

 笑ったガンスさんがそう言って片手をあげると、そのまま足早に地下へ戻って行った。

 ううん、スタッフの皆様、急かして申し訳ない!

 後ろ姿を見送りつつ、こっそりスタッフさんに謝った俺だったよ。

 とはいえ俺だって食べたいのには変わりないので、そのままここで待たせてもらう事にした。

 だって、何処かへ出かけようにもこの大人数の上に従魔達まで勢揃いしているから、何しろ物理的な圧迫感が半端ない。

 広いギルドの受付だから許されるんであって、普通の店だと営業妨害になるレベルだよ。かと言って、ここで一旦解散とかにして別行動させると……間違いなく、絶対に全員戻ってこない未来しか見えないからな。特に神様軍団!

 って事で、邪魔にならないようにギルドの端っこの方の壁際に集まった俺達は、それぞれ好きな従魔に寄りかかってのんびりと寛いでいたのだった。

 俺は、マックスにもたれつつ、子猫達にくっつかれてもふもふの海をのんびりと楽しんでいたよ。

 それからしばらく待って、とりあえず十羽分の水鳥の肉を受け取り冒険者ギルドを後にしたのだった。



「すっかり遅くなったな、じゃあお城へ戻るとするか」

 建物の外へ出たところで真っ暗になった空を見上げてそう呟いた俺は、手綱を引いていたマックスに一気に飛び乗る。

 それを見た全員がそれぞれの騎獣に飛び乗って、ゆっくりと街の中を進んで行った。

 そしてまたしてもあちこちから声を掛けられ、時間的に食事を終えて飲んでいる酔っ払いも多かった為に、これまたなかなかに賑やかなパレード状態になったのだった。

 貴族の別荘地へ入ったところで全員が駆け足になり、そのままアッカー城壁をくぐって一気に加速する。

 真っ暗だけど従魔達は月明かり程度の明るさがあれば充分見えるから、いつも通りのスピードで駆け抜けてあっという間にお城へ到着したよ。

「いやあ、いつもながら速いなあ」

 笑ってマックスを撫でてやり、鍵を開けて中へ入る。

「じゃあ、今夜は水鳥の肉で鍋にしようと思うんだけど、それでいいかな」

「よろしくお願いします!」

 笑顔の全員の声が重なる。

「疲れているのに悪いな」

 申し訳なさそうなハスフェルの言葉に、俺は笑って首を振る。

「一番手間のかかる下準備はスライム達がやってくれるからな。俺は味付けするだけだって」

 廊下を歩きながらのんびりとそんな話をして、今日は留守番組はいないのでもうそのままリビングへ向かった。

 リビングのキッチンで料理開始だ。



「さてと、メインは水鳥の肉にするとして、ガッツリネギを入れてあとはいつもの鍋メニューと野菜いろいろだな。ううん、それなら味変でお出汁をいろいろ作っておくか。サクラ、空いてる土鍋ってどれくらいある?」

「ええと、これだけだね」

 いくつか空いた鍋があったらしく、全部で九個取り出して並べてくれた。

「じゃあ、作り置きの豆乳鍋とお出汁を効かせた出汁鍋。あとは赤味噌鍋辺りかな」

 お出汁を入れた寸胴鍋を取り出しつつ、今日のメニューを考える。

 何しろ今は人数が人数なので、一度の食事で食う量も半端ない。

 なので鍋をする時は以前のように一種類だけ作るのではなく、複数の味を作るのはここ最近のお約束になっているよ。

「まあ、これだけあれば何とかなるだろう。よし、それじゃあ材料を出すから鍋用に切ってくれるか」

「はあい! お手伝いしま〜〜〜す!」

 待ち構えていたスライム達が一斉に集まってくる。

 白ネギを多めに出してもらい、あとはいつもの野菜や木綿豆腐なども取り出していく。

「あ、ハイランドチキンとグラスランドチキンの手羽先団子は、ここに一緒に入れたら絶対美味いよな。よし、これも大量に作り置きがあるから一緒に入れよう」

 これで、食いしん坊達も満足してくれるだろう。

 取り出した十羽分の水鳥の肉は、まず骨付きの足の部分は一口大にぶつ切りにしてもらい、分厚い胸肉部分は教えてもらったように薄切りにしてもらう。

 並べた鍋にそれぞれのお出汁を入れ、スライム達が次々に用意してくれるぶつ切り肉や薄切り肉をせっせと鍋にぶち込んでいく。

「ああ、もう見ているだけでめっちゃ美味しそうな肉なんだけど!」

 ぐつぐつと煮立ってきた鍋の中に見える赤味の強い薄切り肉を見ながら、こっそり(よだれ)を拭った俺だったよ。


挿絵(By みてみん)

2023年8月18日、アーススターノベル様より、もふむくの五巻が発売となりました!

表紙とイラストは引き続き、れんた様が素敵に描いてくださいました。

どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m

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