スライム狩りの終了と次の予定!
「よし! これならなんとかなりそうだな!」
跳ね飛んでくるスライムをヘラクレスオオカブトの剣で叩き切りながら、俺は笑ってそう言ったのだった。
何しろ、初めての狩りで大興奮した子猫達は、スライムの巣を発見した途端に無計画に頭からスライムの巣へ突っこんでしまい、結果、パニックを起こしたスライム達に張り付かれて散々な目に遭ったのだ。
結局見かねたニニとカッツェに救出されて、というか茂みから引き摺り出されて放り投げられ、三匹揃って恐怖のあまり硬直して転がっていたんだよな。
だけど、さすがは小さいとはいえリンクスだよ。もう大丈夫と見て二面目に突入したんだけど、今度はちゃんと俺が茂みに石を投げ込むのを大人しく見ていて、跳ね飛んで出てきたスライム達を正面から迎撃して豪快に叩き潰していた。
まあ、まともに戦えばスライムなんてリンクスの敵じゃあないからな。
一応、子猫達にメインで戦わせておき、子猫達の手が届かないところへ逃げ出したスライム達を皆で手分けして叩き潰していた。
そのまま三面目までクリアーしたところで一旦休憩。
間違えてやっつけられては大変なので戦っている間は鞄に避難していたスライム達が、出てきてせっせとジェムを集めている。その間に、俺は子猫達には水を飲ませてやったよ。
そして、俺達が休憩している間にリナさんとアーケル君が、何故か鞘付きの剣を構えて茂みへ向かって行った。
どうやら、オリゴー君とカルン君に定番スライム達をテイムしてやるつもりみたいだ。
オリゴー君とカルン君には、雪スライム達はテイムしてあげているけど考えたら他のスライムはテイムしていない。
まあこれに関してはリナさんとアーケル君が、それぞれスライムを見つけたら彼らにテイムするって約束をしていたらしく、とりあえずここにいた定番のクリアーとピンククリアー、それから緑と黄色のスライムをそれぞれテイムしてあげていたよ。
新しくテイムしてもらったスライム達を、二人はそれはそれは嬉しそうに揃っておにぎりにして遊んでいた。
「どうする? ここでこのままもう少しスライム退治をさせるか? それとも場所を変えるか? まだ昼食にはちょっと早い時間だけど、先に何か食うか?」
弁当の作り置きも大量にあるので、狩りに出ている時は俺は何もしないつもりだよ。
そう言いながらハスフェル達を振り返ると、ハスフェルとギイは顔を見合わせてからスライムの茂みを見た。
「おう、この様子なら大丈夫そうなので、このままもう一つ予定していたホーンラビットの巣へ行こう。そこで二、三面クリアーするまで戦って、それが終われば昼飯だな。ピルバグの巣も近くにあるから、午後からはまずはそっちへ行くつもりだよ。それが終われば、後はどこへ行くかなあ」
ハスフェルの言葉に頷いたギイも、後はどこへ行くのがいいかな? なんて言って笑っている。
まあ、俺はその辺りには全然詳しくないので、ここは土地勘のある彼らに全面的にお任せしているよ。
今回は、とにかく子猫達に色んな経験をさせてやるのが第一目的なので、あまり強いジェムモンスターにはまだ行かないよ。もちろん、今回でそこまで行くかどうかは分からないけど、段階的に強いジェムモンスターとも戦わせていき、最終的には恐竜を相手に出来る地下洞窟くらいまでは連れて行くつもりだ。
誰の元でこれから先やって行くにせよ、個々の戦闘能力が高いに越した事はないからな。
「じゃあ、次はホーンラビットなんだってさ」
俺の言葉にリナさん達も笑顔で頷きそれぞれの騎獣に飛び乗る。
シルヴァ達もそれぞれ飛び乗るのを見て、俺もマックスの背中に飛び乗ったのだった。
「なあ、お願いだからホーンラビットを俺にテイムしてください!」
「俺にもお願いします! あのもふもふな毛に、俺も埋もれて寝てみたい!」
オリゴー君とカルン君の大声に、俺達は堪える間も無く吹き出したのだった。
ここにもまさかのもふもふ好き仲間がいたよ。
「おう、構わないぞ。じゃあ、オリゴーの分は俺がテイムするから、もう一匹はまた母さんがテイムしてくれよ」
笑ったアーケル君の返事に、二人の歓喜の雄叫びが返る。
「ここのホーンラビットは、一本角の真っ白な立ち耳だよ。しかももふもふっぷりは相当だから……」
「分かった! 俺もテイムするよ!」
ハスフェルに皆まで言わせず断言する俺。
だって、雪国の真っ白なウサギだぞ。最高のもふもふに決まってるじゃあないか。ジェムモンスターのウサギだったら、もう少しくらい増えても問題無い!
仲間が増えると聞いて、ラパンとコニーのウサギコンビが大喜びで俺のところへ跳んできた。
「ありがとうございますご主人!」
「実を言うと、ウサギの仲間がもっと欲しいと思っていたんですよね!」
目を輝かせて嬉々としてそんな事を言う二匹を、俺は笑って揉みくちゃにしてやったよ。
「だよなあ。やっぱりもふもふ仲間は多い方が良いよな!」
って事で俺もテイムに名乗りを上げたら、シルヴァとグレイが目を輝かせてテンペストとファインの狼コンビに乗ったまま、俺の目の前まで駆け込んできた。
揃って目を輝かせながら両手を胸元で握りしめるお願いポーズ。
「うん、皆まで言うな……欲しいんだな?」
「お願いします!」
二人の声が綺麗に揃う。
まあ、彼女達は元の世界へ帰った後も、テイムした従魔を住まわせて置く場所があるって言っていたもんな。
「了解。じゃあ、まずはそのホーンラビットの住処へ行かないとな」
揃って歓喜の叫びをあげるシルヴァとグレイを見て、笑った俺はそう言ってゆっくりとマックスを進ませたのだった。
さて、新たなもふもふをテイムしに行くとしますか!