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朝食といってらっしゃい!

 翌朝、いつものように従魔達総出で二回にわたって起こされた俺は、眠い目をこすりつつ何とか起き上がったところで嬉々として飛びかかってきた子猫達に押し倒されてしまい、またしてもベッドに逆戻りしたのだった。

「ああ、駄目だって……こんなもふもふに埋もれたら……」

 これもいつもの如く、抵抗する振りをして三度寝を決め込もうとしたのだが、何故だか全員巨大化した猫族軍団総出でジョリジョリと生身の部分をありったけ舐められてしまい、情けない悲鳴をあげた俺は、ベッドから転がり落ちてスライムベッドに顔面から突っ込む羽目になったのだった。

「うう、毎朝ながら起きるだけなのにどうしてこんなにハードな事になってるんだよ。って、投げ返さなくていいってば〜〜!」

 スライム達にキャッチされた直後に、そのままベッドへ豪快に投げ返された俺は悲鳴を上げて吹っ飛び、落っこちた先のビアンカの大きな背中に両手を広げてしがみついたままそう叫んでいた。

「ほら、起きてくださいご主人。ところで今日は街へ行くんですか?」

 そのまま半寝ぼけ状態でマックスよりも柔らかでモコモコなビアンカの背中にしがみついて和んでいると、起き上がったビアンカが俺を背中に乗せたまま水場まで連れて行ってくれた。

 水場に到着した途端に冷たい石の床に振り落とされてしまってちょっと痛かったんだけど、おかげですっかり目が覚めたよ。ありがとうな。

 ため息を一つ吐いて起き上がり、水場で顔を洗ってサクラに綺麗にしてもらった俺は、まずはスライム達をフリースローで順番に水槽へ放り込んでやる。

 水浴び組がマックスを先頭にして駆け込んできたので場所を譲り、俺はベッドへ戻ってじゃれついてくる子猫達とおしくらまんじゅうをしながら、手早く身支度を整えていった。今日も出かけるからしっかり防具を身につけておくよ。

 ううん、それにしても装備を身につけるのもすっかり慣れたもんだな。



「マックス、留守番ばかりで申し訳ないんだけど、今日も街へ行きたいから残ってもらっても構わないか?」

 子猫達を順番におにぎりにしてやりつつ戻ってきたマックスにそうお願いする。

「もちろんですよ! では今日も留守番ですね!」

 尻尾扇風機状態のマックスの答えに、俺は笑って手を伸ばして大きくて太い首に抱きついたのだった。

『おおい、そろそろ起きてくれよ〜〜!』

『俺達もう、リビングにいるよ〜〜』

 ちょうどその時、タイミングよくハスフェルとギイからの念話が届いた。

『おはよう。もう起きてるよ。それじゃあそっちへ行くから待っててくださ〜〜い』

『りょうか〜〜い』

 笑ったハスフェルの返事と共に、神様達の気配も途切れる。

「さてと、それじゃあまずは朝飯だな。ええと、今日はカッツェが留守番だっけ?」

 そう言って振り返った俺の目に入ったのは、大きな音で喉を鳴らしながら首を伸ばして仲良くお互いを舐め合っているカッツェとニニの二匹だった。

 それを見て密かに嫉妬の炎を燃やした俺は……間違ってないよな?



 今日の留守番役の子達は部屋に残し、狩りに出かける子達を連れてリビングへ向かう。何故か留守番組の子猫達とカッツェもついて来たんだけど、多分これはシルヴァ達と遊びたいからだろう。

「お待たせ〜〜すぐ出すからもうちょっと待ってくれよな」

 到着したリビングにはもう全員が揃っていて、大慌てでサクラが入ってくれた鞄を手に、作り置きを色々と取り出していったよ。

 うん、サンドイッチの在庫もかなり減っているからもう少し作っておくべきだな。

「ああ、大丈夫ですからゆっくりしてください」

「じゃあ俺達も出しますね〜」

 俺に続いて草原エルフ三兄弟とランドルさんも、それぞれ色々と取り出してくれた。

「そろそろ俺達の食糧の買い置きも減ってきているから、一度狩りをお休みにして街へ買い出しにも行きたいなって話をしていたんですよね。街の様子ってどんな感じですか?」

「食料は足りています?」

 割と真剣な草原エルフ三兄弟の質問に、リナさん達も真顔でこっちを見ている。

「ううん、王都側から来る高額な食料とかはかなり少ないみたいだけど、南側の街道からは普通に食料が入って来ているらしいから、特に食料が不足しているって感じはないな。持ち帰りをやっていない飲食店なんかは大半が閉まっていて、屋台はほぼ通常通りって感じかな」

「ああ、やっぱりそうなんですね。それじゃあ、今回の飛び地の狩りが終わったら、一度皆で買い出しに行くか」

「そうだよな。ケンさんと別れた後の食糧は各自で確保する事になったんだから、色々買い込んでおかないとな」

 顔を見合わせてうんうんと頷きあう草原エルフ三兄弟を見て、思わず吹き出した俺だったよ。

 よし、鉱夫飯をバラしたら、彼らにも少し分けてやろう。

 まだまだ毎日、鉱夫飯は大量に届くんだからな。



 それぞれ好きなものをしっかりと食べ、シルヴァ達はすっかり毎朝の恒例になった子猫達とのスキンシップを満喫してからご機嫌で狩りに出かけて行ったのだった。

 子猫達とカッツェ、それから皆から預かったウサギ達も一緒に部屋へ連れて行き、それから俺は、マックスと一緒に街へ向かったのだった。

 まずは冒険者ギルドへ行って、手持ちの素材を押しつけ……もとい、売ってこよう!


挿絵(By みてみん)

2023年8月18日、アーススターノベル様より、もふむくの五巻が発売となります!

表紙とイラストは引き続き、れんた様が素敵に描いてくださいました。

どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m

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― 新着の感想 ―
[一言] 獣魔にまで嫉妬するとか、ヤバいねw
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